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2009.07.29

182 旧態依然の選挙活動

いよいよ選挙モードに突入した.しかし,日本の進路に取って極めて重要な選挙にもかわらず,怒りさえ覚える選挙活動が目につき始めた.いくつか上げてみたい.

シーン① 地元への公共事業誘致

地元民を前に’永年にわたって,公共事業を地元に持ってきた,これは支持を頂いた地元への恩返しだ.これからも地元の為に戦う’と演説.口利き政治家を認めたような,道路族の演説である.

何かおかしいと怪訝な聴衆もいたようだが,頼れるおらが先生と思っているのか,拍手の方が多い.

かつて地方には,こんな政治家が多かった.毎年の地元商工会の賀詞交歓会等での国会議員の挨拶で,公共事業誘致の話ばかりである.公共事業を持ってくれば票がとれたのである.80年代のバブル経済,90年代のバブル崩壊経済,00年代の公共事業減少時代と,どの時代でも,この戦法が与党を支えて来たとも言えるのである..

特に,古手の党幹部の身体に,この戦法が染み付いているようである.地元の為に,国を食い物にし,膨大な借金を積み上げてきた箱物政治家だと感じる.

せめて,そんな戦法で当選し続けながらも,国政に対する自らの政治信念に取り組んでいるなら弁解の余地はあるが,それも見えない.地位,名誉,議席,権力の対価を公共事業で払っている様に見えるのである.

政治家には国民の政治意識を育てて行く使命があると思うし,国会議員は地元の利益代表ではない.ましてや公共事業を地元に持ってくるのが仕事ではないと,言うべきなのである.

言うまでもなく,国会議員は国家の在り方や法律を決め,予算の効果的活用を行うのが仕事なのである.そのオピニオンの賛否を問うのが国政選挙なのである.そんな意識もない演説に思わず目を覆いたくなる.

厳しい選挙だ,逆風が吹いている,と古手の政治家は言う.その原因がすべて自分の政治姿勢にある事に気が付いていない.

今更,政治姿勢や信条を変えられないだろうから,せいぜい公共事業誘致をアピールして,古い政治手法を演じ続け,住民の国政政治の勉強教材になってくれればと思う.

出来れば,過去に誘致した公共物の脇に銅像を置くのも,政治の歴史遺産として,後世に役立つかもしれない.

シーン② 業界・団体の組織票固め

’こんな政策で貢献したい,要望も是非取り入れたい,どうぞご支持を’と党や立候補者は業界・団体の支持をお願いしている.

支持を得られれば,国会議員・党は支持母体の利益代表として,国政で主張する事になる.それが支持への見返りである.シーン①と同じ族議員の構図がそこにある.護送船団時代の戦法である.

政治家や党はこれらの意見を聞くのは勿論必要であるが,国の視点での政策判断とは一線を画しておく必要がある.投票する国民はこの視線で判断する必要がある.

小泉改革政権の反動で,組織票復活の動きがあるが,古い政治手法に戻るだけである.票を前にすると,国会議員のあり方や政治信念など吹っ飛んでしまう感じである.

シーン③ どぶ板選挙合戦

あいも変わらず,どぶ板選挙が始まった.弁論など二の次である.握手をすれば,立候補者の達成感が満たされると感じるのかもしれないが,ペコペコする政治家はみっともない.いまどき,これで票が得られるとは思わないし,国民はそんなに盲目的ではないと思う.しかし,もし投票行動につながっているとしたら,これも民主主義ではあるが,レベルが低すぎる.

どぶ板に徹したから勝てた,十分でなかったから負けた,では政治信念も政策も関係なかったと言う事になる.どぶ板で勝ったと言うなら,政策が支持されたと言わないように願いたい.国の進路がおかしくなる.

シーン④ 国民へのサービス合戦

生活支援,少子化対策,個人消費増,等を掲げて個人に直接公金を渡す制度,税の再分配先が個人,で本当に良いのだろうか.

かつて,公金は公的なものに使うと言う大前提で運用されて来た.かろうじて,生活保護等の救済目的で支給したり,公的費用の免除で,個人支援が行われてきた程度である.

自然災害をこうむっても,道路復旧に公金を使えても,個人の財産損失や生活基盤の崩壊に公金を支給する事が制度的に困難と考えられて来た.又,一般般個人への支援は減税どまりであった.

今,流行りそうな,一時的な給付金,定常的な手当支給は,従来の公金の使い方からすれば,大きな変化である.この意味を考えてみた.

まず,財源に限りがあると言う前提に立てば,公的事業への支出から個人向け支出へのシフトとなる.簡単にいえば高所得の企業・個人から集めた税金を国民にばらまくのである.

たとえば,

①託児所,保育所をきめ細かく開設する
②託児所,保育園の料金を無料化する.
③子供手当てを支給する,

と言う案があったとする.①②は公的事業への支出,③は個人への支出.である.

さて,同じ予算規模だとして,一つを選ぶとしたら,どの政策が効果的で,公金の使い方として公平なのだろうか.

子供がいる夫婦共稼ぎを支援するなら①,一時的であるが,経済波及効果もある.②③は富裕層にも公金が使われたり,子供を持たない人との不公平感がある.

又③は膨大な予算が毎年必要になり,目的が家計支援,個人消費拡大,になり,①②とは目的が変わってくる.しかし,公共事業と違って,効果の良し悪しが見えにくく,かつ途中で中止する事が至難になる問題を含んでいる.

従って,手当て支給合戦は,国の力を落とす危険性を持っている.やるとしても,財政難を考えると予算の少ない方法を選ばざるを得ない面もある.無節操な支給は重税への拍車,重要政策の実行力低下,国家財政破綻,を間違いなく招く.

税金で手厚い保護を続けると,そのうち保護すらできなくなる.と言う宿命がある事を忘れてはならない.財政難の中で,税金の使い道を真剣に考えた時,個人支給の必要性を説明できるか,大変疑問である..

そんな金があるなら介護保険料や医療保険料をもっと軽くせよ,老人施設や介護者の待遇を良くしろ,医者や病院を処遇せよ,又,そんな財源があるなら,中所得層の所得税,住民税を低くせよ,など,いくらでも議論がある.それでも個人へのばらまきが優先するとは,どうしても思えない.

シーン⑤ 人物より議席が欲しい党公認立候補者

立候補は誰でも出来るが,少なくとも政党公認の立候補者には,政治信念,政治課題と政策への見識,を求めたい.又,党はそのような人を人選すべきなのである.

しかし,どう見ても,知識も主張もなく,デベート出来そうにない立候補者が散見される.うわべの聞いたような話をもっともらしく言う立候補者に苛立ちを覚える.どうせ落選すると思っていても,立候補を許していること事態に腹が立つ.

日本の難問を眼前にして,とてもじゃないが,そんな人に日本の政治を負託できないのだが,国民の政治意識からすると,当選するかも知れないのである.

党から見ればその人が欲しいのではなく,その人の人気で議席をとりたいだけである.その人は国会で党の指示で投票するだけの人になる.

本人もこの事を自覚するなら,絶対立候補すべきではない.党も党利党略で,そんな人を公認すべきではない.国の政治家が弱体化し,まったく国費の無駄になる.せめて票を与えても,議員はいらない.

以上,国家の難題を前に①地元への公共事業誘致②組織票固め③どぶ板選挙④個人へのサービス合戦⑤議席が欲しいだけの党公認立候補者,を垣間見て,はっきり言って’国をつぶすのか’と怒りを禁じ得ないのである.

ところで,どう考えても支持できる立候補者,政党がなかったら,皆さんどうされるのでしょうか.棄権か白票でしょうか.エイヤーと,どちらかに決めるのでしょうか.どちらにしても,国民の責任はなくならないのだが,せめて,白票が一定数を超えたらその選挙区の選挙は無効と出来ないものだろうか.選挙区のまずいメニューを食べたくないのである.それだけに,メニューを出す政党の責任も重い.

そこで,国会議員の選挙は全国区比例区並立制で選挙制度を考えても良いのではないかと思う.勿論,政党の政策と立候補者の政治信条,取組テーマ等は開示される.

地元とか,どぶ板とか,選挙区のまずいメニューから選ばなくてもよくなる.情報化社会なら検討に値すると思う.勿論,国会議員の数も大幅に減らす必要があると思うが.

いずれにせよ,8月18日公示日まで,堅苦しい選挙制度に縛られる事なく,闊達な議論が起り,国民の選択の眼力が高まる事を願いたいのである.そして全国の優秀な論客が国会に集まる事を夢みたい.

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