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2009.12.03

191 円高・株安・デフレ対策

91年のバブル崩壊以来,日本は構造改革も中途半端なまま,経済や株価は低迷し続け,財政赤字も増加の一途をたどった.

そんな中で,昨年のサブプライム問題,リーマンショックで急速な信用収縮,輸出激減,経済不況,株価下落が起こり,さらに,先般のドバイショックで一気に円高が進み日本経済はデフレ基調に入ったのである.

かくて日本は,円高,
株安,不況,デフレ,巨額の財政赤字と,いよいよ深刻な事態になったのである.

この事態に際し,財政出動による内需拡大,セーフティネットの拡充,等が議論されているが,私見によれば,’円高の解消’を先行しなければ,この難局から脱出できないどころか,デフレ,株安,を加速するのではないかと危惧している.

そもそも世界経済は,米国も各国も,勿論日本も, 『ドルが強く,自国通貨は低く』 が良いと思っている.米国もドルを世界の基軸通貨としてドル高を容認し,次に政策を取ってきた.

①消費財は安く輸入し,最先端製品,穀物,飼料
は高く輸出する
②各国の経済成長を米国の輸入で支える
③各国は輸出を維持する為に米国債権を買って,米国の需要を支える
④米国は各国から資金を調達し,最先端技術開発に投資する.
⑤米国への輸出国に最先端技術商品を輸出する

である.
現に,世界各国は日本もそうであるが,米国への輸出で自国の経済成長を促進し,米国の需要拡大や投資の為に資金を供給して来た.その結果,米国は輸入大国であると同時に世界の先端技術の輸出国なのである.

かくて,『ドルは高く,その他通貨は安く』,『決済通貨はドルで,外貨保有もドルで』が世界共通の秩序になったのである.

この構造で,リーマンショックのように債権の不良化,信用収縮,需要低迷でドル安になれば,たちどころに,世界の輸出が落ち,米国債券・保有ドルが目減りするのである.当然,世界各国は,こぞってドルの防衛(自国通貨安,ドル高)に走るのである.これも世界経済の秩序なのである.

巷で,円高は良い事だという論調がある.高い円で世界の富を買えるからである.ところが残念ながら,円高は輸出が下落するだけでなく,輸入商品による価格破壊で国内産業は疲弊し,空洞化するのである.当然,株価も下落する.地方経済の低迷も,これが主原因だと思う.円高はこの様にデフレスパイラルの要因になるのである.

このデフレは物価下落や経済が縮小する事で,膨大な借金残額や返済額がさらに重たくなる.まさにインフレとは逆の現象である.特に国内資金で国の借金をまかなっている日本は借金がますます重たくなる.円高はきわめて怖い現象なのである.自国通貨が高くなって困らないのは,米国だけだと思う.

では,世界に類を見ないGDPの1.8倍の借金を抱えている日本が,なぜ異常な円高になるのか.これは明らかに『他国から借金していないから』,『日本円の通過量が少ないから』である.

他国から見れば,いくら日本が財政赤字であっても,他国に借金しているわけではないから無借金国家である.しかも,世界に冠たる債権国家でもある.異常な赤字でも世界から警戒感や利息上昇圧力はかからない.そこで,ドル安になると,資金の逃避先として,円買いが集中するのである.

しかも,各国は円高になっても,世界経済に悪影響しないどころか,日本の輸出力を抑制し,かつ日本への輸出機会が増えるのである.そんな訳で,ドル安が異常な円高に跳ね返るのである.

振り返れば日本は借金の鎖国状態の中で,財政赤字でも財政出動を繰り返し,借金の上に日本経済を支えて来た.現在の経済危機は,そんな日本経済のもろさが発展途上国の躍進や円高の前に根底から揺さぶられているのである.

この円高を解消しない限り,いくら内需拡大の財政出動をしても,安い商品の輸入が増えて,企業の疲弊,空洞化,デフレスパイラルが加速し,借金を増やし,財政破綻に近づくだけになりかねないのである.

このように為替レートは経済の基盤であり,財政出動やセーフティネットの対策の前に,早急に円高の解消に取り組まねばならないと思うのである.

中期的には,発展途上国の安い商品が入ってきても,影響が少ない国内産業の差別化を進めなければならない.特に,内需企業であっても,輸入品に対する競争力を常に意識しなければならないのである.

『日本を滅ぼすのは刃物はいらぬ,円高にすればよい』では,きわめて危険なのである.

ところで,企業より人に税金を使うと言う現政権の政策は救済,少子化防止,内需拡大,を狙っているのかもしれないが,この政策が,安い輸入商品を増やし,デフレスパイラル,産業の疲弊を加速する事に,つながるかもしれない.

そうだとすると,家計への給付は,それ以上の収入減を招きかねないのである.財政破綻の展望は拓けても,経済の明るい展望が見えないのである.

以上,私見としては,短期的には円高の解消に向けた金融緩和政策,中期的には差別化産業の拡充が,必要だと思う.勿論,ドルの回復も期待したい.

私見によれば短期的には1ドル120円から150円位が日本の実力だと思う.企業の変身ができれば,中期的には100円位で安定して欲しいのである.日銀,政府がどう動くか注目したい.

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