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2009.10.13

187 只今新政権を静観中

前記事で指摘した通り,リベラル的な民主党政権の行動が出はじめているが,政権1ケ月,お手並みを静観している所である.来年度の一般会計予算の概算要求直前ではあるが,いくつかの感想を述べたい.

①補正予算の見直し,来期予算の組み立ては,小泉改革を上回る勢いであるが,どういう予算・内容になるのか,大変興味がある.

公共事業は長い自民党政権下で,本来の目的(長期的効果の発揮)以外に地域経済,選挙,業界・団体の利権,省益,雇用や景気対策,などの道具として使われてきた.

一方,公共事業の公平性,透明性に向けた事業評価方法や建設途中での評価方法,あるいは事業決定や中止の仕組みもないわけではないが機能して来なかった感じがする.

近年の財政難から事業予算は減少傾向をたどっているが,昨年来の不況対策に選挙対策も含めて,自民党政権で大判振る舞いの補正予算が組まれた,

これらの金の使い方にメスを入れる事はまさに,小泉改革以上であり,政権交代でしかできない大仕事だと思う.

しかし,公共事業は良くも悪くも,いろんな道具となり,それなりの理由があるわけだが,民主党の中止の物さしは何かが,今のところ見えていない.中止の案件が見えない為に,その影響も見えない.明らかになれば景気対策など物議を醸すと思うが,これも興味がある.

②公共事業などの見直し,無駄の排除,事業中止は大いに結構だが,優先順位もない新政策の財源確保の為である事に違和感を感じる.そもそも無駄と言うなら,その財源を使ってはならない.削減した事業予算を既得権のように,他に使う事は官僚体質そのままである.

従って,’無駄の排除で新政策の財源を確保する’という言い方は言葉の意味からも,数字の上からも,間違いであり,国民をだます言い方だと思う.

来なら,まず,現行の膿を出して,自民党では出来なかった行財政改革の為に見直し,中止をやるべきである.そこに政権交代の意義があると思う.

その上で,今後の財政需要(年金・介護・医療あるいは防災など)や税制も含めて,新政策を考えるべきである.それほど新政策は,どれをとっても,巨額な予算であり,毎年その金が必要になるからである.

そもそも,財源の裏付けが検証されていない政策を何が何でもやるとすれば,きわめて危険である.毎年,予算編成の自由度が狭まり,挙句に赤字国債に頼れば,これも恒常的になる.財政破綻の道をまっしぐらに走る事を確定するようなものである.

民主党がマニフェストに固執しているが,そもそも選挙の時,政策を実行した時の予算構想,裏付けを示していない.マニフェストに対し,国民は半信半疑である.最近のアンケートでも,国民はそれほど固執していない感じである.何よりも選挙の勝因は自民党の自滅だったからである.

民主党は労働組合の賃上要求と同じように,国に生活費支給を要求しているように見えるが,国の経営者である事を自覚して,大局観を持って政治をやって欲しいものである.前ブログで指摘した通り,まさにリベラル的発想が心配である.財源が曖昧なマニフェストに固執して,国を滅ぼしてはならない.民主党のメンツより国の方が大事なのである.

要するに,民主党としての全体の予算構想,歳入計画,財政規律,を,選挙におおいても,昨今の事業見直しにおいても,持ち合わせていない事が問題ではないかと感じる.

③個々の事業を吟味するだけではなく,もっと根本的な議論が必要である.財政法が定めている精神は,全体予算が足りない理由で安易に赤字国債発行を出さない事である.これに立ち返る必要がある.

財務省が財政健全化にうるさいのは,この法の精神にもとづいているからである.この精神が間違いなら,いくら赤字国債が増えても問題ないなら,財産法の精神を変えなければならない.

高度成長期のように税収は増えないし,このままでは,どの事業と分からないまま,責任も曖昧なまま,国債残高はさらに増え続け,ゆでガエルの温度を上げる事になる.自民党以上の’やさしい’政治が’合成の誤謬’を招きかねない.

国債費の為の国債発行以外,予算の財源は税収・事業収入と建設国債で賄う事を規律として持つ事,麻薬の様な赤字国債から脱却する事が全ての政策の前提だと思う.’マニフェストにあるから’はいかにも幼稚である.こんな根本的な議論はしないのだろうか.

今,日本国民に必要な事は,もうあれも,これもと国に要求する事ではない.民主主義だと言って,政治も国民の要求を受け入れる事ではない.政治家は実情を踏まえて,受け入れられない要求に対し,国民に説得する必要がある.時としてブレーキ役になる事で,民主主義の弱点と暴走を防がねばならない.ましてや,

財源の裏づけの無い政策を国民に吹聴するなど,まったく無責任なのである.

ところで,選挙の時から懸念された民主党の新政策による予算増,税収不足で,大量の赤字国債の発行にならないだろうか.それを否定して来た民主党は,それでも新政策をやるのだろうか.やるなら毎年,これを繰り返す事になるのだが.これは国家存亡の問題になる.

④仕掛中の公共事業の中止は,それまでに使われた金が雇用や地域経済に貢献した事以外,意味がなくなる.更に,中止に伴う補償や雇用の問題が生じる.問題は使ってしまった金が借金,建設国債もしくは赤字国債で払われていれば,返済だけが残る事である.食ってしまった借金を後世に付回して良いかと言う問題である.

使ってしまった金が支払い済みのような印象を与えるが,もし負債があれば,絶対未来に回してはならないと思う.中止するなら債務も清算すべきである.この観点は今のところ誰も追及していないし,実態が不明である..

又,債務の有無に係わらず,中止の事業は後世に,その経緯,反省,教訓を伝えるべきである.現地に記念碑は是非必要だと思う.

また,今後,大型の公共事業は,中止対策として,せめて途中評価まで,税収でやるしかないのである.その後,建設国債に振り替える.これも財源規律である.

⑤繰り返す事になるが,民主党は国の仕組みを改革すると言う.ならば,まず小さな政府,財政規律,規制緩和,民力や科学技術の振興,福祉の充実に取り組んで欲しいのである.

その上で,予算構想,歳入計画,財政規律のもとで,毎年巨額な子供手当等の家計支援策を検討すべきである.同時に中央集権から地方分権の論議も検討する必要がある.国家の危機認識の中で,大局観のある国会の論争を期待したい.

とは言うものの,実際のところ,民主党政権は自民党よりもっと大きな政府を目指しそうである.これは改革ではなく膨張である.残念ながら,そんな余地は日本にはないと思うのである.小さな政府論者がこれに対抗しないと,お湯に,どっぷり首まで浸かっているカエルがゆで上がってしまう.

⑥そもそも民主党が固執している子供手当,農家への所得補償であるが,哲学,国家像,目的は何か,優先度はどうか,自治体の実施分を含めて既設の支援,救済策との関係はどうなるのか,扶養控除廃止で子供手当ての無い高齢者扶養家族は増税でよいのか,毎年の事務コストはどれくらいかかるのか,子供手当て等の財源は税収か借金か,将来の重要政策の足かせにならないのか,支給をやめる時の事を考えているのか,など改めて注力して行きたい.

官邸主導で,党に残った民主党議員(政府に属さない議員)は幹事長の下で,選挙活動が仕事になりそうである.特に若手議員は次の選挙に勝つことが義務ずけられる.これだと,国民は民主党に議席数と国費による選挙活動要員を与えた事になる.

政党はマニフェストで,個人は,どぶ板で選ばれるとする風潮がある.従って議員は日頃から,どぶ板をやれということになる.党から見れば,政治家より議席が欲しいのである.選挙しか頭にない幹事長のもとで,ますます党に残った議員は選挙活動が仕事になる.国会採決の時だけ国会に出席するのだろうか.はたして,これが国会議員なのだろうか.

どぶ板選挙を国民が見離なさない限り,又議員数を大幅に削減しない限り,情報ネットを活用しない限り,政治家のレベルは上がらないし,議員への国費の無駄はなくならないと思う.

もうひとつ議員内閣制で官邸主導となれば,三権分立を損なうと言う問題がある.行政府の政府が政策検討や立法を考える,立法府の党に残った民主党議員は選挙運動に専念し,与党として政府案を追認するだけ,ロボットの如く投票するだけになる.立法府は実質,政府と野党の論戦の場にする事で三権分立の大義が守れているとするのだろうか.

前の記事でも発信しているが,議員内閣制の英国で官邸主導をとった労働党は,三権分立に反する,独裁政治だと,議会先進国ならではの厳しい非難を浴びたのである.

自民党政権では党で政策や法律を決める形を取った.族議員の横行を生んだが,もう一度,三権分立や国会議員の数,国会運営,選挙制度の議論が必要だと思う.これも,遅ればせながら,政権交代の効果かもしれない.

以上,民主党は大局的な展望,政策の優先順位,段取りがないまま,あれもこれもと拙速な感じが気になる.これが政権交代だと張り切りすぎて取り返しがつかない事になってはならない.

今のところ,借金の展望は見えても,国の展望が見えない感じを強めている.静観中とは言え,呑気に構えているわけには,いかない記事になってしまった.

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