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2008.03.04

131 イージス艦と漁船の衝突事件に見る稚拙な批判

イージス艦の漁船衝突事件が発生した.なぜ防げなかったのかとか,なぜ救助できなかったのかとか,自衛隊内の連絡が遅いとか,自衛隊内部で保身の口裏合わせをしているのではないかとか,自衛隊内部がたるんでいるとか,避難ごうごうである.

そんな批判や昨今の不祥事を受けて,自衛隊の改革に取り組むと言う.組織人事の改革にとどまらず,有事法制度まで掘り下げた行動基準の議論が進むのだろうか.

自衛隊の車両,船,飛行機などは,単に輸送機器としての側面と軍備としての側面がある.その運行や行使は①一般の法律に従う時②自衛権発動やテロ対策の時(有事の時)③どちらか不明の時,それぞれに行動基準が変わる.

有事立法が過去から話題になるが,依然,断片的(海外活動など),あいまいであると認識している.ましてや現実には③の問題が国内でも起こり得る.

今回の事件で言えば,正体不明(自国・他国限らず)のテロリストからの攻撃を受けたとしよう.最先端のイージス艦なら狙われる事は容易に想像できる.ましてや,今回の事件で簡単にイージス艦に衝突される事が立証された.さてこの時,一般と同じ法律で対応するのか,有事の法律で対応するのか.

②③の行動基準を決めずに,自衛隊はけしからん,と非難する政治家が多い事が気がかりである.

暴言を吐けば,交通事故は自衛隊だって起こる.犯罪も起こる.自衛隊も,そんな事で,わざわざ大臣や総理に逐次連絡を入れるとは思ってもいない,のではないか.政治家は,そのことを問題にする以上に,②③の問題を真剣に考えるべきだと思うのだが.その議論の中で交通事故の対応も定義づけられる筈である.

’こんな交通事故への対応のまずさで国を守れるのか’と叫ぶ前に,国を守る方法を示さなければ,行動も決まらなければ,抑止も防衛機能も発揮できない.憲法の解釈論の曖昧さが,そのまま自衛隊の行動の曖昧さにつながっている感じがする.

これでは膨大な防衛省予算(年間5兆円)は無駄だという事になる.1400億かけたイージス艦が事故後仕事をしていなくとも,誰も気にしないのは,防衛予算も同じではないかとさえ思う.

長い間,日米安保条約の下で,憲法や有事法がはっきりしない防衛という保険に,国民は保険料を払い続けてきた感じがする.幸い有事が起こっていないから,この問題が露呈しないが,本来なら,しっかりした保険にすべきなのである.これなら万一に備えた保険料(税金投入)は意味がある.

このように,交通事故で垣間見た自衛隊のあり方の議論より,もっと本質的な防衛行動の法整備の議論が必要だと思う.これをやると,憲法問題で大議論になったり,きな臭くなり,やっぱり思考停止状態になるのだろうか.

交通事故程度の対応策(海上保安庁との役割問題とか,情報開示の問題とか,連絡方法とか,事故防止策とか)が身の丈の議論だとすると,自衛隊など持つ資格がないのかも知れない.保険料も高すぎる.

いや,有事の行動を曖昧にしておいた方が,中身のない保険になってしまうが,有事がエスカレート(有事の拡大)しなくて済むかもしれない,などと高度な,自虐的な,発想が頭をよぎる.(そんな国はないと思うが)

こんな状態では,ひたすら有事が起こらない事を只々願うだけである.起こったとしても,交通事故程度であって欲しい.

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