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2008.11.24

157 古都の紅葉

京都は今,赤.橙,黄.の紅葉に彩られている.錦秋の古都,まっさかりである.

紅葉は光合成の終わった葉から緑色の色素がなくなって,赤や黄の色素が現れる.葉の紅葉は,温度,湿度,紫外線と関係すると言う.

京都は紅葉に適した気候と多くの神社仏閣にモミジがある事で古くから紅葉の名所になった.京都のお寺にモミジが多いのは,平安時代,一瞬の爛漫の桜より,新緑,紅葉が美しく,静寂さをかもしだす,いろはモミジを好んだからだと言う.

一方,桜は全国各地の河川改修の時,堤防に植えられた.成長が早いからだと言う.今や樹齢を重ねた数キロ続く桜堤が全国に春を告げている.中でも,桜と菜の花が,いっせいに咲き乱れる雪国は春爛漫真っ盛りに成る.雪国の草花も,春野菜も,山菜も,里山の若葉も厳冬を乗り越えた勢いがあって美しい.春を待つ人々の心も,いっせいに,ほころぶ.雪国は晩秋の紅葉より春爛漫がふさわしい.

桜と違って,紅葉は微妙な環境の違いで,その美しさが違ってくる.2,30年前と比べて,京都や奈良の紅葉は美しさがなくなってきた,と言う人が多い.確かに実感することである.温暖化のせいなのだろうか.しかし,毎年紅葉を見ていると,場所によって,変化の度合が違う.

例えば,奈良の紅葉の名所の一つである水谷茶屋(若草山遊歩道の入口にある藁ぶきの茶店を囲むモミジ)の紅葉は年々,南側の大木の葉が生い茂り,モミジに太陽があたりにくくなっている.日陰になったモミジは緑色の葉をつけ続け,太陽の当っている枝先の葉だけが紅葉しているのである.これでは,昔のような,あたり一面の見事な紅葉は望めない.

同じような事が名所で起っているのではないか.紅葉がまばらになるのは,温暖化の影響より,他の木々の成長で日陰になったせいではないのかと思う.もし温暖化の影響なら,全体が影響を受けるはずである.剪定に手が回らないだけの様に思われる.

さて京都の紅葉は盆地を囲むように,東山一帯,西の嵐山・嵯峨野一帯,そして北の大原一帯に分布している.東山でいえば東福寺から北に清水寺,高台寺,円山公園,知恩院,青連院,さらに岡崎に入って南禅寺,永観堂,哲学の道,銀閣寺などがつながる.

西は嵐山の天竜寺,宝厳院,嵯峨野の常寂光寺,二尊院,祇王寺,大覚寺さらに北の清滝,高尾,神護寺などがある.北大路通りの西の衣笠一帯には竜安寺,仁和寺,金閣寺,南に下った花園に妙心寺等もある.

京都の紅葉を楽しむには午前中は朝日が差し込む嵐山・嵯峨野,午後は夕日が当たる東山一帯が良い.夜のライトアップも幻想的である.

今でこそ,京都は紅葉のみならず,歴史,宗教,神社仏閣,建築,美術骨董,庭園,植物,町家,食,織のテーマパークであるが,明治の東京への遷都で,京都は一時荒廃した.

京都御所生まれの明治天皇も憂いたと言う.公家の岩倉具視の働きもあって,公家の跡地に御苑を作り,平安神宮を作り,琵琶湖疎水を作り,発電所を作り,電車を走らせ,京都博覧会を開催するなど,産業や観光の振興が行われたのである.何よりも,3000ある神社仏閣が残り,維持してきた事が今日の京都につながっているのである.

湯豆腐,鱧,京野菜,京料理などの京都商法(歴史も,調度品も,器も,庭園も,雰囲気も,値段のうち)がどこまで通用するか疑問であるが,山の紅葉とは違って,文化の香りを残す京都の紅葉を楽しみながら,歴史に触れられるのも京都の楽しさである.

ところで,最近,京都・奈良を団体でおとづれる中国人,韓国人が多い.ふるさとの香りが自国より,色濃く残っているせいだろうか.だとしたら,中国,韓国,日本の3カ国会議は飛鳥や東大寺で行えばよい.難問も解けて行くかもしれない.

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