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2006.02.04

31 地域経済振興策の回帰

日本全体の活力にとって,地域経済の活性化は不可欠である.残念ながら現実は公共事業経済であったり,村全体が社会主義経済(村民のほとんどが公益事業に勤務)になっている所もある.社会資本整備によって自然環境や経済立地,などのハンディを軽減しても,振興は進んでいない.
依然として人口が移動し,地方には長男しかいない,いや長男もいない過疎化が進んでいる.受け入れ側や日本全体で見れば良い事なのかも知れない.地域格差の拡大を止める事はきわめて難しいのである.
               
経済原理に合致しない,人為的な振興策は税金の食い逃げにつながる.効果どころか債務を膨らましただけの従来の地域経済振興策を見直し,経済原理にかなった施策に転換する必要がある.
工業団地やテクノパークを造成し企業誘致を図る,厳冬地域にレジャー施設やテーマパークを作る.無駄な道路を作る,など,もはや財政が許さないし,このような施策をやめなければならないのは当然である.

そこで,歴史的に形成された地域産業集積の形態を参考に,各地域の方向性をあらためて定める必要がある.現在の都市は日本に係らず,歴史上の絶対権力者の力で都市が形成されてきた.民主主義の下では経済原理にかなう努力しか,これを推進できない.そこで次の視点に帰って振興を考えたい.

①地場需要からの発展型(既事業の発展)
②既産業集積からの発展型(既集積産業の振興)
③産地からの発展型(農林漁業,鉱業,エネルギー等関連事業振興)
④産業城下町からの発展型(下請けの特技の振興)
⑤産業立地からの発展型(大都市需要,企業連携からの振興)
⑥地域と無関係な独立企業の発展型(特化企業の勃興)
⑦歴史文化からの発展型(遺跡,偉人,祭り,行事からの振興)
⑧自然環境からの発展型(観光,温泉,長期滞在等からの振興)

各地の産業振興は上記8つの切り口の中で,どの切り口が妥当するのか,足元を見つめながら振興の方向性を見直すべきである.同時に中小零細企業,個人事業は職人気質の発揮やユニーク性の発揮を求めたい.情報ネットの活用も不可欠である.世代交代によって,家業を引き継いだ青年実業家の台頭もあり.国際化の中で,産業構造が大きく変貌する中でこそ,足元に振興の芽があるように思うのである.
農業漁業で言えば特産品,ブランド,安心安全の付加価値追求や,地元産物を使った,食品,薬品,化粧品の第二次産業への進出や,第一次産業と弟二次産業の労働力のワークシェアリング等,特徴ある地域産業集積が考えられるのである.もちろん市場は全世界にあるのである.
又,健康増進,病気予防,介護,福祉,医療等をコストと見るのではなく,この関連製品の開発やサービスの事業化も,どの地域でも考えられるテーマである.
定年退職者のNPOへの行政の委託も行政コスト削減のみならず,人材の有効活用につながるのである.
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最近,大学改革の中で,どの地域も地域経済振興の為に官産学連携が叫ばれている.残念ながら,予算取りや表向きの大義名分が透けて見える.地元企業への技術相談や共同開発はありえても,大々的な先端技術による地場産業振興や企業誘致は他地域や国際的な競争の中で,自治体が思うほど実現性は低い.当事者すら,旧態依然の予算取りや箱物行政が裏にあると感じているのである.
地方大学は地域の人材育成が本職だが,地域産業振興を支援するならば,その地域の特性を踏まえた,次のような活動を望みたい.

①地域公共投資の客観的評価
②上記8つの視点での地域分析
③運賃(鉄道,新幹線,航空,高速道路)と産業振興の関係分析
④交通網整備と地域経済の関係分析
海外も含めた類似地域の活性化事例の分析
⑥地域産業の歴史・人物の紹介
⑦地域社会人への生涯学習の実施

など地域に役立つ大学らしい活動が必要だと思う.
又,地方大学自身の改革も急務である.定年後の教授や公務員の天下りの受け皿であったり,旧態依然の教材,保守的な風土,などから改革せねばならない.
大学の教育目標をマニュフェストにし,それに応じた教科を作り,人材育成への責任ある取り組みが必要である.同時に,民間人の登用も含めて,指導者の適材適所も必要である.今後,大学の淘汰が予想される.マニュフェスト,指導者,塾の精神が存続のファクターになると思う.地方の大学も地域振興の中にあるのである.
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