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2006.03.29

43 情報システムの設計/開発と必要なスキル

前コラムで情報システム開発のトラブルに対する所見を述べたが,品質の基本になる設計力について触れておきたい.情報システムの開発は①経営者側の設定(目的・費用・納期)②利用者側の設定(業務仕様の設定)③コンピュータ側の設定(システム設計,パッケージ適用設計,プログラム設計)によって行なわれる.(図はクリックで拡大)

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業務仕様を元に行なうシステム設計作業とはDATA・BASE設計,システム全体の構造設計(処理ブロック構成の設計),ブロック単位の機能設計,プログラム単位への分割,といった内容である.家で言えば間取図と機能・器具・備品を決める作業にあたる.

この作業で作られた設計図はプログラム開発に向けて必要であるが,システム全体の姿を表しており,開発規模見積,開発計画,開発分業体制,開発順位,進捗管理,仕様変更管理,プロジェクトマネージメント等にとっても大事な設計図になる.この設計図(システムの間取図)の出来ばえ如何が,開発の成否を左右する事になる.

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そこで,業務仕様の大枠をおさえて間取図に機能展開する能力が問われる.巨大なシステムは構造的に展開することが求められる.LSIの設計図のような図面になる.ブロック間のインターフェースも定義する事になる.

問題はこの作業が日本人は総じて苦手である.訓練もあまりされていない..'日本人はOSを作れない’と言われる由縁である.どうしても一筆書きの設計,つぎはぎの設計になる.システム体系図の日米比較をすると,明らかにアメリカの体系図は大味ではあるが構造的論理的ですっきりしている.多くの人が分業して開発できそうな図になっている.日本の場合は機能構造がデコボコで未整理で全体の論理体系が見えない事が多い.

設計は通常処理の骨格を設計した上で,細かな事を別モジュールとして逐次追加する発想(構造化設計)が大事であり,いきなり細かい仕様を骨格に組み入れると一筆書きになってしまうのである.

情報システムに限らず,物つくりは荒削りからブレークダウンして行く工程を踏む.業務設計にしろシステム設計にしろ,大きな機能構成から細部の機能構成に落とし込み,全体の構造体系が作り上げられるのである(構造化設計)

日米のもう一つの違いはコンセプト,目的の追求度合である.米のように,この度合が強ければ,システムはシンプルになる.これがハッキリしていない事の多い日本では,何でもシステムに組み込むことになり,結局,開発費の増大,情報投資の不効率化,品質の悪化,ブラックボックス化,硬直化などに陥る.さらに,パッケージの発達を阻害し,手作りシステムから脱却できない事になる.

元来,日本では現状をすべてシステム機能に反映したがる風潮があり,これがシステムを複雑にし,結果,品質悪化やコスト高を招いてしまう.使用頻度の少ない機能や例外処理をどこまでシステムに組み入れるかは,コスト,開発期間,テスト,信頼性,運用性,維持性にかかわる事であり,きわめて重要なポイントである.

以上のように,情報システムの開発はテクニカルなスキルより,システムの間取図(機能体図)を作る能力がきわめて重要である.その為に,業務を良く知っている事が必要であり,巨大システムであっても少数精鋭での作業になる.

この設計能力は実は情報システムにかかわらず,図解表現の能力と同じある.同じテーマについて複数人で図解表現をした時,見事に10人10色になる.それほどに図解力(設計力)に違いが出るのである.この上に情報システムが乗っかっているとしたら,きわめてリスキーな事である.この図解表現力,設計力の向上はきわめて重要なテーマなのである.

情報システムの設計図を複数人で作り,優れている図面を選択して開発を進める方法や優秀な類似システム経験者に設計を依頼する方法はコストの割りに効果が大きいと考えられる.

又,顧客,ベンダーどちらが設計するにしろ,この設計図を共有し,その精度を高める事が品質向上,トラブル回避,効率化の基本になる.

企業システム,公共システムは年々ますます巨大化する.技術,ツール,インフラも多様化する.勿論,一筆書きでは作れない.全体をいかに構造的に設計し,局所的な対応をいかに可能とするかが重要である.残念ながら,現実には,システムが長年のつぎはぎで,無秩序のまま,ブラックボックス化しているケースが多いと思われる.その為に,変化への対応,改革に膨大な費用がかかる事が予想される.

このように,システム設計とは業務をシステム化するだけでなく,将来の進化も見据えた,機能の構造化なのである.今や,新システムが動けばよい,だけでなく,巨大なシステム程,長期に渡る,メンテナンス性が極めて重要なファクターになる.その為の仕掛けもシステム設計に含まれるのである.

最後にシステム設計・開発者の必要スキルについて体系と具体的な知識を紹介しておきたい.

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