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2005.09.21

16 安全保障に関する論理的選択肢

憲法議論が今後活発になりそうだが,第9条について,禅問答や言葉の遊びを避けるために,論理的選択肢を整理してみた.

まず,現行の安全保障体制は日本に戦争・武器・交戦権を放棄させ,その代わりを米国が行なう,いわゆる戦勝国の思いと,2度と戦争はいやだ,とする日本国民の思いが,相まって出来ている.

その姿は,日本の防衛を米国に委ね,その代償として基地を米国に提供する,と見える反面,米国の国際戦略の一環で,日本を米国軍の重要拠点にする,とも見えるのである.更に言えば,日本は独立したように見えるが,実質的には米国の従属国だ,とも見える体制なのである.

その一方で,朝鮮戦争の影響から,自衛権と言う固有の権利を根拠に自衛隊が発足し,米国一辺倒の日本の安全保障体制を補完させたのである.その結果,自衛隊違憲論,日米同盟違憲論,あるいは,自衛隊の有事行動の制約など,多くの議論がなされ,現在でも続いているのである.

但し,この憲法と日米安保によって,多くの基地を提供しつつ,日本は一発も銃弾を発射せず,日本人の戦死者もなく,他国の人を殺傷せず,に来た.又,自衛隊は米国の装備を輸入し貿易不均衡を是正して来たのである.同時に国民は戦争絶対反対の願望,一国平和主義の憲法から,一歩も思考が進まない,停止状態を続けているのである.

こんな中で,有力な憲法改正案は平和憲法(戦争・武力保持・交戦権の放棄)を堅持しつつ,自衛目的の自衛隊と武力保持を明文化する案である.言い換えると,侵略戦争は放棄するが自衛の為の武力行使は出来る,と,歴代政府見解を追認する修正内容である.

しかし,現憲法下でも改正案でも,自衛と言う言葉が文面に出てくると,とたんに難しくなるのである.精神論としては分かるが,具体的に定義不能だからである.

例えば,自衛権行使による交戦,集団的自衛や国連決議による交戦,あるいはテロの予防・制圧の為の交戦,など自衛権行使に含まれるのか,と言った問題である.

そもそも,自衛権発動と言っても,日本が攻められた時,あるいは攻められようとした時,と定義しても,攻められるとは何か,攻められそうだとは何か,どの程度過去へ自衛権発動の理由を遡及出来るのか,とか切りがないほど,曖昧で主観的になるのである.

ともすると,自衛権は拡大解釈すればすべての戦争の大義になり得るのである.たとえ専守防衛であっても,戦争が始まれば,動機はどうあれ,交戦状態になり.国際紛争解決に武力が行使される事になるのである.戦争現場は自衛戦だと言っても,撃たれたら撃つを徹底するわけではなく,先制攻撃も行なわれるはずである.

過去の多くの戦争を見ても,自衛の為,平和の為を大義として,行なわれているのであって,国際紛争解決や自衛の区別はつかないのである.このように考えると,国際紛争解決はNGで,自衛目的ではOKはきわめて曖昧なのである.この場合,有事に際し,いつも憲法解釈論争が起こるのである.

その意味で,有力な憲法改正案は改正前と本質的に変わらない,曖昧さを持つのである.或いは,自衛と言う言葉でハンドフリーを得る事が目的かもしれないのである.

定義困難な自衛と言う言葉を使う感覚は,幼稚で哲学や立論力・自立のなさを感じるのである.要は次の二つの選択しかないし,その決断が必要なのである.

①どんな戦争もしない,従って交戦権,軍備は持たない
②抑止や万一の事を考えて,交戦権,軍備は持つ

そして②を選んだ時,武力行使にあたっての,理由・行使方法・内容はシビリアンコントロールの領域になると思うのである.この選択いかんによって,日米安保条約との組み合わせは4つになる.

①交戦権,軍備を持たずに安保を堅持(米国依存型)
②交戦権,軍備を持って安保を堅持(米国対等型)
③交戦権,軍備を持たずに安保を破棄(非武装中立型)
④交戦権,軍備を持って安保を破棄(独自型,武装中立型)

①は戦後のレジュームに近い形だが,引き続き米国の属国になる覚悟と血は流さないが金を出す,の国際処世術が通れば,立派な選択肢になるのである.米国が飲むかどうかは不明である.

③も,どう言う事になるのか,結果の覚悟があれば,有力である.但し,国や民族が滅びてもよしと覚悟するのだから,まったく無責任な決断になる.

②③世界の集団体制に呼応して行く為にも,交戦権,軍備を持って自立すると言う意味で同じである.

今後の憲法は,いつも法解釈が発生するような文面ではなく,交戦権,軍備を持つのか,持たないのか単純明確にすべきだと思うのである.

もし,持つとしても,使うか使わないかは国民が判断して行くしかないのである.従って,思考停止状態ではいられなくなるのである.同時に,どんな選択であっても,世界に信頼される日本国民でなければならないのである.

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