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2008.01.23

126 ガソリン暫定税率論議

30数年続いているガソリンの暫定税率(道路目的税の上乗せ部分,2.5兆)を継続すべきか,廃止すべきか,期限直前,原油高騰,財政逼迫,の土壇場の時期に議論がヒートアップしている.

争点は

①暫定税含めて道路目的税を10年間継続(道路計画にリンク)
②暫定
税は廃止,本則目的税は一般税化

①②とも必要な道路は作るとしているが,さてどちらの案が国民から支持を得られるのだろうか.自分なりに考えを整理してみた.

この争点を掘り下げると

①はこれからも道路整備の要請は強い,全国の幹線道路も完成していない,財政逼迫の中で,他の事業に影響を与えず,財源を確保したい.との主張.かつて,道路目的税の一般財源化に反対した主張と同じ.又,既に2008年度予算案に折込済みであり,廃止は財政の大混乱を招く.と主張.

②はガソリン高騰,経済対策としてガソリン価格を値下げすべきだ.経済効果も期待できる.そもそも,道路だけ特別に財源確保する情勢にない.道路目的税(ガソリン本則税)も一般財源化し,他の事業と必要度,優先度の比較検討をすべきだ.その為に,縦割りの補助金行政をやめ,交付税中心の地方財政に移行すべきだ(地方分権論).との主張が根底にある.政治・行政改革の大儀もある.

この論争はどう見ても,ガソリン値下げ案,一般財源化案が勝つに違いない.経済の波及効果も,道路開発よりガソリン値下げの方が大きいと思われるし,何よりも道路以外の事業に税金をまわして欲しいと思うからである.又,国民意識の根底に,過去の道路建設のばらまき,利権,談合,政治献金,選挙,いわゆる政・官・財癒着構造への嫌気がある.

全国の地方自治は暫定税率の継続を強く要望しているようだが,国のあり方の論議ではなく,自分のところに予算が欲しいだけの要望のように聞こえる.

そこで,あらためて,双方案の違和感を整理すると次の通りである.

①は過去の道路行政の多くの問題を引きずったまま,次のような違和感がある.

・国家財政の逼迫の中で道路を特別視する理由が見当たらない
・10年間で60兆の財源を道路で確保する必然性が疑問である
・道路目的税の一部の一般財源化といっても道路でしか使えない

地域経済の活性化に今後も道路が有効であるか不明である
・道路建設と他の事業との優先度を比較していない
・目的税の負担と受益(車と道路)の関係が経済復興時と違う

・過去の工事のばらまき,利権・票の復活
も感じられる
・道路特会が官僚の天下り,無駄な独立行政法人の温床か

・ガソリン需要の抑制を言うなら道路建設財源とは無関係
財源をみすみす手放す事はないとの感覚がないか
・地方の道路要請は国費が前提だからか
・道路の効果より工事の効果(金,雇用),公共事業経済を優先か


どうやら構造改革で票を失った参院戦の挽回の為,60兆円ワシづかみして,選挙に勝とうと言う色彩が強い(道路族のドンが選対委員長に就任した事でも自明)
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小泉政権で一般財源化の方針を出し,安部政権で,道路予算が余ったら一般財源にまわす,と後退し,福田政権では暫定税を含めて道路目的税を10年間継続して道路行政を維持しようと,180度以上の変貌ぶりである.

また,道路目的税というなら,医療目的税,年金目的税,介護目的税,防衛目的税,教育目的税 などなども許容する論理となるが,税制そのものの議論が必要である.いずれにせよ,道路の財源確保の主張の前に道路案件毎の必要性,優先度を国民に説明する必要があると思う.

②の主張は議論の中では正論と言えるが,

・減税をするが道路も作る,では,絵空事,ポピュリズムになる
・減税をするが道路も縮小する,と言った方が論理的である
・原油が下がると税廃止の効果が低減する可能性もある
・ガソリン値下げ効果を①案と比較して主張する必要がある
・廃止時の混乱防止策(流通,店頭,国家予算)が必要である
・詰が甘い分,何でも反対,政争の具,に見える
(かって小泉政権の一般財源化案に反対した経緯もある)


’改革とはやめる事’との認識で改革を断行する覚悟が必要である.当面の選挙に勝つ為の主張であってはならない.

結局,双方の議論の本質は財政難の中で’今後も道路を作る’か’今後は道路をあまり作らない’か,に集約される.選挙を意識して,この議論を双方とも避けている感じがする.是非,この観点は徹底論議して欲しいと思う.

私見によれば,暫定税率の廃止でガソリン価格を引き下げて,経済効果を狙うべきだと思う.道路整備は残りの道路目的税(ガソリン本則税)で計画を作り直すべきである.

一方,暫定税率を継続するにしても,物品税に変えて,道路以外の事業(社会保障,介護士待遇改善,災害対策,教育投資,新技術開発,借金返済など)にまわして欲しいのである.いっその事,今回の論議に,次の案も加えたい.

③ガソリン税(暫定部・本則部)を目的税から一般税に変更

現在の国家財政を思えば,10年間で60兆をかけて,道路を作り続ける余裕などないし,もっと優先度の高い事業が多くある.道路を作ったとしても,新たな希望は湧いてこない.’新たな道路建設は10年間凍結’とした思考実験の方が,明るい希望が見えてくる感じがする.納税者も納得すると思う.

選挙基盤にしがみつく道路族議員,工事が欲しい自治体・地元建設業界,が高笑いするシーンだけは見たくない.そんなシーンは高度成長期で終わっている.

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