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2006.03.12

40 マイナーとメジャーにみる文化論

音楽の和音(コード)にマイナー系とメジャー系がある.不思議な事に日本の演歌,スペインのフラメンコ,中南米のラテンはマイナーコードである.コード展開もほぼ決まっている.どの曲も情緒的で哀愁がある.調子のとり方も前打ちである.

カントリー,ブルース,JAZZなどはメジャーコードである.リズムは後ろ打ちで,スイングしやすいリズムである.テンポ,和音,コード展開も豊富で喜怒哀楽の感情表現も発揮し易い.勿論,クラッシックも加えれば,洋楽には国境がない.

マイナーコードを好む国民に小柄な体つき,黒い髪,黒い眼,黄色の肌,ウエットな情緒的な音楽が好き,と言う共通点がある.多分,すぐ気持が通じあえる国民同士なのかも知れない.

日本では洋楽でもJ-POPでも,マイナーコードが混ざっている歌は間違いなく人気がある.日本の洋楽の草分けであった大橋節夫さんは多くの名曲を残した音楽家であるが,マイナーコードを混ぜた名曲を多く世に出していた.ビートルズの曲でも,日本で人気がある曲にマイナーコードが必ず入っている.

民族性と音楽の関係を調べたり,分析した事はないが,きっと密接な関係があるに違いない.

一方,今,日本では演歌から洋楽(J-POP,JAZZ,ロック)に人気が急速にシフトしている.洋楽の方が表現力やリズム感,あるいはエンターテイメント性に勝っているからである.なんと言ってもかっこ良いからである.

ソーラン節が洋楽に編曲されて’よさこいソ-ラン踊り’になったり,紅白歌合戦でポップスが増えているように,音楽もエンターテイネントの世界もアメリカ文化が日本文化を席巻しているのである.

又,演歌とJAZZの中にいた団塊の世代も60歳になり,その子供,孫は洋楽の中にいる.年寄りは民謡や演歌が好きだと,昔のように,もはや言えなくなっているのである.

音楽は他の文化より先にアメリカの影響を受けているが,もうすぐ浪曲,民謡,の次に演歌も大衆芸能から消えていく運命にあるのかもしれない.

ところで,反物は縦糸が強さ,横糸が模様を作る役割りがある.文化を反物に例えると,日本古来の文化が縦糸で,横糸が仏教,中国文化,明治時代のヨーロッパ文化,戦後のアメリカ文化などである.それで和洋折衷,和魂洋才の反物,文化を作ってきたのである.

強い縦糸があったから和洋折衷の模様を作り出せたと考えられるが,縦糸が弱くなると,横糸で模様が画けないどころか反物自身が弱くなる.今の趨勢で言えば,音楽の様に,縦糸がアメリカ文化で横糸が日本文化になる可能性もある.

日本文化が衰退するのは西洋文化の影響だけではない.文化(ソフト)を世界に広げようとする発想がない事である.たとえば,フラメンコ,ラテン,は演歌と違って国際的である.どの国でも楽しまれている.日本人も大好きである.一方,演歌は世界に広がっているわけではないのである.

日本食ブームも同じである.日本料理は輸出できても,日本食文化,稲作文化,農耕文化,自然保護文化等のソフトまで広げているわけではないのである.

日本はハードは輸出できてもソフト(文化)まで輸出できない民族だという事が日本文化の衰退の原因になっていると思う.国際的に広がっていかなければ,国内でも一枚一枚はがれて行くのである.残そうとすると,古典文化になってしまうのである.

根本的な事だが民族性もこれに関係している.国籍の血統主義と生誕主義の問題である.日本の様な血統主義の国は文化には寛容だが人間には排他的だと言われている.

和洋折衷に違和感を抱かないし,料理や宗教にも寛容である.反面,国際結婚はまれであったり,他国でチャイナタウン,コリアンタウン,日本人街を作ったり,人間関係には排他的な側面もある.これが,文化の輸入を許容して来たと思うのである.このような性格から,日本は文化の輸入国であっても,何ら不思議ではないのである.

反面,生誕主義の国は,人間には寛容だが,文化には排他的な面がある.多民族国家の反面,宗教対立がある,などその代表である.折衷文化もない.

そう考えると,日本はシルクロード以来,到来する文化の終着駅であり続けることになる.今後も,縦糸の日本文化が弱くなっても多様な考えや文化が入り混じった国,文化を輸入し加工するの国,これが日本の姿かもしれない.

どうせなら,日本としては良いものを取り合わせた折衷文化国家を陽に表明し,あたかも加工貿易と同じように折衷文化の輸出国になったらどうだろうか.これなら日本文化の良さも残る.音楽も食文化も,産業製品も,日本らしさが生き残れると思う.

折衷の重要性,メジャーとマイナーが,かもしだす深み,味わい,は哲学的にも,価値観的にも,国際的にも,成立する感じがする.

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