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2008.02.25

128 経済国際化時代の経済統計の在り方,見方

新興国のWTO加盟によって,世界貿易が急速に拡大している.金融や資本の自由化,関税障壁の低下は,外資の投融資や外資企業の進出を促す,これによって,新興国は加工貿易の促進,雇用の拡大,技術の移転,社会資本の整備,国民所得の向上を進めている.同時に,各国の価値観・文化などの相互理解,共有化も促し,世界平和にとってきわめて望ましい方向で進んでいると思う

一方,国際化している経済活動を従来のように,国とか県とかで切り出しただけでは実態が見えなくなってきている.

例えば,07年の中国の輸出額は約130兆円,6年間で5倍,日本を04年に抜き,昨年米国を抜いてドイツについで世界2位だと言う.

一方,中国進出の外資企業は累計で63万社,雇用2300万人,年間投資約8兆円,で外資の貿易黒字は1300億ドル(中国全体2600億ドルで約50%)だと言う.多分,外資企業の輸出が全体輸出の50%あるのではないかと思う.

かっての日本と同じ加工貿易と言っても,外資企業グループ間の貿易が多い.だとすると,貿易額,貿易収支額あるいは国民総生産に外資系企業の売り上げが多く占める事になる.従って,従来のように,単純にその国の合計値だけでは実態を見失う事になる.

投資なども従来の感覚で見てはいけない.よく世界のファンド資金が新興国に流れていると言われる.しかし,正確には新興国の既発行株式や債権の買いの場合,売り手が必ずしも新興国だとは限らない.従って資金が新興国に流れているとは言えない事になる.又,外資の株保有が増加すれば,当然,配当は外資に流れる.

ただし,資本への出資(投資)や貸付(融資)なら,新興国へ資金が流れている事になる.このように,数字の中身を見ないと正確に実態をつかめないのである.

日本国内で言えば,最近,景気が良いのに,その実感がないと言われている.これも,海外関連企業が好調であったり,輸出が多かったりしている場合が多い.設備投資,従業員への分配,配当,税金などが海外に向いている可能性もある.

反面,ドメステックな企業は国内需要の低迷で景気の実感はなく,為替レートも実力と乖離する事になる.海外進出が増えれば,国民総生産や国内雇用は増えることはない.単純に国民総生産で経済成長を図れないのである.

地域格差,人口流出,地域振興などの県単位の議論も,経済の国際化の中にある.いくら県単位で地域振興策をとっても,経済は県境どころか国境も越えて動く.当然,経済合理性や他府県,海外との競争優位がなければ,地域振興策は無意味となる.地域という限定世界で経済は動いていないのである.

このように,経済の国際化によって,経済実態の把握や政策立案は,国際的視野が当然不可欠になる.従来の合計された経済数値だけでは実態がわからないのである.その内訳が必要である.無意識に働く’島国的思考’は,もはや通用しないのである.

島国的思考は’内と外の概念’が代表的例である.民族的・文化的背景が根底にあると思うが,時として,実態を見失うことがある.’外資はけしからん’と言う感情,論理もそうであるが,外資の定義が極めてあいまいなまま,無条件に’外’を排他的に考える習性が影響していると思う.現在の日本の統計も,世界とつながっている意識を欠落させる.内訳を示しながら,グローバルな思考を育てなければならないと思う.

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