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2007.01.15

74 骨抜きを法律で許す放置国家

法律の趣旨に沿わない権限・裁量を温存させる為に,言葉の使い方で,これを紛れ込ませる事がある.特に政治家や公務員の行動に係る法律にこれが多い.これでは,骨抜きを法律で保護する法治国家,いや放置国家になる.

最近の話題で言えば,政務費,調査活動費,事務所費などである.言葉はいかにも必要な経費を表しているが,領収書不要とした瞬間,この費用は使途不明金,裏金,使途の隠蔽,私的使用等の科目に変貌する.せめて,領収書の取れない支出のみ計上する科目を別に設けた方がカモフラージュが少なくなる.

このように,透明性を掲げた法律が簡単に骨抜きになってしまうのである.それなら,いっその事,経費は全てこの科目を使えば良い.報告書も一行で済む.領収書も不要となる.

法律に問題があると言う論評が多いが,その法律を作って,思惑通りに利用している政治家の精神・品位が大問題なのである.'立法する者の行動を立法する者が決める'ゆえに,立法者への信頼感と品格が問われるのである.

社会保険庁で言えば,税金ではなく保険料の中から事業費,人件費や事務所費を支払う法律が出来たとたん,保険制度の破綻など気にせず,使い放題になった.リゾート施設が全国に作られた.そこには保険料資金の運営に対する責任,あるいは自助努力が感じられないのである.合法的に金を好きなように使ったとしか言えない.

責任の無い者にお金を渡すと容赦なく使ってしまうあさましさは,公務員に共通している生態かもしれない.交付金,補助金,予算さえ取れれば,その原資が借金であろうと,なかろうと,効果があろうと,なかろうと,気にしないで使ってしまう精神に似ている.

官から民への政策も移管ではなく委託になったり,行政機構改革のもとで焼け太りになったり,とにかく既得権の温存,予算の分捕りが仕組まれる.針の穴くらいの条文や言葉に既得権が群がるのである.油断も隙もあったものではない.

道路公団民営化でも,道路目的税の問題でも,社会保険庁問題でも,政府系金融機関の問題でも,建築基準法や検査機関でも,公務員改革の問題でも,魑魅魍魎の駆け引きが行われ,抜け道が仕組まれ,法律の目的・趣旨が骨抜きになる気がする.

最大の骨抜きは財政法である.財政法の精神を法制化しても,例外として簡単に借金が許される.この例外が900兆の借金になったのである.これでは例外の借金する事が精神で,借金しない事が例外になる..

立案者は法律が成立した事によって,公約を果たしたと言い,反対者は要求を入れたと内心ほくそ笑む.結局,法律を通す為の妥協の産物であったり,責任回避や裁量権,解釈の余地を残す為に,玉虫色の法律が頻発するのである.

法制化には,法律の目的・趣旨に反する抜け道の条文,単語,あるいは`等`が必ず仕組まれているとの前提でチェックが必要である.又,変に具体的に,細かく規定している法律も危ない.そこに抜け道が紛れ込む.

いっその事,趣旨・目的だけの法律にした方が,趣旨を常に意識し,合法かどうかを考える事になるかもしれない.抜け道だらけの法律は法治国家の品位を落とし,放置国家に転げ落ちる事を合法化するだけなのである.

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