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2006.06.17

49 『儲ける事』を卑下する風土の不思議

昨今の経済問題論議で忘れている原理について,自明の事ではあるが触れてみたい.

経済原理は難しい事を言わなければ’儲ける事’である.これによって経済活動(富の生産・分配)が営まれ,お金が回り,社会秩序が形成される.儲けにつながらない公共事業の肥大化は結局は財政を破綻させ,公共事業を出来なくさせる.経済原理ではなく思想で社会秩序を維持する事は歴史が証明しているように限界が来る.結局,儲ける行動が社会秩序を保つ基本原理として作動し続けているのである.

この儲ける行動が競走を生み,儲けられない事業・企業は淘汰され常に産業の代謝が起る.かくて,この単純な原理が多様な価値観,多様な産業を産み,人間の欲する富・科学・文明・文化を導いて行く.この経済原理によって得られた富で,社会保障,安全保障,社会資本,などが支えられるのである.

一方,この経済原理は行動の自由を求めつつも,国の文化,歴史,慣習,法制度,資源,エネルギー,自然環境,産業保護,などの制約・ルールの中で作動している.したがって国際経済活動で国毎に異なる制約があるが,同じ土俵を求める経済原理がいずれ国際スタンダードの形成に向かわせる.

制約があるものの,経済原理はグローバル,フェアー,フリーに向かう.合理性に乏しい国の独自文化や価値観,法制度は国際化の進展とともに薄まって行くのも必然である.

かつての護送船団方式,公共事業経済,他人資本経営,年功序列,終身雇用などが経済復興,経済成長の原動力になったのも,経済原理にかなう効果があったからである.

資産バブルの崩壊でその冗長度が許容できなくなり,こんどは,規制緩和,市場経済,競争原理,効率化,合理化,金融自由化などの政策が打ちだされた.そして産業再編、経済の再生を進めた事は.これも又,経済原理にかなう行動なのである.効果的な儲け方は状況によって変わるが原理は変わらないのである.

時として儲ける事が弱肉強食,拝金主義,経済格差,貧困層の増大などの批判を浴びる.しかし経済原理を弱めたり否定する事は,ますますパイの確保もパイの分配も悪化させ,社会を崩壊に向かわせる.

’パイを増やせ,但し分配は均等だ’の原理は今のところ存在しない.’儲けることは良い事だ’の経済原理に変わる新しい原理は出現していないのである.

儲ける事に取り組んだり,儲けた者を賞賛する健康な社会でありたい.儲け方に品格を持ち出す人がいるが,経済原理に品格と言う言葉は存在しない.品格を持ち出す人は’士農工商’的物指しか実業,虚業の識別を持っている人である.

経済原理からすれば,新技術で儲けようと株で儲けようと品格差などない,評価するならば,儲けの大きさ,経済的波及効果,持続性,リスクなどの視点で論じるべきものである.’不労所得は搾取だ’といった古典的な思考回路しか持ち合わせていない人がいるようだが,そんな事で社会は営まれていないのである.

株で言えば売買差益が税金,再投資,配当,消費,寄付などに回わる事は他の事業でも同じである.一方,その株の購入者は更なる儲けを企業に求め,企業活力を後押しする.

又,多くの国民の資金(貯金,年金掛け金,保険掛け金など)は産業や国債,金融商品に投資され,その運用益(いわゆる不労所得)で貯金,年金,保険を支えているのである.

株式市場や株取引はバーチャルの世界であって実業とは無縁の賭博場だと卑下する人は経済の仕組みの理解が少ないように思う.株取引は産業の上で存在し,バーチャルではない.金利,為替等の金融市場やM&Aの影響で短期的に株価が実業と遊離して動く事もあるが長期的には連動するのである.

儲けるとは金回りを良くする事につながる.これが経済原理である.’儲ける事は良い事である.’儲けよう’'儲け方を考えよう’は決して卑しい言葉,行為ではないと思う.

儲けるには我利我利では持続できず,自利利他(自分の利益は相手の利益の中にあり相手の満足の対価)にのみ存在し,儲け続ける事は大変な知恵,努力,仕組みが必要である.自利利他で得た社会全体の儲けが増える事は社会全体の満足が増える事につながるのである.

’儲かりまっか’’ぼちぼちでんな’の挨拶は経済原理を踏まえた含蓄のある挨拶だと思う.

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