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2008.03.16

132 食糧自給率向上は食文化にあり

食料自給率40%を根拠に,農業問題が議論されているが,疑問がある.そもそも,この数値は熱量換算ベースであり,飽食の値である.多分,品目別の生産量や必要最低限の食料で換算すれば,自給率は随分高くなると思う.

そもそも,日本の食文化の大きな変化は洋食化(小麦と牛肉)である.これが自給率を引き下げているのである.

ファーストフード店でハンバーガーを貪る若者が,いかに多いことか.朝食もパン食が多い.米を主食としてきた国が,今や小麦文化に席捲されている.

米はそれ自身がおいしいから,そもそも加工する必要がないが,加工しにくい特性がある.加工用の米粉を作ったとしても小麦粉程に用途が広いわけではない.小麦はそれ自身はまずく,米のように直接食べる事はないが小麦粉にすれば,加工しやすく,グルテンの特性から多様な加工食品の食材になる.

もう一つ牛肉である.そのおいしさやエネルギッシュさで嫌いな人はいない.米国戦略からすれば,まず,牛肉の輸出し,肉食を普及させる.その内,各国で牛を飼育する事になる.この時こそ,飼料を輸出したいのである.飼育と言う手作業を全世界に広め,特殊な混合飼料を独占的に供給する事である.牛は確かに国産になるが,飼料は100%輸入となり,はたして肉を自給していると言えるのか,という問題もある.

さらに言えば,和食と洋食の決定的な差は油の使用である,和食の典型はご飯,小魚,味噌汁,漬物,味噌,醤油である.洋食は小麦粉を使った料理も副食の料理も油を多く使う.この油も,当然輸入に頼ることになる.

肉や油の持つおいしさ,エネルギーを口にすると,病みつきになる.子供の時,油,脂肪を口にすると,一生,この味から逃げられなくなる.かくて,小麦,肉,脂・油の洋食文化が日本食文化を凌駕し,体格も大きくなって行ったが,食料自給率は時間とともに,下がったのである.

油や脂肪の大量消費で食器洗いの洗剤はますます大活躍であるが,体に入った脂肪や油は洗剤では落せない.小麦・肉の食文化から脱しない限り,体脂肪は落とせないし,日本の自給率は上がらないのである.

一方,健康食品志向から和食が世界的に見直されている.しかし米や魚を全世界で食べ始めたら,その食材は瞬く間に枯渇する.巨漢が200g,300gのステーキを食べるように魚を食べたら,ひとたまりもない.その食材の生産や漁獲は地域的に限られているからである.

小麦,肉,油は大量生産可能だと思うが,日本食材はそうではない.日本食が世界に普及すると,日本食材が不足し,価格が高騰し,日本食が減る.大量生産の安い洋食が結果的に増え,ますます自給率が落ちる事になる.

そこで,地産地消の,食文化を各国に広めるべきである.この方が自然である.ハンバーガーチェーンやフライドチキンチェーンが世界に展開される事は,地産地消,食文化,食育,健康を破壊する危険性がある.安易に食事が餌を食べる様になってはいけないのである.

従って,日本は日本食に回帰し,小麦,洋食を減らす.又,日本食を世界に広めない,世界のグルメを求めない,同時に世界各国の地産地消,自国の食文化の維持を訴える.これが世界の食糧自給率,自然保護の基本だと思う.

世界の人が,おいしい物,安いものを何でも輸入する事は世界の資源を食い散らすことになる.又,何よりも,食べ過ぎない事である.飽食やグルメ志向は健康にも悪い.食糧の貿易障壁を作るのではなく,消費者側から食糧問題を変えて行く事が大切だと思う.

CO2削減,無駄なエネルギー消費の削減と同じように,地産地消,食文化を守ることが,地球環境,健康にとって必要なテーマだと思う.食べ物を質素にしても,世界の美味しい料理を食べなくても,豊かな文明・文化が損なわれる事はないと思う.むしろ,各国,地域の食文化にとっても良い.健康にも良い.

エネルギー生産や工業製品は世界分業で発展して行く事は必要であるが,食糧は必ずしもそうではない.風土にあった食文化がもともと,あるからである.ただし食糧難の国への食糧援助,農業開拓支援はもちろん必要である

地球上の生物は食物連鎖で自然界のバランスを保っている.人間はその連鎖の外にいる.人間の食べる量は,この自然のバランスの勘定に入っていない.従って,食物連鎖を崩さない程度に,少しだけ,食べさせてもらうのである.その為に,世界各地で地産地消が必要なのである.マグロを世界の人が食べたら,たちまち食物連鎖が切れてしまうのである.

以上,食糧自給率向上,食料資源保護の為に,世界が地産地消の食文化に回帰する必要性を述べた.日本が最もこれを率先すべきだと感じる.世界のグルメを食べあさったり,世界の料理を好んではいけないのである.

日本の家庭にある鍋・食器・調理器具の種類は世界一多いと言う.フランス料理,米国料理,イタリア料理,中国料理,何でも食べるからである.世界の国はそれぞれの国の料理を食べるので食器も調理器具も少ないと言う.この辺から意識改革が必要である.

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