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2008.11.16

156 経済危機で変わる事

90年代の日本の経済危機やその後のグローバル化,途上国の発展は日本の経済成長を支えてきた政治構造・産業構造・精神構造の脆弱性を露呈させた.

’美しい湖の水が引いたら,ヘドロだらけの湖底が露出した’感じである.

この危機に対し,積極的な財政出動(失われた10年で国債残高600兆増)も効果は限定的であったが,金融業界・産業界の再編,リストラクチャリング,自立,横社会への変革,規制緩和,等の質的変化によって,フリー,フラット,グローバルな構造へシフトと,経済活力の回復が始まったのである.

さらに,幸運にも,パソコン,インターネットに代表されるIT革命,その後のデジタル革命が起こり,構造改革や産業の活性化を促す事になったのである.

このIT革命は縦構造のレガシーアーキテクチャーから横構造のオープンアーキテクチャーに切変わるものであり,技術・考え方とも革命に当たる大変化である.今日のITの伸展を見ても明らかである.

この革命は,80年代のアメリカの不況下で生まれた新しいアーキテクチャー・テクノロジーであるが,90年代,本格的に日本に上陸した.日本の社会の変化とITの変化が同じ考え方で同時進行したのである.

この様に,90年代の金融・経済危機は日本に大きな転換を促したと言えるのである.

さて,今回の危機は米国を震源地として世界規模で起こった.その影響も長期化の様相になってきた.日本においても,需要の減少,株・ドル等金融資産の暴落,資産運用の赤字化,相対的な円高,信用の収縮,が起こり,日本経済に大きなダメージを与える事になったのである.

米国はじめダメージの大きい国では,不良資産の買取,資本注入,資金融資,など負の連鎖を断ち切ろうと必死である.国際的にも,これを後押しする事になる.今後の為に金融商品の膨張への監視・規制も検討されると思う.

この危機を通じて,どの様な社会変化が日本に起こるだろうか.

反省すべき事が特に日本にはないとして,只ひたすら,景気回復を忍耐強く持つしかないのだろうか.苦しさから,融資の拡大や景気対策の公共事業を拡大するのだろうか.だとしたら,国の借金が1000兆を超えるのも時間の問題となる.

国際化した金融システムの脆弱性に対する是正が論議されると思うが,90年代の様な日本の社会の質的な変化は起こらないかもしれない.しかし,今後の経済の景色が変わると思う.いくつか上げてみた.

①米国の政治力,経済力の下落
②アジア経済圏へのシフト
ローン・借金による需要拡大の減速
④リベラル政治の台頭(パイの拡大よりパイの分配を重視)
⑤国家財政の逼迫,行政コスト削減,増税

等,かならずしも,経済成長が図られる環境・風景ではないと思う.’消費は美徳’ではなく,’節約は美徳,浪費は悪’の価値観に変化していくと思う.この戦前のような日本の価値観に国も企業も転換せざるを得なくなる.従って,経済全体が縮小し,商品・サービスともに,消費の必然性があるものが生き残る.

消費大国・ローン大国・米国の価値感が変われば,世界が一気に縮小均衡に向う.途上国の発展も減速する.内需拡大と言っても,この価値観ではあまり期待できなくなる.もし拡大しても,かなりの部分,輸入を増やすことになり,国内経済の波及効果は少ない事になる.

そんな風景の中で,経済を引っ張る分野は,願望も含めて言えば,

⑥資源(食料・水・エネルギー・素材)革命

である.社会の根幹である資源に大変化が起こるのではないかと思う.

まず食料は’,国産国消’の方向に向かう.農作物や水産物の貿易拡大は世界の生産の寡占化を進め,天然資源,食文化を崩壊させて来た.

余談だが,日本の家庭の食器の種類,数は世界一多いと言う.日本食,洋食,中華,を食べ,個人ごとに盛り付けるからである.さしづめ,米国でも,フランスでも,中国でも,イタリアでも,世界の料理を家庭で作る事もしなければ,料理の器も大皿と取り皿だけである.

食料の自給率が低いのは,日本の輸入文化や工業製品の輸出と関係していると思うが,日本食に回帰する事で農業・漁業が改革され,地域活性化につながる.この食料の国産国消は消費者がリード出来るのである.

さらに,経済の牽引は

海水を真水に変えるプラントで世界の砂漠を緑化し,水道を普及させる事,
・太陽エネルギーを発電や車に活用する事,
・新素材の開発と切り替え需要を起こす事,

等が予想される.いずれも日本の得意分野である.

これによって,経済の安定化,政治の安定化,自然環境の安定化,さらに,有限資源からの開放が可能になる.

こんな世界を創出して行く事が資源の無い日本のテーマだと思う.日本の資源コストを低減させ,地域活性化にもつながると思うのである.

国の政策としても,金をばら撒くだけの,知恵の無い景気対策では経済危機からは脱出できないし,夢も希望も湧いてこないのである.社会福祉の充実は直接的には税の配分によるが,長期的には価値あるパイの拡大以外あり得ないのである.

90年代以降,IT革命,その後のデジタル革命が起こった様に,今度は資源革命が経済危機をバネに加速するのではないかと思う.また,そうありたいのである.

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