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2009.06.25

177 もう一度改革路線を

1991年のバブル経済崩壊,折からの経済のグローバル化で,明治以来の日本の統治機構,護送船団方式,政治風土,の脆弱性,不効率性,無駄,が一気に露呈した,当然,リストラクチャリングが叫ばれたが,’失われた10年’と言われた通り,改革は進まず,景気回復を大義に,膨大な借金,多くの無駄使いを繰り返した.

そして,やっと小泉政政権誕生で改革が動き始めた.改革なくして成長なし,聖域なき構造改革,小さな政府,官から民,を宣言し,同時に,ヘドロのようにたまった不良債権の処理に着手したのである.

しかし,小泉政権後,選挙のないままに,3代総理が変わり,改革への反動もあって,保守回帰が起り,改革は停滞するどころか,世界的経済危機に見舞われて,逆戻りさえし始めた.

こんな中で,今度の総選挙は小泉政権以後初めての総選挙になる.もう一度,改革か保守かを国民が審判する絶好の機会になるのである.

そこで,過去にも当ブログでたびたび取り上げているが,選挙を控えて,この問題をもう一度振り返ってみた.

日本は日本的社会主義,あるいは日本的資本主義,ダブルスタンダード,の国と言われてきた.その理由の一つに,官業の多さがある.金融,保険,運輸,交通,道路,レジャー,ホテル,旅館,保養所,住宅,美術館,博物館,図書館,スポーツ施設,学校,病院,介護,等などあらゆる分野に官業がある.

官業拡大のおかげで,建設土木事業が支えられ,官業周辺に利権組織が形成される,官僚の天下り先も潤沢になる.官僚の支配域も拡大する.資金は官業で集めた資金(貯金,保険料,料金など)と税金である.そして,これらの官業と公共事業を中心とした官・民の巨大な利権組織が出来上がった.

それが選挙の組織票の役割を担ったのである.かくて巨大な官僚国家,役人天国,と安定政権が出来上がったのである.これがまさに日本的社会主義と言われる所以である.

ある山村で,見事に,これに乗じた社会主義村がある.村民のほとんどが村営も含めて官業に勤めている.全員が公務員・職員である.病院,保養所,レジャ―施設,ホテル,農協,郵便局,学校,介護施設,などなど.だが資金は国の公金である.ある種,見事な村社会であるが,この様な社会主義村が全国に広がれば,資金が枯渇し,国の活力はなくなる.

国民の為と言う大儀に隠れて,肥大した官僚国家(大きな政府)は国民の負担と資金の不効率さを増大させる.官業は中止できないばかりか,身ずから改革も出来ないまま存続する組織なのである.

この問題に切り込んだのが,小泉政権である.’官から民’’小さな政府’論である.’旧態の自民党をぶっ壊す’’改革なくして成長なし’とも主張した.勿論,膨大な借金問題が背景にある.社会福祉を充実させる為にも,小さな政府にする必要があったのである.

まさに,'政府がやるべき事'の議論は通り越して‘政府が出来る事'の議論に追い込まれているとの現状認識があったと思う.思想的にも,小さな政府論には,歴史が示す通り,全能の政府を作る事など不可能であり,社会主義・共産主義のように,それを追い求めれば国が滅ぶ,との考えがあったと思う.

この政策は今までの秩序を壊す事から,当然,改革派と保守派の対立が起る,特に,郵政民営化の賛否が保守派か改革派かのリトマス試験紙になると言われた.過去の国鉄の民営化に引き続き,国民の多くの支持を得て,道路公団民営化,郵政民営化,政府系金融機関の民営化,行財政改革などの改革が始まったのである.一方,改革旋風の中で,伝統的保守派は改革に違和感を持ちながら,改革を装う様になったのである.

小泉政権のあと阿倍政権で参院選挙で大敗した事,衆院の大議席を使って,戦後レジュームからの脱却(憲法改定手続き法や教育基本法など)に取り組んだ事が,保守派を取り込む事となり,保守回帰が起ったのである.改革で得た議席が保守回帰に動いた事で政府与党の軸が揺れ始めたのである.

具体的には道路民営化の骨抜き,郵政民営化の見直し,政府系金融機関の民営化の見直し,積極的財政出動,道路族の復活,財政健全化の先送り,などの動きである.加えて,世界的経済危機による景気対策で保守派が回帰から主流派になって行った.

日本の保守派は国家観においても,原理原則より感情論が先行する.理論も苦手である.国の借金など気にせず,バラマキで選挙に勝ってきた経験者でもある.109億の事業価値しかない’かんぽの宿’を2400億もかけて作っても平気な人達である.

こんな箱物をどれほど作ってきたのか.国民の要望に乗って政治家を続けてきた人達かもしれない.まさに,地盤.看板,かばんを持った,おらがふるさとの代表者達である.その成果は850兆の借金を残した事である,こんな古いタイプの政治家は今度の選挙でご辞退願いたいものである.

ところで,改革の大きなテーマに地方分権で国の統治機構を変えよう,と言う議論が古くからある.最近,財政難,官僚国家批判の中で,にわかに,この議論が活発になってきた.

小泉改革路線で行政改革を徹底して遂行していれば,日本の未来は少し開けていたと思うが,日本の脆弱性を早急に取り除かなければ,ますます難題解決が遠のくと思うのである.

そんなわけで,明治以来の国の統治機構の改革(行政構造・政治構造の改革)は待ったなしだと思うが,現在,地方分権による国の統治機構改革論はまだ入り口段階である.地方からの改革の声は自由に使える金をくれ,国一律の規制を撤廃せよ,と言っているが,国全体の姿が見えない.

論理的に言えば,税の無駄使いを少なくし,有効活用する為に,国の仕事,地方の仕事を再定義し,統治機構の全体像を描く必要がある.勿論,国家,地方の予算はどう変化するのかの概算も必要である.その上で,移行方法や議員制度や選挙制度の検討も必要になる.

議論の中で,個々の役割分担や膨大な国や地方の借金,地域差,税の再配分,税体系をどう整合させるか,が悩ましい問題となる.分散を集中させることは簡単だが,集中を分散させる事は至難の業である.単に,自由になる金と権限と人を地方に渡せ,と言った表面的議論では済まないのである.

現状は残念ながら,有識者,政治家ともビジョンとロードマップを描き切れていないと感じる.単純にいえば,徹底した集中で効率を考える事が先だと思う,そして,集中の無駄を徹底排除する事から取り組む事が現実的だと思う.極端な分権論は国全体としては不効率になる事もよく吟味すべきなのである.

こんな中で,総選挙を控えて,各党がどこまで,この問題への考えを発信するか不明だが.国民としては,立候補者,政党が改革思考が強いのか,保守思考が強いのかで選択するしかない.テーマの奥行きが大きいだけに,今回の選挙はその程度のジャッジしかできないと思う.

しかし,NO172政権交代より政界再編で述べているが,ゴッタ煮状態の現政党では党を選択できないのである,選挙の前に政界再編を望みたい所だが,それが出来なければ,せめて,多くの立候補者,特に論客は,個人の信条をを元に無所属で立候補して欲しいのである.

そして選挙後,この人達が中心になって,政界再編をし,構造改革を進めて欲しいと思うのである.政権交替可能な2大政党を作る上でも,政界再編は必要なのである.

いや,やっぱり,ゴッタ煮の政党であっても,そこに属し,内部から改革すると言うかもしれない.その背景は,しがらみ,保身,資金,がからんでいるからだと思う.それなら小選挙区制はどちらかのゴッタニ政党を選ぶだけで,政策を選んだ事にならないのである.せめて,政治を志す人の信条に期待するだけである.

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