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2007.08.03

108 自民党参院選惨敗の意味するもの

今回の参院選は民主党が圧勝し参議院の第一党となった.衆議院の自民、参議院の民主となり、二院制運営の新たな局面を迎えた.政策決定や議会運営のあり方、現二院制度のあり方、等が初めて問われる事となる.

このデッドロック状態は、間違いなく政治が停滞し混迷期に入る.駆け引きの横行、真剣勝負の議論、政党分裂、政党再編、等が起こる可能性もある.これも政治構造改革、民主主義の試練、コストなのかも知れない.

自民党惨敗の原因は明らかに自滅である.特に閣僚の失言、事務所費に関する答弁の悪さ、4閣僚の交代、繰り返しテレビに映し出されるアホな顔、総理の応酬能力や稚拙な反論、など内閣の信頼失墜が原因である.これに長年の社保庁問題が火を吹き、決定的となった.年金、健保、失業保険など社会保険庁問題は国家の大問題に発展する可能性もある.

単純な閣僚の事務所費に関して,目的外費用、架空費用が問われているのに、’適法に処理している’は答弁になっていない.不正費用の有無を答えない限り,’不正の費用を適法に処理している’と言っている様なものである.

領収書貼付不要の制度は何でも費用計上できる、費用の中身を説明しなくても良い、と言う制度ではない.答弁を逃げるほど本人は勿論、自民党全体の信用失墜に繋がるのである.そもそも,’不正費用を適法に処理している’政治家は閣僚指名を辞退すべきなのである.

こんな次元の選挙であったが,もう少し深い所の政治の潮流について述べたい.

日本の政治の潮流をなぞると政治課題は次のように捉えられる.

①護送船団方式による経済成長の自民党政治の時代
②バブル崩壊、政治・経済の混迷、不況、巨大な財政赤字の時代
③政治・行政・産業・金融の改革断行、と経済危機脱出の時代
④行財政改革継続、教育改革、少子高齢化・福祉対策の時代
⑤アジア政策、憲法改定と国民の意識改革の時代

③は小泉政権の’失われた10年’(②)の救済内閣として誕生した.
’改革なくして成長なし’’小さな政府’を主張し、日本的社会主義、官僚政治の打破を目指した社会主義的構造・政策にはびこる無駄、不合理性、利権、を解体し、道路公団・郵政の民営化、公共事業への合理性追求と縮小化、ゼロ金利政策、業界再編、公的資金注入、などの金融政策、行政下部組織の統廃合、産業再生政策などを実行した.結果日本の経済・金融危機から脱出したのである.

安倍政権以降は④⑤が待ち構えているが、今回の参院戦は冒頭の自滅に加えて、市場主義、競争原理、経済格差、地域格差などへの批判で敗戦したとの見方もある.反小泉政策、かつての日本的社会主義政策への回帰である.地方の公共事業を増やせとの要求である.’大きな政府’への回帰なのである.そんなことは財政が許さないと思うのだが.

民意が本当にそうなのだろうか.小泉人気は何だったのだろうか、景気が良くなったから元に戻せと言う事なのだろうか.

地域経済問題は経済的合理性が伴わなければ、いくら公共事業をやっても解決しない.工事を通して金をばら撒くだけになる.これでどれだけ財政赤字を作ってきたか、この反省で、小泉改革が打ち出されたのである.

経済的不利な地方は違う価値観、政策が必要だと思う.今後も産業集積が進み、地方分権で益々地域間経済格差は広がる.人口、産業の移動は集積する方からすれば経済発展に寄与するのである.

市場原理、競争、自己責任の社会はけしからん、の発言も目立ち始めた.票が欲しいだけの発言だと思うが、論を待つまでも無く、この行動様式が社会活力のエネルギー源なのである.

社会主義的経済構造,制度は一見良いように見えるが,逆である.歴史が証明しているように腐敗,無駄,利権,不合理の温床になり,国民生活も社会福祉も低下する.何よりも,財政破綻による国力凋落を迎える.

かつての日本的社会主義も戦後経済を引き上げたが,その役割りを終えたにもかかわらず、継続し改革を怠った為、膨大の借金、利権、無駄、不合理、官僚政治を生んだのである.

徹底的に儲けてこそ、福祉政策も可能になるのである.日本の財政事情からしても、国民所得の上昇の中で、国民自身が生活や医療・介護をまかなう考えが必要である.その外側でセーフティネットとしての福祉事業が位置付けられるのだと思う.儲けることに異論を唱える人のコンセプトを聞きたいと思う.

そこで、敗戦を踏まえて、自民党、安倍政権は小泉路線(小さな政府の考え方)を継続するのか社会主義的リベラル、保守(大きな政府の考え方)に擦り寄るのか、考え方をはっきり国民に言うべきである.

安倍政権発足以来、改憲勢力を集める為に、小泉抵抗勢力、大きな政府論者を受け入れた.これで安倍政権の考え方が曖昧になった.これも含めて,所信表明をすべきである.

又、安倍総理の憲法問題、外交問題、集団的自衛権、教育問題,など戦後レジームからの脱却が争点にならなかった事は、国家の基本政策は生活と無関係だとする国民の認識程度を表しており、有識者から見れば,愚民選挙と見えたに違いない.日本の骨格にかかわる大きな課題を又,先送した感がある.

2006年末に’2007年分水嶺’のブログを発信した.方向付けの上で、きわめて大事な年になると予見した.混乱はあっても、経済の足だけは引っ張らないで欲しいと思う.景気持続と財政改革が日本の生きる道だからである.

民主党は反対で結束出来ても、賛成の局面で結束できるか問われる.特に安全保障、予算編成,などの基本政策にどのように対峙するか問われる.政権奪取だけの政争が起これば,’失われた10年’を又繰り返す事になる.

今回の選挙の結果,議員は二大政党に向けて真剣に取り組むべきである.国会議員が個人的な思惑・事情で政党に帰属しているようでは政治の邪魔である,天下国家の視点で政党を形成して欲しいのである.

私見によれば、国の基本政策を共有した政権交代可能な二大政党とシンプルな一院制によって国民の政治意識を高め,民意を反映しやすくする仕組みが良いと思うが.

この時、参院は国民の代表による、行政や特別会計のチェック機関、行政の検察機関が良いと思う.会計監査院やNPOでは弱すぎるし、今までの無駄な公共事業の垂れ流しの反省、再発防止として必要だと思う.

とは言うものの,参議院問題はいつも話題になるが,結局、憲法改正の壁が立ちはだかる.そして議論を深める事すら無意味になる.こうやって日本人を思考停止状態にする事が,そもそも憲法を制定した戦勝国の狙いだったのではないか,と思わざるを得ない.

憲法改正の制度も持たない,憲法を変えることが出来ない日本は民主主義国家と言えるだろうか.これでは、国民の政治意識、民主主義、シビリアンコントロール、責任感など育たない.はずである.憲法改正の制度を作り,改正をした時,日本の民主主義が初めて国民の手にゆだねられるのである.

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