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2008.07.13

144 たばこ増税論戯

また又,たばこ増税論が出始めた.たばこの持つ常習性,嗜好性,喫煙人口の多さから,いつも増税のターゲットになってきた(現在税率60%,約2.2兆).たばこ増税は反論しづらく,取り易く,しかも景気に関係なく安定的な財源だからである.

たばこは国営事業でスタートし,戦費の確保等,国家の資金確保に,いつも登場してきた貴重な商品である.先般,社会福祉財源の確保の為の消費税増税を選挙前に避ける為に,またまた,財源の宝庫,たばこに照準が向けられた.苦しい時のたばこ頼みである.

しかし,今回の大幅な増税論のコンセプトがはっきりしない.私流の整理であるが,次の二つに集約されるのだろうか.

①現在より2倍程度に税収を増やしたい,との考え方(@1000円案)

健康論で,たばこ消費を減少させたいと言いつつ.それによる財源の減少を補ってあまりある価格,税率を設定し,新たな財政需要をも賄いたい.との考え方.

学者,政治家の多くは、3分の1が禁煙者になり,健康被害も減る,それでも税収が増える,こんな結構な話はない,と言う.

しかし,喫煙者減と税収拡大を両立するには,禁煙しない人に巨額の税負担を強いる事になる.毎日一箱(600円の税)吸うと,年間21万円の税負担になる.広く浅くの税制から,税負担の局所化,逆進化,高負担化,不公平化に限りなく向う事になる.

何よりも,高額でも,たばこを買う人はニコチン依存症である.病人に重税を課すようなものである.禁煙人口が減って,健康被害が減る事は良いと思うが,ニコチン依存症の人に負担が集中する事になり,財源もニコチン依存症になる.低所得者に喫煙者が多いとするなら,これも又,大きな問題になる.悪く言えば,麻薬の上がりで国家財政を組む事と変わらない.

当案の賛同者は,たばこなど止めればよい,と言うに違いない.それなら税収増を期待してはならない.結構な話以前に,論理矛盾に気がつかない思考力の方が心配である.

②波風立てずに増税をしたい,との考え方(@500円程度の案)

消費量の減少で税収が減少する事を避けたい,消費減にならない程度に値上げし,税収を増やしたい,との考え方.しかし新財政需要を満たすほどにはならない.

これは,あまり波風を立てずに,じわじわ値上げをする,歴史的手法である.又,①②に対し,海外では,もっと高い,と値上げを後押しする人がいるが,海外の高速道路料金と同じように只にせよとは言わない.片手落ちである.公共料金や税制全体について比較した上で言うなら筋が通る.我田引水のつまみ食いは,世間をミスリードする.

という事になる.さて,たばこ税制を,どのようなコンセプトにして行くのだろうか.聞こえてくるたばこ増税論は,あまりにも短絡的な感じがする.

そこで自分の考えを述べたい.あえて③とする.

③たばこに財源を求める考え方はもう終わりにする(価格は現状,税収減を許容)

①②に共通して言える事は,健康被害の回避から喫煙者が減少して行く中で,たばこ税収の維持・拡大は,禁煙出来ない喫煙者に罰則的重税を強いていく事である.特に,ニコチン依存症者に限りなく負担が向かい,苦しめる事になる.密造・密売・ヤミルート,バラ売り,しけもく,キセル,紙巻たばこ,等が横行するかもしれない.昔,見たような風景が目に浮かぶ.

国家として喫煙者や,ニコチン依存症を減少させるなら文化的・健康的キャンペーン(既に禁煙エリアが飛躍的に拡大中)や代替製品開発,医学的な政策をとるべきである.

酒なども,そうであるが,依存症のある消費に税収を求める事は,国家の品位にかかわる事だと思うし,何よりも’消費を減らしたい,でも,もっと財源が欲しい’と矛盾した政策になる.’体に悪いから高額にするけど,やめないでね’と言っているようなものである.

この矛盾からの脱却を考える事が政治の仕事だと思う.たばこが嗜好品と言われていた時代から,健康被害品の時代に移ったのだから.昔のように財源の宝庫と思ってはいけないのである.

しかし,依然として,増税は抑止が狙いと言う人がいる.ならば,体に悪い食品や社会に悪い商品,サービス,すべてに,課税するなら筋が通る.現実は抑止の目的で課税をするのは輸入関税くらいだと思う.しかしこれも減少傾向にある.

一般に,商品やサービスに抑止目的で課税する理屈は,対象が限定するだけに,成り立ちにくい.せいぜい抑止目的が成立するのは税収を期待しない場合である.'抑止できて税収が上がる’と言う税制は必ず論理矛盾にぶち当たるのである.

以上,たばこ財源からの脱却が正しい方向である.たばこ税はニコチン対策にまわし,限りなく,たばこ消費を減らす方向に使うべきである.その結果,たばこ税収がなくなっても,その時は,それ以上の医療費削減が可能になっているかもしれない.(たばこの健康被害説が正しければ)

たばこ増税論者の皆さん,どうでしょうか.

・それでも背に腹は変えられないと,理屈抜きで増税に走りますか.
・いつまで増税による,税収確保,税収増を続けるつもりですか,
・ますます,国家財政がニコチン依存症になりますよ,
・或いは,消費抑制の為,健康の為,といい切れますか,目的税でよいですか,

・いっその事,健康にあまり害はない嗜好品だとして増税をして行きますか,

考え方をしっかり持って欲しいものである.

ところで,

今後,税収確保の為に,既存の商品,サービス,取引に重い税金を課す発想だけではなく,寄付を含んだ取引きを普及させる事が必要だと思う.例えば,この商品売上の2%は地元の病院に寄付しますと言った売り方である.

財政がひっ迫した分野を明らかにし,これに企業,消費者が協力する文化である.消費者もチャリティ意識が芽生えてくる.米国ではチャリティ販売が多いと聞く.日本も税に走る前に,こんな寄付・チャリティ文化が根付いて欲しいと思う.

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