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2009.08.13

184 地方分権・脱官僚論議

中央集権,官僚国家の解体論が華やかである.明治以来の政治・行政体制を抜本的に変えようという論議である.ずっと以前から,その対策として,地方と中央の役割分担を変えよう,公務員制度を変えよう,道州制を考えよう,政治家主導で政治をやろう,との議論はあるが余り進展していない問題である.

一方,2001年,小泉政権で,筋肉質の国家にすべく,小さな政府論による構造改革に着手,その中で,三位一体改革(税源を地方に移譲し補助金,交付金を抑制する)が進められた.しかし,結果的に地方の取り分が削減され,地方財政が逼迫した.以来,国と地方の金の取り合いが繰り返される事となる.又,市町村合併でその数は半減し,広域行政,行政コスト削減が進められた.

現在の地方分権議論を聞いていると,ひも付き補助金を廃止し,使い道の自由な金に一本化しよう,国の直轄事業負担金を廃止しよう,から,道州制によって,国が持つ役割,財源,人を地方に移管しよう(小さな政府,大きな地方論)まで諸説が飛び交っている.

又,同時に,官僚国家,官僚天国に対し,公務員人事制度改革,天下り団体の縮小,天下りや渡りの廃止,さらには政治主導の政策決定プロセスの制度化,と上記分権論とともに,論議が盛んである.

今回の総選挙においても,この地方分権,官僚国家問題が大きなテーマになっているのである.

目的は国家予算の無駄をなくし,国民にとって効果的に税金を使い,地方の発展を促す事である.しかし,諸論が飛び交っている割に全貌が見えていない.ましてや目的が果たせる保証もない.政党も騒ぐ割に,構想を描き切っているわけではないと感じている.

チョット考えただけでも次の様な素朴な事が見えないからである.(私が知らないだけかも知れないが)

①改めて現中央集権の問題点と対策が整理されているか,
②地方分権を対策とした時,何を分権するのか,
③その時の課題は何か(機能,公務員,スキルの重複,等)
④特に分権下で効果の低い地方投資に対し,国民は許容出来るのか
⑤税源の地方格差をどうするのか,
⑥国家財源の配分をどうするのか,
⑦行政単位をどうするか,
⑧地方の財政破綻対策を用意するのか,
⑨地方の立法権をどこまでにするのか,
⑩国や地方の既借金・新借金をどうするのか,
⑪結果として国や地方の予算規模はどうなるのか,
⑫地方分権によって国力は上がるのか,落ちるのか,
⑬地方議員,国会議員,選挙の各制度をどうするのか,

等々素朴な内容が不明であり,聞こえてくる緒論は断片的,表面的だと思う.こんな状態で,政策の比較検討が出来るのだろうか.感情的,短絡的な方向づけは日本を混乱に陥れる.

少なくとも,地方に自由な金をくれ,ハシの上げ下げまで,国が介入するな,国は無駄遣いばかりしている,官僚天国はけしからん,と非難し,だから地方分権だと短絡的に決め付けられる問題ではないと思う.まず上記のような素朴な内容も含めて,グランドデザインをしっかり描く必要があると思う.

ところで,財政難なればこそ,権力と金は集中しなければならないのは道理である.なけなしの金を公平に分配すれば国も地方も共倒れする危険性がある.あるいは,もう勝手にしろ,金はこれしかないと投げ出す事になるのだろうか.

私見だが中央集権の中で,問題を徹底的に解決する努力,仕組みが,まず必要だと思う.国家予算の立て方,厳重なチェック,監視の仕組み・体制を作る事で解決できる問題も多いと思う.何よりも分権が地方の公共事業経済を助長することになれば,日本は確実に破綻する.

一方,社会の発展とともに,行政規模は飛躍的に大きくなった.中央から地方への負荷分散も必然である.政治を民意に近づける意味においても分権は意味がある.特に直接選挙で選ばれる地方の首長に予算の采配を任せた方が良い,と言うのも一理ある.

ところで,分散を集中する事は簡単だが,集中を分散させる事は簡単ではない.この事は情報処理システムの集中・分散の議論とよく似ている.情報システムの世界では集中的分散(管理集中・処理分散)という考え方が一般的である.集中を基本としながら,集中で不具合な事を分散で解決する考え方である.

そこで,国家の統治機構においても,財政難を念頭において,集中的分散を目指してはどうだろうか.集中の必要性・メリットを確保しながら,集中で説明が出来ない役割・機能・負荷を地方に切り出して行くという考え方である.

以上,地方分権論議,官僚論議を表面的に叫ぶだけでなく,しっかりした構想作りを期待したいものである.

それとも日本人はグランドデザイン力と強いリーダーシップが弱く,魑魅魍魎に走るだけで,結局,ぐちゃぐちゃになるだけだろうか.

それとも,やっぱり,中央集権・官僚国家の図式が国民性に合っていると言う事になるのだろうか.

明治維新は統治制度を変えると言う有史以来初めての革命であったが,それに匹敵する革命が起こせるのだろうか.

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