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2007.10.29

121 人事制度再設計ニーズに対しての所見

企業経営の基礎に人事制度がある.この人事制度は経営者の考え方,仕事の特性,社員数,業績,年齢構成,労使関係,歴史,等によって千差万別である.

一方、技術革新、国際化,産業構造変化,事業再編,競争激化,などの経営環境や価値観の変化の中で,人事制度の改革ニーズが高まっている.その中で,『成果主義か能力主義か』,『人材はストックかフローか』,等の基本的な議論も再燃しているのである.

ここで,再設計における一つの基本的考え方を述べてみたい.

人事制度は言うまでもなく,企業にとっても社員にとっても納得出来る制度である事が基本である.その上で,一本しかないキャリアパスを管理職と専門職の二つのキャリアパスにするとか,能力と業績を反映する制度にするとか、いかに会社全体の人材を活用し,会社としての活力を向上させて行くかが改革のポイントだと思うのである.

『能力・人間力ある者に地位を』,『業績ある者に禄を』という古典的な考えが,今問われていると思うのである.

そこで,一つのシンプルな人事制度を紹介したい.

月次給与=基準給与(本給+資格給)+職責給+(諸手当) 

・基準給与は残業,賞与などの基礎になる給与
・本給は年功順の賃金(幅を持つ事もある),退職金の基礎.
・資格給は勤続年数,能力主義にもとづく等級制度
・職責給は資格条件のもとで付与される役職・技能職制度

本給は年功序列の文化を残す部分である.給与全体の割合(例えば5割)を設定する.同時に退職金計算式の変更が発生する.次ぎに、新入社員から役職者までの資格体系と資格給を設定する.職責給は役職・専門職の職責体系と職責給を設定する事になる.

職責は肩書きになり、呼称も重要である.あまり再分化すると外部から分かりづらくなる.従って、課長職であっても、本給、資格給が違ってよい.

次に職責には職責毎の『権限と責任』が定義されるが,下記の定義も必要となる.
①組合員かどうか
②残業手当の支給対象者か
③個別原価の対象者か

次に,資格,職責の定義で裁量労働制の適用可否も決める必要がある.又,仕事によって,裁量労働制を外すルールも必要である.

この体系で毎年,年間の業績,能力に応じて,昇給(本給),昇格(資格,職責)が行われる.勿論、昇給、昇格モデルによって、社員も将来の給与が、会社も将来の人件費予測が可能になる.

一方,賞与は業績配分の考え方に立ち,半期毎の業績で賞与原資を決定(営業利益の%)し,配分は個人もしくはグループの業績で配分する,との考えが必要だと思う.但し,賞与は社員から見れば,生活費であり,一定の基準賞与を保障する原資確保が経営には求められる.

その配分ルールだが,資格グループ毎の基準給合計比率で賞与原資を按分し,そのグループ内の順位でその原資を個人に配分する,等のルールが考えられる.恣意的な配分をやると,個人に対しても,過去の支給実績についても,説明が出来なくなるので注意が必要である.

最後に、昇給(本給のアップ評価),昇格(資格,職責のアップ評価),賞与算定の業績評価,に関するルールの問題であるが,過度にルールに走る事は危険である.基本は管理職と社員のコミュニケーションに置く事である.

何らかの評価方法を取るにしても、社員の顔が見えるか見えないかにもよるが,相対的評価の難しさがあるからである.同一世代の人数も相対評価に影響を与える.又異質な仕事間の相対評価の問題もある.大企業ほど顔の見えない,仕事が見えない,社員同士の相対評価が問題になるのである.

能力開発や業績達成の為に作られた目標管理が昇給,昇格,賞与の評価の為に使われると,目標設定の公平性に問題がでる.現実は、それらを参考にしつつ,最後は管理職による調整機能が必要になるのである.

退職金制度のあり方も大きなテーマである.本給リンクをはずし,ポイント制にする議論もある.ベースアップと退職金を分離し,それぞれ独立して自由に検討できるメリットがある.賃金の後払いとの解釈のもと、賞与で払う考えもある.

さらに言えば、職種によっては、年棒制をとる企業も現われている.同一企業の中で、工場や営業で制度を複数持つ企業もある.

以上、人事制度の根幹に付いて述べたが、業績向上や専門家集団の形成を促進するシンプルな人事制度が今求められていると思う.

尚、新制度への移行には、細心の注意が必要となる.特に移行に伴う不利益を出してはならない.新制度に個人を当てはめた時、給与額に不利益が出る事は予想されるが、何年間かの経過措置(補正支給)で対応する事になる.

米国の様な個人ごとの契約主義ではない日本は,会社と社員の約束で人事制度が存在する.従って,制度の不具合や不透明制を放置する事は社員の会社に対する信頼感を奪う事になる.人事制度はまさに経営の基礎であり戦略なのだから,いかなる人事制度も社員の信頼感を失ってはならないのである.

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