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2007.04.18

92 絵画の薦め

音楽でも陶芸でも,ゴルフでも勿論,絵画でも,少しかじっていると,見方や興味や感じ方がまるで違ってくる.達人のすごさも,嫌と言うほど感じる.

少しかじっている『絵画の歴史』,『絵画の表現方法』,『絵画薦め』等について紹介したい.先ず,西洋絵画の歴史であるが,下記のように,絵のパトロンと共に変化して来たと言える.簡単にその変遷を述べたい.

15世紀頃のゴシック絵画はキリスト教寺院がパトロンである.当然,絵のモチーフはキリスト教の教えである.絵を飾る場所が,院内であることから壁画や何百号のキャンバスになる.

16世紀はイタリア中心に発展したルネッサンス絵画である.ダビンチ,ラフェロ,ミケランジェロが排出された時代である.パトロンは寺院に加えて貴族になる.当然,貴族の肖像画が多くなる.絵も立体的になって行く.美術品は宮廷の調度品として,宮廷内に,多くの絵画と彫刻が飾られる事になる.絵の表現は静的な宗教画から能動的で色彩豊かな宗教画に移って行く.『人間復古』と言われた時代である

17世紀はバロック絵画である.バロックとは『ゆがんだ真珠』と言う意味だが,感情の表現が重視された.主にオランダで隆盛した.ルーベンス,レンブラント,フェルメール,ベラスケスなどが活躍した時代である.パトロンは貴族に加えて,実業家が多くなり,絵のサイズも小さくなっていくのである.

18世紀はロココ絵画である.パトロンは貴族であるが,肖像画と言うより,娘の見合い用の絵画である.今で言う美人画の走りである.ブーシェ,フラゴナールなどが活躍した時代である.

19世紀は印象派絵画である.フランスを中心にモネ,ルノワール,マネ,ゴッホなどが活躍した時代である.パトロンは実業家や一般市民,或いは画商である.家庭に飾ることから,大きな絵はほとんどない.チューブの絵の具が発明されたり,写真機が登場した事により,モチーフは外で描くことから,自然や自然の中の人物に移って行く.描き方も写実的ではなく,光を意識した雰囲気の表現を追求する事になる.

20世紀以降は,これらの絵画や技法は生きているが,モチーフが心象画や抽象画に移って行く.個性を求めた結果であるが,その割りに,大衆が知るような画家は余りいない.

次に,一般的な現在の絵の表現方法について述べたい.絵は構図,色彩,インパクトで,出来栄えが決まる.勿論そのベースに描写力が存在する.これらが揃って,絵は人をひきつける.何よりも,飽きない絵になる.展覧会の評価も,これが決め手となる.絵を並べるて見ると,その存在感の差が歴然とわかる.

描写力はデッサンで常にトレーニングされ,形,明暗,等の観察ポイントや被写体の構造がナレッジとして,蓄積される.特に人物は顔や人体の構造,寸法がほぼ決まっており,これを体得(教則本あり)することで,より描写力を向上させる.この描写に色彩を加えて,精密に写実的に表現したり,雰囲気,特徴で印象的に表現されたりする.これが画風になる.この描写力はプロとアマの決定的な差がでる所である.ちなみに人物なら顔,目,手やドヌーブ(布のひだ)にその差が現れる.

構図は,とりわけ,風景画にプロとアマの差が現れやすい.空,建物,木々の大きさ,視点などが,構図のとり方で決まる.雲や木々の葉っぱの表現などに,描写力や色使いの力量が試される.

総じて,引き付けられる絵は感性だけで描いていない.考え抜かれた構想と,テクニックが裏に潜んでいる.一枚の絵は舞台と同じように,役者,照明,色彩,演出などが仕組まれているのである.

とは言うものの,画く方も,見る方も主観的な好き嫌いがある.私見によれば,’飽きない絵’が自分にとって良い絵だと思う.独断と偏見で良いと思う.決して絵の値段で決まるものではない.そもそも,一般に売られている絵の値段は画家の値段なのである.

展覧会で何百点もある絵画の中で,目に留まった絵,見続けた時間で自分の好きな絵が決まると思う.きっと写真のような写実的な絵は一瞬息を呑み,写真より迫力を感じ,その描写力に圧倒される.画く側の力量は計り知れない力があると思うが,その感動が永く続くとは限らない.

岸田劉生のように,写実の追及が本質をあぶりだす,本質の追求は写実を究める事である,との考えもある.麗子像は,写実の追求によって人間の本性を表現した典型例である.正直言って,気持ちの良い絵ではない.

印象派の絵が好まれるのは,雰囲気をかもし出し,物語を感じるからである.まさに’すばらしい絵には詩がある’たとえの通りである.宗教色がない,日常のモチーフも好まれる理由である.またアート(芸術)はアーティフィッシャル(手作業)であり,写真やCGとは違う世界がある事を,これらの絵に感じるからである.写真機の登場が印象派を際だたせたと言われている.

個人的に言えば,セザンヌ,ルノワール,モネ,モリゾが好きである.自分にも画けそうな錯覚を覚える.これぞ油絵と言う感じで,こんな絵を目指したいと思ったりもする.これもまた錯覚の上塗りであるが.

さて,最近のアマチアの展覧会の入賞作品がほとんど心象画である.人物,静物,風景などは画き尽くされて,個性や独創性の発揮が難しいからである.

しかし,多くのアマチアは心象画を画こうと思っていない.人物,静物,風景,とジャンルを分け,描写,構図,色彩,インパクトを,評価して欲しいのである.この方が勉強になり,励みになる.アマチアの展覧会はプロの展覧会とは違うのである.

ついでに絵の飾り方について触れたい.どんな絵でも,飾る場所の雰囲気と合う必要がある.無機質な美術館に飾るより,宮殿や私邸に飾った方が雰囲気が出るし,同じように,無機質なオフィスでは油絵は似合わない.絨毯が引かれた,木彫の応接室なら,ぴたっと来る.

家庭では,マンション等で絵の飾る場所が少なくなった.以前,マンションの壁の上の隙間用に,横長の絵を百貨店に提案した事がある.いずれにせよ,家庭ではせいぜい8号どまりである.

もう一つ,絵をお祝いにあげる時,絵より額にお金を使うべきである.(1~2万円)絵を差し替えて楽しめるからである.但し,差し替えた絵と額が合わない事があり,余り個性的な額は避けた方が良い.婚祝い,新築祝いなど,絵の裏にメッセージを書いたプレゼントはすばらしいと思う.お勧めである.

さて主題に戻ると,プライベートの生活の中に,一心不乱の時間を持つ事はすばらしい事である.厳しい仕事の気分転換はボーとする事ではない気がする.

数ある趣味の中で,絵を描く事は最も手っ取り早くやれる趣味である.何よりも,観察力が高まる事で,世の中がよく見えるようになる.今まで,ほとんど見ていなかった自分,既成概念で見ていた自分,に気が付く.絵画への興味で,人生が少し豊かになった感じもするのである.

最後に絵を描くときのアドバイス(自分に言い聞かせている事)

①何を表現したいかイメージする(モチーフ)
②キャンバスの大きさに従って,構図をしっかり決める
③下絵をしっかり描く
④構図,下絵に従って明暗の面を意識して,薄く色を乗せていく

絵画の陥りやすい所は,(いつも失敗している事)

①絵を描くうちに,構図や対象物の大きさが変わって行く.
②筆をおく度に,変なところが気になる.
③修正が修正を呼び結局,絵をつぶしてしまう.

事である.これを避ける為に,上記①~④を厳守したいのである.実は絵で難しいのは,『妥協と終わりの決断』をする事である.

何か,難しいそうで絵画の進めどころではなくなって来たが,何かにつけ,表現とは簡単ではないと思う.だから面白いのである.

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