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2007.10.02

115 どう考える900兆借金

国・地方の借金は2005年で912兆だと言う.1990年は289兆であったが,バブル崩壊後の財政出動で15年間で623兆増加した.一方、金融危機対策で低金利政策を取った為、90年の利払い16兆(GDP比3.5%)に対し、05年は12兆(GDP比2.5%)だと言う.

ところで,07年の国家予算85兆のうち返済は25兆(34%)である.企業や家計なら借金地獄の状態であるが,どう考えれば良いのだろうか.まず特質を上げてみた.

①GDPの約1.5倍を超えている(他国はGDP以下)
②海外から借金はしていない(郵貯,金融機関がほとんど)
③返済額を新たな国債発行でまかなっている
④低金利政策を取らざるを得ない
⑤将来も返済額が予算を硬直化させ,民意を圧迫し,重税を強いる

⑥日本経済は900兆の上げ底(先食い)の上で営まれている
 

これに対し,

・残高の危険水域はGDPが上限とする説,
返済は国家予算の20%が上限とする説,
・債権者が国内だから,どうにでもなるとする説,
・国民資産が1500兆あるからどうにかなるとする
説,
・債権を差し引きすると純債務は400兆程度であり問題ないとする説
・インフレを起こせば軽減できるとする説(紙幣が紙屑になるが)

など評価はさまざまである.

いずれにせよ,世界に類のない膨大な借金残高は,公共投資によってGDP,税収が増えるから問題ない,背に腹は変えられない,子孫への負担など,わしゃ知らん,と国債を発行し続けた結果である.真剣な返済計画など聞いた事はない.

特に90年から資産バブル崩壊対策で,15年間,空前の財政出動(623兆の残高増加)をした.しかし,真に効果のあった政策は15年後の構造改革であった事からすれば,まさに,改革なくして成長なし,であり,現在の経済規模では,いくら財政出動をしても効果がでない事を証明したのである.

しかし,失われた10年当時の政治家は誰一人として,この失政,借金残高を認め,反省する者はいない.今でも口を拭って,偉らそうなことを言うばかりか,構造改革はけしからんと,相変わらず財政出動論で復権しようとしている.この人達の考える返済計画を是非聞きたいと思うのだが.

私なりに,借金の対策を考えてみた.

①財政再建(額)より財政健全化(質)を進めるべきである

財政健全化とは,効果のない事業(食い逃げ事業)の借金返済を後世に残さない事である.効果に見合う借金返済なら説明がつく.後世の国民も納得する.したがって900兆の借金の内、どれくらい不良債務(国民から見ると不良債権)があるのかが真の問題である.

これが、財政を圧迫し、未来の国民の富を奪う.この不良債務の返済を優先し、激減する事が真の財政健全化である.この視点で国債残高を評価し直すべきである.プライマリーバランスを取る事が財政改革ではないし、これでは不良債務を隠し、後世に負担を強いる事になる.

②借金による景気対策事業(食い逃げ事業)は禁止すべきである

財投の抑制と郵貯の民営化は,食い逃げ公共事業に流れる資金を止め,資金の有効活用を促す意味で評価できる.官の間で回っていた資金を民の市場に回し、経済の活性化を図って欲しいのである.

また,大義をでっちあげて,実はばらまきの景気対策の公共事業をやるとしても,借金は禁止すべきである.将来の返済計画とそれに見合う効果が怪しい公共事業は,必ず,借金だけが残る.

③低金利政策は長期に続けられないと考えるべきである

最大の問題は国債残高や金融機関を支えている低金利政策である.これは国民の預貯金や年金資産の目減りという大きな犠牲で成り立っている.金利より投資と言われるが,金利のつかない経済は資本主義とは言えない異常事態である.①の財政健全化を早期に進め,ノーマルな状態に戻す取り組みがきわめて重要である.

④財政,税制,予算を最大の争点にすべきである

日本の閉塞感の大部分はこの借金残高問題である.政治がやるべきことは増える一方であるが,この問題に道筋をつけなければ,政策に手も足も出ない.希望も湧いてこない.各政党は,このテーマへの考え方,政策を発表し,総選挙の争点にすべきである.

⑤増税論議は社会保障以外でやるべきである

医療・年金・介護の為に増税する発想ではなく、これらの財源を先に、割り当てた上で、防衛,国土,文教,産業,等の事業で増税もしくは借金の適否を議論すべきである.不良債務の発生を防止し,過去の悪しき事業を覆い隠せなくする為である.

⑥事業ごとの債務残高を開示すべきである

事業毎に債務残高を管理し,毎年公開すべきである.後世の国民は,なんの事業の借金残高か,何の事業への返済か,を知る権利がある.又,先人の作った①の不良債務は教訓として,後世に伝えなければならない.

これくらいやらないと,国民は気が治まらないし,閉塞感も軽くならない,いづれにせよ,この膨大な借金の評価,処方箋,返済計画を,専門家から聞きたいと思う.

今のままでは,返済計画のない借金は,ヤミ金から借金する事態と同じ,と言わざるを得ないのである.これも含めて,日本の国民性,政治・経済の特徴は’900兆の借金’で全て言いつくせるのである.自慢出来る話ではないのである.

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