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2007.06.22

103 参院選挙を考える

国会の延期もあって、7月29日に参議員選挙が行われる.最近の国政選挙は少しずつ政策の戦いにシフトし,どぶ板選挙は残るものの,'錦の御旗’を掲げて戦う様相が出てきた.この’御旗’の上げ方が選挙戦の流れ、勢い、に大きな影響を与える事を前回の衆議院選挙では証明された.

前回の衆議院選挙は郵政民営化をリトマス試験紙に改革断行選挙であった.’自民党では改革が出来ない’とした民主党に対し'守旧派を追い出して改革を断行する’とした自民党に大勝利をもたらした.

口げんかの論理からすれば、'自民党はダメだ’より’その自民党の中にいる守旧派を追い出す'方が論理的上位になる.なぜなら、民主党が自民党を批判すればするほど、自民党の改革派が有利になるし、党内抗争の方が劇場的、激情的なのである.

この例で見る戦い方のヒントは、他党の攻撃より、自党の内部抗争を表面に出した御旗が国民を引き付ける事である.日本の政党は必ずしも考え方,政策で構成されていない.内部対立を抱えたまま,他党と戦う姿に,国民は信頼を寄せられないのである.

例えば、民主党の旗印を公務員改革、教育改革、年金・介護改革、集団安全保障政策、を唱えて古典的左派を排除して選挙に臨めば、論理の上では自民党に勝てるかも知れないのである.相手と同等の考え方にした上で、信頼感を確保し、其の上で、ワンポイントの優位性を訴える方法が戦い方として得策なのである.なんでも反対の180度違う政策を掲げても、野党に勝ち目はないのである.

自民党は社保庁の不祥事、グリーンピア問題、天下り、給付開始年齢の繰り下げ、加入率問題と年金への不信感、そして年金納付記録問題が噴火し苦境に立っている.

役人体質や国労の排除を狙った国鉄民営化と同じように,役人体質と自治労の排除を狙った社保庁改革も昨今の給付記録問題で,責任回避の為の看板の架け替えと非難されている.

ここは,社保庁改革は勿論、`聖域なき行政改革の断行’を掲げ,過去の政府の反省も含めて,旗をあげるべきだと感じる.もちろん内部抗争も,政党再編も辞さない態度を表に出した方が良い.

このように、'御旗'の上げ方はきわめて大事であるが言葉だけではなく、強い意志を表した'御旗’でなくてはならない.批判だけの旗では、意思や政策が見えず、旗にはならないのである.

'美しい国’’安心安全’’戦争しない’などのスローガンも’だからどうしたい’と現実的な政策,財源が見えず、抽象的で旗にはならない.

さて、今回の各政党の’錦の御旗’をどうするのだろうか.医療・介護・年金問題、教育問題、行政改革問題、財政・税制問題、憲法・安全保障問題、等、難問山済みであり、御旗の上げ方も国民の一票の行使も,きわめて難しい時代に入っているのである.

一方、参議院はこのような衆議院選挙と同じ選挙で良いのかと言う大問題がある.

参議院の趣旨からすれば、政策論争、政党間競争ではなく、人物中心の戦い方、選び方、選挙制度にすべきだとの考え方である.無党派もしくは衆議院とは違う会派の方が是々非々の行動が取り易く、参議院のチェック機能が発揮されるとの考え方である.

この考え方に立てば、せめて今のような選挙であっても、政党の候補者、推薦候補者はいろいろな分野の専門家が望ましい.政党のマニュフェストより、参議院議員として何を重点に活動するのか,の表明が重要となる.数が力の衆議院とは違うと思う.

参議院改革を是非検討して欲しいと思う.今のような衆議院と同じ政党選挙を展開し、政党評価の為の選挙であれば、ますます参議院は無用化の方向に進む.又,解散のない任期6年も長い.国会のスリム化の上からも検討すべき課題である.

参議院のあり方は随分議論されてきたと思うが、何も変わらない参議院選挙のあり方に選挙の都度、失望感を感じる.

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2007.06.10

102 コムスン事件で隠してはならない介護事業の問題

大手介護事業者のコムスンが虚偽記載、不正受給で業務停止の行政処分を受けた.これに伴い介護サービスの継続問題が全国で発生した.

コムスン社のひどさの実態は承知していないが、’正義に反した会社は介護事業から締め出す’’営利目的の企業に介護をさせてはダメだ’と声高に言う政治家や行政の発言が気になる.

かつて,’医者の名義貸し’が発覚し,病院の虚偽記載,不正需給が明るみに出た.あまりにも多くの病院で慣行化していたが,さすがに病院の業務停止,医師免許剥奪,等の行政処分は出来ない為に,お咎めはなかったと記憶している.金額は覚えていないが,公金横領に違いない.'正義に反した病院は医療から締め出す’と言う声はあがらなかった.

コムスンはじめ介護事業は定常的に大幅な赤字との事、虚偽記載も頻繁にあると言う.介護業界は今の介護報酬では介護士の賃金が低く抑えられ、介護士の離職も多くなり、認可に必要な介護士の確保も難しく、介護品質も低下している、との深刻な実態がある.介護制度の枠内の介護事業は崖っぷちにある.介護に携わっている人たちには本当に頭が下がる.

こんな実態の中で、政治家や行政が’不正義は排除’と言っているだけでは何の解決にもならないし、’利益目的の企業にやらせるからダメだ’も幼稚な頭脳レベルである.

政治家や行政が認識をしっかりせねばならないのは、いかに産業化するかである.介護事業への投資や参入者が増加し、介護士の待遇も介護品質も向上し、介護関連事業も充実していく、そして、介護事業が産業として確立し、地域経済にとっても重要な地場産業になる,そんな姿である.

これらの考え方、主張なしに、`正義をかざし、利益は悪’と声高に叫ぶだけの思考レベルの政治家、役人に介護の深刻な問題を任せられない気がする.介護事業の産業化に知恵を出しあい、政策論議も活発にしたいのである.

介護だけではなく年金、医療、と言う社会保障制度はコストと見る限り必ず限界に突き当たる.社会保障の充実がパイの確保を妨げれば、国力を衰退させ、結局、社会保障が出来なくなる事に繋がるからである.社会保障の充実が産業全体の富の創出や技術革新に波及する構造が必要なのである.

コムスン事件の表面だけに目を向けている場合ではないのである.介護の深刻な問題を不正事件で覆い隠してはならない.

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