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2006.12.16

70 道路目的税問題

揮発油税(ガソリン料金の45%、年3.5兆円)等の道路目的税の取り扱い方が先送りになった.財政難の中で,三つの主張がある.(高速料金収入の額,使い方についての議論はあまり聞こえないが)

①今後も道路拡充が必要であり特別会計のまま継続すべき
②一般財源化し、道路建設は一般会計で審議すべきだ
③いったん終了し,新たに考えるのが筋だ

この議論の根底には,財政危機を横目にして、道路目的税にかかわらず,特別会計の治外法権の中で収入を好きな様に使って来た事への反感がある.又、そこに族議員や業界の利権が根付き、無駄な事をやる温床になっているとの指摘がある.

この問題提起が正しければ,①はありえない.道路が必要というなら、福祉など全体の要求と比較して決定すべだとする②③の案になる.経済復興時代の社会資本整備を進める目的は終わったとの認識も①案が難しい理由として挙げられている.

そこで②③であるが、揮発油税(ガソリン税)を廃止し、改めて税を制定する考え方が論理的である.目的を定めない消費税と考えるか、エネルギー対策、環境対策、防災対策あるいは社会福祉対策などの目的を定めた財源として、改めて税率を考えるか、である.大きな財源だけに広く議論して欲しいのである.

ついでながら、税制について本質的な話をするならば、税金は広く集めて優先度に応じて使用先、額を決定し使われる.反面、長期に渡る重要な事業で、安定的な財源を確保する必要性がある場合、他に使われないと言う納税者の納得の上で、目的税があるのだと思う.

政治の税の使い方に不信感が強い場合、目的税の方が安心かもしれない.さらに言えば、いくつかの目的に対し、納税者が選んで納税するほうが良いかもしれない.寄付は究極の納税の仕方かもしれない(日本では寄付は納税と見なされないが)

税制度の議論で公平性がいつも問題になるが、もっと重要な事は使われ方への不信感をいかになくすかである.使い方の評価、透明性がなければ、いかなる税制度も税の精神も無意味になる.税制を議論する前に、是非この制度の議論が必要である.形だけの民主主義、政策不在の選挙では、この不信感を一掃できないのである.

手始めに、効果がなく借金返済だけが続いている食い逃げの公共事業はどれか、国・地方の借金のうち、どれくらいその借金が占めているのか、その当初の計画内容がどうであったのか、立案・推進・決済者は誰であったのか、の公表は少なくとも納税者に必要である.

税金をどうやって取るかの前に,どう効果的に使うか,その効果はどうだったのか検証する制度が先である.政治に信頼がなければ,税は国家権力による略奪になる.

今後を予想すると、先送りは①の弊害を温存するだけの悪手である.復党決定も、道路財源の問題の先送りも、改革の続行どころか自民党の先祖帰りを象徴した動きだと感じる.

安倍政権は憲法改正、安全保障強化、に向けた勢力の拡大が目的だとすると、改革による党内の摩擦を避ける力学が働き、改革のエネルギーは抑制される.憲法改正を人質に守旧派の勢力が復活する.

まさに自民党の保守と言う先祖帰り現象がこれからも起こるはずである.改革は頓挫の方向に行く可能性がある.元来,阿倍総理は保守的,復古主義的性格を持っているようにも見える.

小さな政府、効率の追求、規制緩和、財政再建、行政改革、特別会計改革など何処に行くのだろうか.憲法改正問題とは別の問題なのだが.

政治とはまマニフェストではなく、政策の取引で成り立っている事を新ためて実感する.今後,難問が多く発生するだろうが,問題ごとに政党内でも賛否が割れる事態が起こる.

政策・主張を重んじるなら離党や再編が起こるはずであるが,現実には重要と思われる政策を通す為,選挙,選挙組織,政治資金を維持する為,に政策の妥協・取引が起こる.結果、マニュフェストが宙に浮き、小選挙区にふさわしい政党への進化が退化するのである.

やっぱり、わが国の選挙は,人物,利権,地元貢献,等で代議士を選ぶ事であり、政策で政党を選ぶ政党政治には,遥かに遠いのである.政党は政治資金を得たり、代議士の保身機構かも知れない.

10年後を予想すると、行政は肥大したまま、借金で首が回らなくなり、税負担も限界になり、要介護高齢者や老老介護の社会的支援が薄くなり、経済力は急速に低下し、生活レベルも途上国に追い越され、一流企業や人材の海外移転が当たり前になり、義理人情が最も大事な価値観になる.

こんな事態を気にしなかった守旧派と言う勝ち逃げ族は既にこの世にいない.そういうシナリオを歩み始めた感がする.

こうならない為に、国家の基本政策を共有した上で、保守派と改革派に政党が再編されるべきである.小泉改革はその第一歩であったと思うのだが.

道路目的税先送り(温存)の気配があるが,本当の民意なのだろうか,政治屋の道具になっていないだろうか,今後の政権を大きく左右する事案である.

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コメント

 反地方主義のオールマスコミ大連合の勢いに押されて、野党まで(国民新党を除く。国民新党だけが正論を主張している)、「道路特定財源を一般財源化せよ」と主張している。
 道路特定財源をそのまま一般財源化すればおそるべき不公平税制ができることを、これらの政治家、裏で操る財務省のエリート官僚、財務省の手先となった大新聞のエリート記者は知っているはずである。
 道路特定財源の税源の負担は、1世帯で自家用車を何台も持たなければ生活できない地方の住民の方が、車を持たなくても生活できる東京などの大都会地の住民よりもずっと多く負担しているのだ。それでも地方の人々が税負担を受け入れているのは、受益者負担が貫かれていると信じているからである。地方の人々が、自分たちの納めた道路特定財源のための税金が地方の道路の整備のために使われているとを信じているからだ。
 もし安倍内閣と自公連立与党が、“道路建設はもはや終わった。もう必要ない”と判断するなら、道路税制を廃止しなければならない。これが筋である。
 税は国民のものだ。国民とともに存在している。国民が納得しない税はやるべきではない。財務省が増税をしたいのであれば、堂々と増税を提案すべきである。その是非は選挙を通じて国民が判断する。卑怯なことはやるべきではない。大都市住民に軽く地方住民に重い不公平税制はつくるべきではない。「税」を安易に扱ってはならない。

投稿: den | 2006.12.16 16:54

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