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2007.09.20

112 憲法と自衛隊の海外活動論争

日本の自衛隊の海外活動は、常に憲法解釈で紛糾する.人道支援、後方支援,平和維持活動などを、現憲法に抵触しない、ぎりぎりの解釈で行っている.
勿論、その中途半端な活動ならではの効果やリスクの問題もあるが、国際的活動に少しでも参加しているとのアリバイ作り、付き合いもある.

自衛隊の海外活動について、解釈論ではもう限界であり、海外活動するにしても、しないにしても、憲法改正が必要である.ねじれ国会で一層,解釈論はデッドロックになる.

しかし、残念ながら憲法を改正する手続き法や具体的方法がいつ決まるか分からない.なによりも憲法改正内容や改正に必要な賛成票がいつ取れるか不明である.かくて、世論も政治家も国家の基本政策についての論議が中途半端に終わるのである.

そもそも憲法改正の方法が確定していない日本は民主主義国家と言えるだろうか.これでは国民の政治意識、立論力、実行力、は育たないのである.日本は世界で唯一、’憲法の放置国家'である.

今回のテロ特措法問題を取ってみても、日本の思考力の弱さを露呈しているように感じる.賛否両方の意見とも、憲法がどうだから、他国がどうだから、国連がどうだから、と賛否の理由を言う.そもそも、日本としてやりたいのか、やりたくないのかと自分の意見を言わない.そこで,まず次の4択で主張をはっきりすべきである.

自衛隊の海外での何らかのテロ対策活動について

①やるべきだ、その為にやれる事を検討する
やるべきだが憲法や国際情勢、財政の問題でやるべきではない
③やるべきではないが国連や他国との関係でやらねばならない
④やるべきではない(戦争・紛争への加担になる)

はたして、政治家、国民はどれを言っているのだろうか.主体的意見を持っているのだろうか.マスコミのアンケートも賛成・反対ではなく4択で調査すべきである.このように、先ず、筋道をはっきりする訓練が必要である.

次ぎに、考えを実現するに当たって、法的な検証が必要になる.法律は与えられたものとしてとらえる遵法精神は必要であるが、作るものだと捉える事も,これから求められる.その為に、まず,主体的意見が必要となるのである.

法治国家は'法を守る事’と’法を作る事’で成立する.憲法で言えば時代に合わないと感じても,変えることなく解釈で済まそうとする危うさを卒業しなければならない.見えづらい日本の考えで国際信用は失墜する.

そこで、当面の憲法解釈問題を整理すると次ぎになる.

そもそも現憲法は.国民の二度と戦争はしない誓いと,日本の軍備復活を阻止したい戦勝国の狙い,で制定された.そのコンセプトに対し,

合憲とする解釈は

①自衛(定義は不可能に近いが)の為の軍隊の保有と武力行使
②武力行使をしない自衛隊の海外活動(後方支援,人道支援など)

違憲とする解釈は

①自衛権行使以外の武力行使(境目はきわめて難しいが)
②集団的自衛活動(同盟国の自衛行使と一体化した武力行使)
③国連や他国と一体化した武力行使

である.結局、武力行使をしない自衛隊の海外活動は合憲とする解釈が長年の政府見解である.一方,後方支援は軍事行動と一体(戦争への加担)で違憲であるとする考え方もあり、曖昧さは拭えていない.

現在激論になっているインド洋上の給油活動の憲法解釈について言えば

①他国の軍事行動と一体であっても,武力行使をしないから合憲
②他国の軍事行動と一体であり違憲(集団的自衛にも抵触)
③他国の軍事行動と一体であっても,国連の発議があれば合憲

に別れる.

①は特定国の軍事行動に対しても,多国籍軍の軍事行動に対しても,武器を使用しない支援(後方支援)であれば合憲とする考え方(憲法で未定義)

②他国の軍事行動を支援する行為(後方支援も戦争への加担と認識)はすべて違憲とする考え方.(憲法で未定義)日本の米軍基地提供もこれに該当するとの意見もある.米軍が日本の傘になるだけではなく、米国独自の軍事行動があり得るからである.この意見は何をやっても違憲になってしまう.

③は,そもそも憲法は戦前のような国の発議による他国への侵略を禁止した物であり,国際社会と一体化した軍事行動を禁止しているわけではないとの考え方.(憲法で未定義)
しかし、国連決議と国内法の関係の問題もあるが,結局は国連決議と言っても,国の意思で紛争解決に武力行使をやる事になり(国の発議),憲法に触れると言う論が強い.

同じように、食料支援、輸送支援、機器修理支援、自衛の予防行為、公海の警備活動、等論争はきりがない.又自衛とは何かの定義もきわめて難しく、解釈論の宝庫になる.それほど憲法は曖昧なのである.

さらに、日米間に限って言えば、日米安保条約と集団的自衛の問題もクリアーしていない.

そもそも、憲法制定時、日本の再軍備の可能性について議論があったが、内閣の文民化を条件に、具体的な事に言及しなかった経緯がある.ここに解釈論の余地、言い換えれば、政治判断の余地を残したのである.その結果、自衛隊が誕生したのである.

かくて、国際貢献しようにも憲法が足かせになったり、血を流さない日本が国際社会で通用するのかと言う問題に直面した.この問題解決は曖昧な解釈論を超えており、はっきりした考え方の憲法を持たなければ対応できない事は自明である.一方、解釈論でもめる事自身が抑止になっているとの意見もあるが.

そこで、解釈運用をやめ,すっきした法整備をするなら(憲法改正),基本的に次の選択になるはずである.(詳細は当ブログ’NO16安全保障と論理的選択肢’で発信)

①軍備は持つ,その行使は時々の民意・国会で決める
②軍備は持つ,その行使可能条件は法律で定める

③軍備は持たない(自衛権行使も放棄) 

①は一番自由度が多い案、
②は自衛、集団的自衛、国際貢献などを行使可能条件の明文化、③は丸腰案、である.

日米安保条約や他国との安全保障条約、国際的活動はこの憲法にもとづいて行われる事になる.(それでも解釈の余地は残ると思うが)

はたして民意はどれになるだろうか.この国民的合意がなければ日本は漂流するだけである.又、安全保障の政党間の基本合意がなければ,政権交代可能な2大政党はできない.先ず上記3択で国民の意思を確認し、その結果で、条文案を作り,民意を問うたら良い.

しかし、やっぱり日本は決断ができず、憲法改正もせず、

国際紛争に対し,
「戦勝国の作った憲法のおかげで、自衛隊の海外活動は出来ません.憲法改正手続きも,改正内容も,改正時期も定まっていません」

あるいは
「日本は米国に守られている国として,憲法が作られています.したがって,日本の自衛軍が海外で活動できる法制度はありません」

と戦後復興に専念してきた時,湾岸戦争の時,と同じように、血を流している国々に経済支援,復興支援と引き換えに,お許しを乞い続けるのか.

さらに,あるいは
「日本は自国の安全の為に,米国の傘の下にいますが,日本としてはあらゆる国際紛争の解決の為の武力行使には賛同しません」

と,あらゆる国際紛争から距離を置く事にするのか,

ただし、日本の外交活動が成り立つ保証はない.日米安保が継続するかも分からない.いずれにせよ、憲法問題は絶対避けて通れない根本問題だと思う.日本国民は意思と覚悟を求められていると思う.識者,政治家の所見も聞きたい.

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