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2007.07.23

107 相次ぐ新潟の自然災害に思う事

3年前の新潟中越地震(2004年10月),今回の新潟中越沖地震(2007年7月)はともに,かつての田中角栄の選挙地盤で発生した.皮肉にも、ここは,角栄政治の列島改造の原点の地である.

中越地震は小千谷地区,数十箇所の山間部の集落を襲った(山古志村など).豪雪地帯であり、多く点在する集落は、病院、消防、学校、役場、郵便など過疎化も含めて,行政サービス・コストの面で課題が多い地区であった.田中角栄は人道的施策として、道路、トンネルを整備し、この集落の課題を解決して行った.

人口に比して、膨大な公共事業に,不公平であるとの批判や、道路を作るより、お金を渡して市街地に引っ越してもらう方が、はるかに合理的だとの意見も多かった.

中越地震はこの道路、トンネル、集落を一瞬にして崩壊し、昔の過疎集落に戻ってしまった.集落ごと移転する意見もあったが、結局、再度の大掛かりな公共事業で復旧する事になる.

山間部に多くの集落が存在している以上、過疎対策公共事業、地震発生時の復旧事業は続く.日本全国各地に類似の課題は多い.

又、7月16日の中越沖地震は柏崎、刈羽地区に被害が集中した.その西山町に田中角栄の実家がある.刈羽原発も角栄の一声で決まった.北陸高速道路も近くを走る.柏崎市は補助金,事業税で財政問題はないが,安全確保への監視は続く.

2回の地震は田中角栄の足跡を思い出させる.田中角栄が生きていたら、角栄政治の強い思い入れがあるだけに、自然の非情さ、残酷さ、不条理,自然の前の無力さを嘆いたに違いない.

阪神淡路大地震を見るまでもなく,社会資本が整備するほど、人口が密集するほど,便利さ、快適さが高まるほど、防災コスト、災害被害、復旧コストが大きくなる.同じ規模の地震でも、地域によって、その被害の大きさは変わる.自然からすれば、そんな事は知った事ではない事だが、人間が抱えた防災対策の大きな命題である.

自然災害に対して,いくつかの対策を述べたい.

①水害はハザードマップを元に対策立案を.

水害は地形,土地の高低,雨量,治水能力によってハザードマップがあり,ダムの貯水状況,放流状況を加えれば水害発生条件は、はっきりしている.したがって、防災には治水、遊水能力を充実させるか,低い土地に住まない事しかない.発生条件、発生場所が事前に分かっているだけに、水害は人災に近い災害である.土地の評価選定に,この事を忘れてはいけない.

そこで,現在の住居地域,宅地造成地域のハザードの確認と覚悟が必要である.地価には,リスクが必ずしも反映していない.3年前の新潟中越大水害(7月発生,地震は10月に発生)でも,宅地造成地に新築した家屋の多くが水害にあった.勿論、購入時,水害リスクなど知らされていない.役所もチェックせず認可している.

②地震は耐震化,警報システムの充実を.

地震はどこでも突然発生する.発生を防げない.意味ある地震予知は不可能だと思う.又、余震の発生確率が発表されるが、1週間に震度4程度の余震発生の確率は30%、と言われてどう判断するのだろうか、20%、60%だったらどうか、余震は発生しない、あるいは、するとの予測以外、確率を聞いても、一見科学的なようだが、被災者はどうしようもない.

やれることは振動の時間差を利用した警報システム,地盤・住宅・建築物の耐震化,地震発生時の迅速な人命救助対策や火災,ガスの対策となる.

③土砂崩れは防災に限界,危険な場所の回避を.

土砂崩れは危険場所は、ある程度はっきりしているが、発生条件は分からない.防止策をとるにしても,日本全国、危険な場所は無数にあり,対策に限界がある.危険な場所を避けるしかない.

④被害調査の前に救出行動を.

災害発生時の初導動作は,マグニチュードの大きさ,水害の発生条件で自動的に警告や自衛隊,消防等の救命出動を行うべきである.組長が実態を調査してから動く,従来のやり方を変えなければならない.災害発生のたびに,被害調査に奔走する役所の動きが気にかかる.実態が分からないと何もできない行政制度は災害では通用しない.

⑤マスコミは懸念される事の報道を.

マスコミ報道の、けが人、死者、半壊、倒壊などの件数ばかりを追っているような報道に違和感を感じる.震度6強の地震なのに、初期の地震報道で、転んで一人がケガをしたとニュースにする神経が分からない.もっと大事な報道があると思う.震度の大きさで、おおよその被害規模が想像でき、それで懸念される事を追って、報道して欲しいのである.震度とはその為にある.

⑥民間,マスコミ,行政の総動員で被害情報収集を.

災害発生時,通信網,情報収集,報道が大事になる.行政,マスコミ各社の動きはバラバラな感じがする.ヘリコプターも何台も同じ所に飛び交う.マスコミの設備,要員を行政も活用する体制はとれないものか.

⑦安全保障は軍事だけではない.

文明の発達とともに、自然災害対策,安全保障対策は重要になる.しかし,この二つの巨大化する安全対策は両立できるほどに、財政的に、時間的に余裕はない.

人間同士の’いさかい’にお金を使う事など、早くやめにして,どの国も,自然保護や自然災害に労力やお金を使う世界にすべきだと思う.

軍事費から自然対策費へ、軍事技術から自然環境、防災技術へ.軍事行動から災害救助行動へ,集団的武力自衛から集団的自然保護へ,こんな事が極東地区で必要ではないか.

地球環境や防災意識が低い国があれば,人類にとって脅威となる.自然災害は対岸の火事では済まされない.地球温暖化や自然災害をきっかけに、安全保障の’軍事から自然へのシフト’が起これば,不幸中の最大の幸いである.

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