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2009.06.29

178 コンビニ再販価格と独禁法

公正取引委員会がコンビニ業界の最大手のセブンイレブン・ジャパンに対し,加盟店の’見切り販売’を制限しているのは,独禁法違反に当たるとして,排除処置命令を出した.

たしか,法律によれば,書籍や新聞など,一部の商品を除いて,販売側に再販売価格維持を強制できない事になっている.メーカー希望価格で売ろうと,値引き価格で売ろうと,見切り価格で売ろうと,販売価格は販売側の自由である.家電や情報機器などはオープン価格(自由な価格設定)であり,正確に言うと,正価や値引き価格という概念はない.

さて,今回のように,日配品,生鮮品が売れ残った時,見切り販売で売り切るか,廃棄するか,はファーストフードのフランチャイズチェーンなどで常に起る.

チェーン店全体の鮮度・品質の維持,企業姿勢から廃棄をルール化している例もある.これは,見切り販売するなという指示ではなく,チェーンオペレーションとして廃棄をルールづけているのである.

そこで
,
・廃棄ルールが価格維持の強制となり,法律違反になるのか.
・廃棄せず見切り販売した事へのペナルティー行為が法律違反になるのか.
・同一価格を義務付けるフランチャイズ契約は価格カルテルになるのか.
・フランチャイズ契約,オペレーションマニュアルは独禁法上の問題になるのか
・独禁法はフランチャイスザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)の間に存在しえるのか.

等の素朴な疑問が湧いて来る,

そこで,なぜ今頃,こんな問題が出たのか,創業時の事業コンセプトから考えてみた.

そもそも,このビジネスモデルは,米国のコンビニであるセブンイレブン(発祥は氷屋)や,ローソン(発祥は牛乳屋)から輸入したものであるが,今や,日本のビジネスが本家を追い越し,日本が本家だと思っている人がいる位である.

日本におけるビジネスコンセプトは,’顧客の利便性に応える’事である.その為に,ナショナルブランドの日用品を少量でも,きめ細かく品揃えし,深夜も販売する.まさに,大量生産大量販売の量販店でもなければ,小規模小売店でもない,サービス業を目指したのである.この考えから,近年のATM,料金の振込み,宅配の取次ぎ,など,まさに地域住民のコンビニエンス・ステーションとして,定着して行ったのである.

又,この事業の展開においては,立地条件,投資資金,転用物件,をいかに早く確保するかが重要となる.そこで,古来の街中にある,酒店,米店,雑貨店,菓子店,などとフランチャイズ契約し,新事業を拡大して行ったのである.

勿論,旧来業態からの脱却・近代化を進めるも,商売の特質から,加盟店の売上高や収益は旧業態と比べて安定はするが,高い設定はしなかったはずである.オーナーの資金運用,小遣い銭稼ぎ,程度の軽い転業を進めたと思う.

本部は開店までの一連の準備(事業計画,法的手続き,店舗建築,販売設備・資材,商品仕入れ,経営と運営の教育,等)をバックアップし,開店後は商品の安定供給,経営分析,経営指導,本部との清算(商品代金,ロイヤリティ,貸与代金の回収,など)を行う.

更に本部は,加盟店舗にPOSなどの情報装備によって,店舗情報の完全掌握,補充発注や販売,サービス取引,販売管理,商品管理,店舗経営分析などをシステム化した,さらに,店舗の経営情報をもとに,不良店舗のチェックと改善・排除を進めながら,優良加盟店を拡大し,良質な加盟店の募集に繋げて行くのである.

このビジネスのもう一つの特徴は,本部が商品代金とは別に加盟店の利益から,一定の率でロイヤリティを取る事である.会社や加盟店契約によって違うが,運命共同体として,成功報酬として,荒利益もしくは営業利益からロイヤリティーが計算される.

ところで,一般小売店で発生する見切りロス(値引きによる荒利益減),棚卸しロス(万引きや,処理リミスによる在庫減),廃棄ロス(不良品処理,期限切れによる廃却)は荒利益,営業利益を大きく左右する.

ところが,ロイヤリティ計算には,このロスは店側の責任であり,特に見切り,廃棄はコンビニのコンセプトからすれば,ありえない(そんな商品は扱わない)として,加味されていない様である.

この様に,コンビニビジネスは利便性提供のサービス業ではあるが,もっと引いて見ると,デベロッパー業,金融保険業,店舗建築業,店舗設備業,販売資材業,商品・サービス開発業,商品製造販売業,商品共同仕入販売業,物流業,経営コンサル業,ロイヤリティ業という多岐にわたる加盟店サポート事業の姿が見える,

簡単に言えば.’何でも支援するから,商売してください’と言うビジネスである.加盟店の資金と労力を使うわけだから,加盟店を増やす程,安定的なストックビジネス(店舗・設備・商品の供給とロイヤリティ)になるのである.これが,フランチャイズ方式の神髄である.

一方,加盟店は本部指導とマニュアルに従って,作業を行い,毎月,清算書を給料明細のように受け取る事になる.加盟店側は自営で商売している感覚より,使われている感じになると思う.そして,アルバイトを入れてもペイする店になるまで,複数店舗を持つまで,あるいは,競合店次第で,過酷な仕事とリスクを常に背負った仕事になる.競合が少なく,恵まれた立地にある店なら,安泰だと思うが.

以上の様に,コンビニのフランチャイズチェーン加盟店は法的にも財務的にも独立した共同事業者であり共同経営者ではないが,独自に他社から商品の仕入もできず,全ての商品を価格交渉もなく本部から仕入れ,マニュアルに従った本部主導のチェーンオペレーションが行われているのである.特定商品の供給を主体としたボランタリーチェーンとは全く違い,加盟店は実質,リスクを背負った本部の店舗と言っても過言ではないのである.

さて,このようなコンビニビジネスで,今回起こった見切り販売の制限問題であるが,次のように類推される.

コンビニのコンセプで述べた如く,コンビニは,ナショナルブランドの小額の日用品を少量・多品種に品揃えする事で,利便性に応えることである.従って,一般の小売業のような,見切ロス,廃棄ロスはビジネコンセプトにも,処理手順にも,利益計算にも,ロイヤリティ計算にも,ないと類推される.そんな中で起こった.

競争の激化,店舗の大型化,等で売上拡大が重くのしかかるようになり,俗にいう2毛作,3毛作(時間帯によって品揃えを変える)をする程である.又,まったく異質な日配品(デイリーフーズ)のおにぎりや弁当にも手を出すようになったのである.コンビニコンセプトや加盟店契約の見直しもなく,変化して行った感じである.

当然,日配品は売れ残った商品の処置が必要になる.小売業では,見切ってでも,売り切る.ところが,見切り販売はコンビニの辞書にはなく,しかも,見切り販売が常習的な値引販売となり他の商品に広がったり,加盟店同士の価格の不一致を招く恐れがあり,ファーストフード業界の様に廃棄を指示したのではないかと思う.多発した食品偽装事件もあって,そうさせたのかもしれない.

しかし,上記のように,廃却もコンビニの辞書にはなかった事から,廃棄ロスは加盟店負担になる.当然,加盟店は廃却より見切りで売り切りる方に動く.かくて,見切り販売,値引き販売反対の本部と衝突が起ったのである.

この様に,廃却も見切り販売もコンビニ経営の辞書に無いまま,おにぎりや弁当を売り出してしまった事が問題の発端だと思う.事前の協議はなかったのだろうか.排除命令が出るまで,何をしていたのだろうか.

今回の排除命令も含めて,フランチャイズ加盟店の再販価格の問題点をもう一度,整理すると,

①日配・生鮮品の廃棄のルール化は再販価格維持の強制になるのか.
②本部は売れ残り品の回収を行い,見切り販売の必要性をなくすのか,
③本部は
何もせず見切り販売を黙認するのか.
④そもそも,全
商品の全加盟店での同一価格販売は価格カルテルにならないのか.
⑤フランチャイズ契約,オペレーションマニュアルは独禁法上問題はないのか
根本的にはフランチャイザーとジーの間に独禁法が存在しえるのか.
⑦同じく,代理店,連結子会社への再販価格維持の強制はどうか,

フランチャイズビジネスに限らず,再販売事業全体に影響する事であり,公取の排除命令を機に見解を明らかにすべきだと思う.

私見によれば,独禁法とは優位的立場で販売価格維持を行う事を禁止する法である.コンビニでいえばザーの自社ブランド商品には法が存在するかもしれないが,仕入商品はコンビに以外の小売業でも売られているので,独禁法は及ばない感じがする.どうだろうか.

一方,この再販価格問題以上に,コンビニビジネスが大きな転換期に来ているのではないかとも感じている.

コンビニエンスストアーは取り扱い商品にしても,サービス商品にしても,あるいは広大な駐車場にしても,店舗の大型化にしても,開店資金の拡大にしても,競合や立地による店舗コンセプトの多様化にしても,当初描いたコンセプトやイメージが大きく変貌していると思うのである.

利用者の利便性は増すものの,店舗の大型化で加盟店の資金回収,リスク,過酷な作業の問題が重くなっていると思う.昔の様なオーナーでは開業も難しくなってきた.加盟店の確保・撤退の問題もある.フランチャイズ契約内容も多様化する事も考えられる.これらに対し,どのように変遷していくのか,きわめて興味深い.

弁当がコンビニビジネスの今後を考える突破口になった感じである.

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