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2006.02.03

30 演繹法と帰納法

問題の解決方法として、演繹法と帰納法がある.

演繹法は原理・原則・あるべき姿や行動を定義し、具現化・実行していく方法(理想から具現化の方法)であり、帰納法は目的に沿った具現的行動・成果を積み重ねて,原理・原則・あるべき姿や行動を汎用性のあるものに導いていく方法である.

従って演繹法はトップダウンアプローチであるがゆえに、あるべき姿や行動が定義されていなければならない.この定義作りに時間をかけていたのでは具現化までなかなか至らない危険を秘めている.一方、帰納法は現実の活動の中から理想の形を作って行くやり方であり、ナレッジの形成と活用のプロセスと類似しているのである.

システムの提案や設計は全体構想から始まって必要機能を洗い出し、論理的体系を定義し、DBを設計し、プログラムによって具現化する、まさに演繹法である.形にこだわる日本に多い手法である.米国では帰納法によるシステム化が古来より多く見られる.全体はともかく、各部門や個人の目的に応じてシステムを作る、まさに目的思考の行動である.其の分、全体のシステム体系がよく分からない事が多いのである.

企業における方針や課題・対策を効果的に進めるとき、この二つのアプローチがあることを理解して取組まなければならない.

例えばセキュリテー対策を例に取ると、ウイルス対策・不正アクセス対策・機密保持対策、信頼性対策、個人情報保護対策と非常に広範囲で、かつあらゆる事を網羅した対策はきわめて難しいのである.従って基本的な規約/ルールを造って'守りましょう’だけでは対策にならないのである。もっと帰納法的に’こんな問題もある’’こんな留意・対策も必要’と言った具現的事柄を出し合い、共有しながら、この問題に取組まなければならないのである。全社員の意識の向上と肉付けが必要なのである.

品質向上やコストダウンも、演繹的手法で’どんなやり方が良いのか’を考え、形を整えてから具現化・実行する方法もあるが、往々にして、形を作るのに多くの時間がかかったり、出来あがったものが共通的であるがゆえに、得意技を持った人からすれば、レベルダウンになったりするのである.(これは非常に良くある事)従ってこのような問題は帰納法的に、それぞれの分野で繰り返しの経験から出てきた改善/工夫を次に生かしながら、効果を上げていく方法が効果的なのである.

さらにスキルアップの問題に付いて言えば、企業戦略に応じて、スキル体系を考え計画的に実行する事はまさに演繹法である。しかしながら、時間をかけてスキル体系を考えて行くうちに、学校のような教育体系となり、食えないものになってしまう事が多いのである。個人で学ぶもの、会社として取組むもの、あるいは入門的なもの、専門的なもの、を仕分けしながら、絞りこみながら,あるいはOJTも考えながら、個人別に落とした実行が必要なのである.

情報社会の進展によって,情報格差をなくし,仕事に対する個人能力の最大化が急速に高まっている.したがって,全社員が考え、持ち上げていく,帰納法的発想(ナレッジマネージメントの基本)が重要である.企業の活力は考える人の数に比例する時代に入ったのである.

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