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2008.02.26

129 論理・主張の一貫性

論理や主張は立場や感情も混ざって,一貫性を損なうことがある.人間社会のなせる技かもしれない.

同じ事象に対し,絶対だめだと思う人,まあまあいいじゃないかと思う人,もいる.絶対だめだという人も,立場を変えると,その論理や主張が腰砕けになることもある.自分に関係ない事は徹底して論理性を追求するが,関係してくると,とたんに論理性が乏しくなる事は世の常である.

一方,社会科学の世界では絶対正しい理論等ないと,思った方が良いのかも知れない.しかし,明らかに一貫性がない事は人間社会の営みを混乱させる.いくつかの例を上げ,考えてみたい.

①行政の裁量権の問題

医師の名義貸し,勤務実態のない医師・介護士・政治家秘書等の登録,補助金・政務費・事務費等の目的外使用,行政の裏金作り,効果・必要性の粉飾による公共事業,大義名分とかけ離れた公共事業,
耐震強度・材料強度・食品表示・古紙表示・等の虚偽,記載,粉飾決算,脱税,労働基準違反等の処置問題

等,虚偽事件が良く起こる.その時行政は行政指導(勧告,修正,ペナルティなど)や刑事告発で処置するが行政の裁量幅が大きすぎ,その基準が見えない.その結果,色々な処置に,一貫性が失われる事がある.又,行政自身に責任がある場合,行政訴訟となるが極めて少ない.

②弱者が正,強者が悪とする感情問題

舟の衝突で,小さな船の被害が大きい為,大きな船が加害者になってしまう.回避行動は小さな船の方が有効であり,責任は重いはず.感情的に小さい方を正当化する感じもする.この感情は法の一貫性を損いやすく,あらゆる場面で顔を出す.

③自分の都合,片手落ちの論理の問題

外国軍の地位協定に反対する論理と,自国軍の海外での地位協定を主張する論理とが相反する場合がある.自分の都合だけの論理は弱い.

又,米国の核,軍備の傘の下で核,軍備反対,平和憲法国家日本と主張しても説得力が無い.

④弁済責任のない政治家・役人へ金を預ける危うさの問題

弁済責任のない政治家,官僚に税や社会保険料を預ける危うさが露呈.いつまで続くのか.責任のあいまいさに加え,金も戻らない.それどころか追加の金が発生する.なのに,このリスクを徹底的に排除する制度が弱い.

そもそも,効果のない公共事業や年金保険の失政などに対し,評価・反省など聞いたことがない.無駄の発生も合法的で問題がないと思っているのだろうか.リスク排除の制度強化が税制論議の前に絶対必要である.

⑤未来の主権在民権を奪う膨大な借金問題

主権在民の要求で無駄な借金を増やせば,未来の主権在民権を狭めてしまう.民主主義は,借金を増やし,未来の国家財政を滅ぼす事もありうる.だからと言って,どこまで借金してもよいか国民は知らない.民主主義の危ういところである.

⑥許認可はするが,責任は取らない行政問題

日本独特の入り口を重視する文化の現われ.薬など,本来,許認可したなら,責任を持って,その後のチェック責任を果たす義務があるはずだが.

⑦行政の丸投げ構造の問題

公共事業の調査,構想,見積もり,業者選定,納品確認,支払,運用改善など一連の工程を天下り先の外郭団体に丸投げし,役人は事務処理をするだけ.外郭団体も,さらに丸投げし,問題が起これば,それは先方の問題だと言える余地を何段階にも作る.

この役人の保身構造を税金が支えている.役人側に立てば,見事な,逃げ道作りの一貫性がある.反面,この事が,行政コストの肥大化を生むのである.責任回避・保身構造を維持している限り,行政改革は出来ない.

⑧儲ける事や外資を生理的に嫌う問題

個人的感情で嫌う事は自由だが,現実は『儲ける事』や『外資』で経済が成り立っている.合法的な経済活動に品格差などない.実業も虚業もない.儲け方や資本の所有に良し悪しはない.
’外’に対する生理的嫌悪感で,制度を作りたければ,日本企業の海外進出,海外への投資,社会保険の資金運用も止めなければならないのだが.

そもそも外資の定義も曖昧な議論が多い.海外株主が50%を超える優良日本企業を外資というのだろうか.

『少しの儲けは善で大きな儲けは悪』『実業は善で虚業は悪』『内資は善で外資は悪』『年金の融資,投資の運用益は善で,個人や企業の不労所得は悪』等,論理矛盾がこの世に多すぎる.

⑨外国人犯罪,外国農作物問題

輸入食品に違法性があったり,日本で外人の犯罪があった時,国内の同種の問題を棚に挙げて,ナショナリズムむき出しの過敏な反応をする事がある.このように,ナショナリズムに走る事なく,国内外をフェアーに見る感覚が,グローバル社会では必要である.論理の一貫性を保つ為にも必要だと思う.

⑩国の民意を無視する政党の問題

選挙で負けそうだと総選挙はしない.当然のようだが,民意より党利優先のあらわれである.また少数政党でも連立で内閣に入る.これも民意とはかけ離れている.政党は民意とかけ離れた自己中の行動をする.

⑪憲法と民主主義問題

戦後,現行憲法を変えていない事を自慢する人もいるが,憲法改定の仕組みを持っていない事で
失笑される.当然,憲法改定の仕組みも,改定した経験もない国が,民主主義国家だと言えるはずがない.日本は世界に唯一,不思議な異国である

このような論理に一貫性がない問題は枚挙にいとまがないが,グローバル社会の中で,もっと理論立てをしないと,日本は世界についていけなくなる.物質文明も結構だが『考え方・制度・仕組み』という『アーキテクチャー』もきわめて重要なのである.この『論理的なアーキティクチャー』は国家のみならず企業においても不可欠だと思うのである.

論理の一貫性がないと,いづれ,国の品格,信頼感を失い,社会秩序が崩壊して行くと思うのである.

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