« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009.11.13

190 整合しない政策・予算編成・事業仕訳

今,行政刷新会議で各省から上がった新政策を含めた総額95兆円の来期予算案に対し,縮減を目的に事業の精査(事業仕分け作業)が行われている.

願わくば,民主党の新政策の財源確保の為ではなく,純粋に不効率なものを洗い出す事を目的とし,その次の段階で,やる/やらないの政治判断をして欲しいと思う.

しかし,やっている事は,あくまでも予算案づくりの過程の作業であるが,根本的なところに違和感がある.

政治色の強い事業は検討案件から除いている様だが,個別事業をどう判断していくのだろうか.不効率の判断は比較的はっきりするが,やる/やらないの判断,見積もり金額の多い/少ないの判断,法制度の変更・追加が伴う判断,優先度の判断,等,どうするのか心配である.

それだけに,公開の場で仕分け人の資質が問われて大変だと思うが,そんな悩みも見せず,正義の覇者のように,得意満面で振る舞う感じが気にかかるのである.

特に,法的根拠がない仕分け作業の場で,必殺仕置き人気取りで
自民党の残像と悪役人をやっつけて,見物人から,やんやの喝采を浴びる政治ショーを繰り広げているとも,とれる点が気になるのである.

どうやら政治ショーに見えるのは,役者の振る舞いだけではなく,根本のところが置き去りにされているからだと思うのである.根本的な事を列記してみた.

・財政政策,省別予算目標がない
・事業仕分けの目的,範囲,査定基準が曖昧である
・政策のない削減の為の削減に走っている

・仕分け作業の位置づけ,権限が不明である
・仕分け対象事業が少なく,しかも財務省で設定している
・役人を被告役に仕立てている
・各省の大臣,副大臣,政務官の位置づけが不明である
・流れ作業的に作物の選別をやっている感じである
・仕分けの結果の有効性が不明である
・次年度以降の予算編成プロセスとの関係が不明である

いかにも民主党らしい大局観のない,表面的なやり方に見える.違和感のある最大の問題は,順番が違うからだと思う.

第一の順番の問題は,行・財政政策,省別予算目標がないまま,大臣が概算要求を出し,それを査定している点である.政治ショーを盛り上げる為に,あえて目いっぱい積み上げた概算要求にしたのだろうか.

本来なら,各省の予算案作りの段階で予算枠を見ながら専門的,政策的,財政的観点で吟味し,優先度を付けて予算案を作るべきである.各省内での議論が主戦場にならなければならないのである.それを通じて省内を改革しなければならないと思う.それで,省間調整や税財政の議論が意味をなすのである.

特に,各省で省益と分捕り精神で予算案が作られているなら,いくら事業仕分けや省間調整を外でやっても,限界があるし,根本が良くならないのである.

従って,査定結果や問題点を各省に戻すべきである.公開の場で切る,切らないの議論は,ショーとしてエキサイテングになるが,あくまでも,各省での政治判断による予算案作りに戻すべきである.もちろん各省内の仕分け作業は公開してもよいと思う.

もう一つ,順番の問題で言えば,法制度の問題がある.
例えば独法・公務員制度改革,公共事業中止による補償制度,地方分権問題,埋蔵金と言われる基金制度,等の議論がむしろ大事で,先行すべきなのである.個別事業の対処療法では混乱するだけである.

このままだと,難しい問題は別途調整する,となるだけである.結局,政治ショーで終わる.政治ショーは国民の関心を呼ぶと言う意味で意義はあると思うが,それで終わったら,かき混ぜただけになる.大局観と段取りを考えて進めて欲しいのである.

初めての政権運営だから未熟さがあってもやむを得ないと言う余裕は日本にはない.国家の危機にどう手を打つか真剣な取り組みが求められる.

現在,大臣,副大臣,政務官はどんな心境でいるのだろうか.役人を被告席に置く事では解決しないのである.私が役人なら,文句があるなら,大臣に言ってくれと言うと思う


さて,これらの予算編成作業を見て,素人ながら,次の手順が当たり前だと思うのだが.

①政府による行・財政政策,予算編成方針,法案の策定
②各省の大臣の下で事業の仕分けと予算案の作成
③財務省で全省の予算案をもとに財政面から査定
④政府で予算規模,財政政策,省間調整,法案を検討
⑤再度各省で予算案見直し案作成し③へ


というサイクルを繰り返した後

⑥政府案を決定し,関連法案とともに国会に提出
⑦国会(予算委員会)での審議・修正をへて採決


となると思うのだが.当然このプロセスの中で,国家戦略室,行政刷新会議の役割も明らかにすべきである.一方,組織はどうあれ,要は国家運営の基本になる財政政策の策定が不可欠である事は言うまでもない.誰が考えているのだろうか.

繰り返すが政治ショーではなく,財政政策の策定,各年度にも通用する予算編成の改革,行財政の改革,を進めて欲しいのである.これなくして今後とも,個々の事業仕分けの判断も出来ないと思うのである.

民主党政権は政治主導,国民本位,対等な外交,などと聞こえは良いが,言葉先行で中身が伴っていない事が多いと感じている.未検証のマニフェストにもかかわらず,それに固執するあまり,実現度,優先度,重点度による政治課題の設定が出来ないままに,個別議論が始まる.まさに順番がおかしくなるのである.


又,野党時代や選挙戦の言動と現実とのギャップに対し,あまり前の言動にこだわっていると難問から抜け出せなくなるどころか,ますます深みに入り国益を損なう可能性がある.

こうならならない為に,謙虚に,民主党は’思いは変わっていないが現実にはやむを得ずこうやる’とする部分があっても良い.民主党のプライドより国が大事なのである.’正論は必ずしも解ならず’’解なければ正論にならず’が政治にはある.政治には対処高所の度量が必要だと思う.

この観点で,民主党のマニフェストの見直し,重点課題の設定,が必要である.特に日本の異常な財政事情の中で,巨額な予算が毎年発生する’子供手当’の目的,財源の検証が必要である.’無駄の削減’で済む話ではない.家計に直結する政策や国の借金は固定費となり,未来の予算編成権,未来の主権在民権を狭める.

既に,借金の大きさが,政策を狭めている.税収が義務的予算に近づいているのである.新たな政策は増税と一対になる.かつて田中角栄は’財源のない政策はダメだ’’やりたい事があったら財源を持って来い’と言った事が思い出される.

子供手当に言及すれば,目的が少子化対策なのか,家計救済対策なのか,景気対策なのか,によって財源や制度が変わってくる.少子化対策なら,フランスのような政策もある.一人は手当なし,二人目,三人目と,一人当たりの手当を増やす制度と託児所の充実である.家計救済なら教育費の削減や所得制限の議論になる.景気対策なら期間設定も必要となる.この上で財源の裏付けをすべきである.

どうも今の子供手当案は目的・財源が不明である.子供手当を事業仕分けの舞台に上げたら,今の仕分人はどう裁くのだろうか.多分,たちどころに却下するのではないか.

いづれにせよ,民主党のマニフェストの実現が事業仕分けによる’無駄の削減’で可能となるはずもない.むしろ,財源的にますます困難になる.もっと大局的な財政政策,予算編成方針の策定が事業仕分けの前に必要なのである.いやマニフェスト作成段階で,これらの裏付けが必要だったのである.順番が違う最大の問題である.

当ブログで何度となく言っているが,選挙公約に必ず,税・財政政策,予算編成方針を示し,その上で個別政策を主張すべきなのである.国民もこれに注目すべきだと思う.

さて,これからであるが,

国民としては,国会が最大の事業仕分けの場である.予算委員会が民主党目玉政策の仕分け場になるよう期待したい.野党が疑義のある事業と要求する事業をリストアップし,政府
に説明を求め,論議する真剣な政治ショーを行って欲しいのである.

.

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009.11.03

189 またか・タバコ増税論

当ブログ144 タバコ増税論議(08年7月)でも発信しているが,民主党政権になって,またまた増税論が言われ始めた.

タバコ税は景気に左右されない,文句が付けにくい,安定財源として,国営の時代から,戦費の確保や財政難の都度,増税を繰り返してきた.愛煙家は,肩身の狭い思いをしながら,現在60%の税率で,年間2.2兆円を国家に納税している.私など,高額納税者として表彰して欲し位である.

前回のブログで増税のコンセプトが曖昧だと主張した.健康の為の消費抑制と増財源の矛盾.ニコチン依存症患者に重税を強いる問題を述べ,私見として,もうこれ以上タバコに財源を求めるな,と述べた.やめられないニコチン依存症の病人から,これ以上金を取るな,国の財政もニコチン依存症から,はやく脱却しろと.タバコは単なる嗜好品ではないのである.

今,読み返してみても,筋の通った主張だったと思う.どうも議論を聞いていると,政治家も学者も,これくらいの値上げなら,消費減があっても,財源は確保できる,などと消費税アップの如き皮算用ばかり言う.まさか消費税をアップをしないと言った反動で,タバコにお鉢が回ってきたのではないだろうね.

元来,国がやる事は個人も,財政も,ニコチン依存症からの脱却である.
常習性に付け込んだ税制は健全ではない.消費抑止と言いつつも,税収の拡大を期待する限り,脱却どころか,財政のニコチン依存を深める事になる.同時に,やめられないニコチン依存患者に重税をかけ続ける事になる.

ニコチン依存や健康被害を言わずに「消費が落ち,税収が減ってきたので,その分,値上げをします」さらに,「現在以上の財源が欲しいので,もっと高い値段にします」と言うなら論理としては,はっきりする.もしそうなら,「なぜタバコなのか,弱い者いじめはやめろ」と反論するが.

もしタバコに,なにがしかの課税をする場合,タバコ税の考え方は一般税的な税源であってはならないと思う.あくまでも.税収はニコチン依存症の防止策,ニコチン被害の防止策限定すべきである.

そもそも,健康の為の消費抑制は値上げ以外で考えるべきである.一般財源をタバコに求め続ける限り,ニコチン依存財政は続く.そのうち,消費激減で財政が息詰まる可能性もある.

今回,肩身の狭い,意志の弱い,サイレントマジョリティの愛煙家の一人として,国の政策が間違わないように,144の記事も合わせて,再度発信した.

愛煙家の皆さん,増税となれば,ここは思い切って,'タバコ不買運動’でもしますか.
政治家が喜ぶのか,真っ青になるのか,見たいと思いませんか
.

.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »