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2009.03.14

167 政治資金への所見

総選挙間近のこの時期に,政治資金問題がクローズアップされている.今回は虚偽記載問題なのか,斡旋利得問題なのか,贈収賄問題なのか,未だ不明である.政治資金規正法は,過去に事件のある都度,改定されて来たが,民主主義のあり方にかかわる難しい問題を含んでいる.

自分の中で,整合性ある論を作れるか自信はないが,整理してみた.
まず、個人,企業,団体が献金する理由を想像してみた.

①国の為に働く公僕に寄付したい
支持する政治家,政党の政治活動を支援したい
③自分が願う政策の実現を後押ししたい
④公共事業の受注を有利にしたい

政治家の献金に対する意識は

①表向きは,献金の意図,出所を知らない事として受けたい
②出来たら定期的に献金を受けたい
③献金者,資金の使途は出来たら公開したくない

次に,献金の法規正の考え方で言えば大きく次の三つ.

①個人,企業,団体の献金は全て禁止する案
献金は悪(金権政治の温床)との文化にもとづく考え.政治資金は公金や自己資金で行う事になる.公金の額や出し方にもよるが,政治家をやれる人が限定される可能性がある.すべて禁止と言っても,裏金の厳罰,政治資金収支の公開は必要.

②企業・団体
献金を禁止する案
献金した企業・団体への便利供与を根絶する考え方.しかし,法人の献金を悪だとする問題,献金額の大きさ,個人献金の文化の低さ,等の議論があり,この案に否定的な考えが多い.又,競合政党の政治資金を縮小させようとする意図も見え隠れする.

現在は政治家個人への企業献金は禁止.ただし,政治資金団体から政治家個人への献金は可能(合法的迂回の余地あり)

公共事業受注企業からの企業献金は個人・政党とも禁止の案もあるが,献金の自由の問題,迂回献金の可能性の問題,禁止企業のチェックの問題,等もあり制度設計に無理がある.又,該当企業が全産業に及ぶ事から,やるとすれば,実質,企業・団体献金の禁止になる.

公共事業受注企業からの献金禁止案は制度的に実現できない事を承知して,国民向けにポーズを取っているだけで,本心は企業献金を残そうとしているか,あるいは,与党の反対を承知して,この案を突破口に,全面的禁止の風潮を盛りたて,与党を揺さぶり,国民の人気を取りたいと思っているか,である.

③個人,企業,団体の献金は全て自由とする案
収支の正確性,透明性,公開性,を罰則で担保し,特定企業向け斡旋利得や贈収賄を厳しく厳罰されれば問題なしとするシンプルな案.政治資金規正の厳格化に限界がある事も背景にある.

たとえ,献金が土木建築業界や金融業界など,から多額に,定期的にあっても,献金を許す以上,そのこと自体,問題にしようがない.政治家が多額献金業界に優位な政策を進めても,政治家の政策である以上問題にしようがない.政治は主義・主張・利権・予算取り,の戦いであり,献金と政策の連動の問題は,国民が判断すべきだとの考え方.

大体以上であるが,献金に関する規正は公開性・透明性と特定企業・個人への便益を厳しく監視する条件で③案の自由でよいと思う.

③案は過去の金権政治の再来を懸念する向きもあるが,規正に走るより,自由と公開の中で国民の政治意識が高まる事の方が大事だと思うからである.もし,金権政治が起これば,それは,制度の問題を問うより,民主主義の成熟度を問う問題である.そうでなければ,民主主義も投票行動も育たない.

何でも入口で規制しようとする発想は国民の意識レベルの低さを前提とした律令国家のDNAを引きずっているようで好きではない.国民意識による民主主義の成熟度の向上に繋がるようなルール作りが必要だと思う.

一方,政治資金問題は根本的には誰が負担するかの問題がある.幸か不幸か官僚政治によって日本は政策立案費用は少なくて済んでいるはずである.ほとんどが,選挙体制組織の維持資金,選挙運動資金どだと思う.

本当に官僚政治から政治主導にするのであれば,政治家や政党の政策スタッフを強化する必要があり,もっと政治資金が必要になるはずである.当然,議員数削減の問題も出てくる.この上で誰が負担するかである.表面的な問題より,本質的な議論が必要である.

以上,政治資金制度は必要額,議員数,公金支援,献金制度などと関連し,我が国の政治のあり方を問う問題である.ここは,選挙制度もそうであるが,当事者である政治家が政局,政争の具で考えるより,国民主体の論議が必要である.議論を通じて,国民も見識を高める必要がある.与えられた民主主義を国民の手にするプロセスだと思う.マスコミも識者も,この視点が必要だと思う.

さて,今問題の起訴は,実質,企業から個人への献金であり,政治団体経由にしているのは虚偽報告であるとの事である.虚偽とするには,西松建設の政治団体が実態のないダミー団体であるとの証明が必要となる.

政治団体が実態として存在していれば,企業献金の迂回があっても,献金をどんな方法で集めようとも,違法にはならない.その政治団体の正体や原資が何かは法律では問うていないのである.そのように政治家は法律を作っているのである.政治資金規正法違反は観光客の多いお寺が,庭や花の見学料であっても,拝観料として扱っているのに似ている.

現に企業側の政治団体は多数ある.ザル法と言われているところであるが,これもまた法律なのである,正義感だけで検察権力を行使しては危険であり,そんな権限は司法にはないのである.あくまでも法律と証拠でしか権力は行使できないのである.

秘書を斡旋利得で起訴なら,発注者側への口利きがあったのか,あった時,見返りの報酬として献金を位置づけられるのか,献金の理由を識別できるのか,等,証明する事は多い.

入札の競争妨害(談合)で起訴なら,物件毎に談合の立件と,秘書が談合を仕切った証拠が必要になる.

最後に贈収賄に発展するかの問題であるが,発注者側に金品が渡っていたり,職務権限で介入した事実が必要になる.

素人ではあるが,どれも,立件は難しいのではないかと感じる.ましてやプロの政治家は法律をしっかり知った上で行動していると思う.

最近,献金問題が報道される事が多いが,ダーティさを風潮する話,あたかも違法だ,悪い事だ,と言わんばかりの話が多い.興味本位だけではなく,法律の物差しを意識した報道が必要だと思う.

この件に限らず,政治ネタのテレビ報道に危惧を感じている.相変わらず視聴率狙いのワイドショー化,プアな司会者・コメンテーターの発言,討論バトルのショー化,多局同時類似報道とその繰り返し,等が行われている事である.風評を作り出してしまう危険性に危惧を感じている.

ワイドショー,バライティと言えども,特に政治ネタは事の本質を踏まえた,冷静・公平な報道が視聴率より優先すべきだと思う.視聴率が上がらないと報道すらできないとの反論がありそうだが,本末転倒の自分本位の反論である.

政権交代を問う総選挙が間近であるだけに,報道,特捜の動きに注力して行きたい.

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