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2009.12.17

192 クラウド・コンピューテング 考

今,クラウド・コンピューテングと言う言葉が華やかである.グーグルが初めて使った言葉だと思うが,その意味する所は,一言で言えば,世界の情報を電子化し,いつでも’’どこでも’利用できる,と言う’ユビキタスの実現’である.

情報端末の主役は,大容量,高速化が進む無線網(データー系,電話系)と繋がった携帯端末(タブレットパソコン,スマートフォン)である.従って,クラウド・コンピューテングはモバイル・コンピューテングで急速に拡大しているのである.これは,利用者から見れば『ネットワークからの解放』(自営網からの解放)を意味する.

又,『サーバーからの解放』も同時に進む.システムの多様化,拡大化による自営サーバーリソースの拡大は大きな課題になっているからである.パブリッククラウド・コンピューテング(同一アプリケーションの不特定ユーザー利用)は既に,サービス・プロバイダーを利用しているが,企業固有のアプリケーションも,プライベートクラウド・コンピューテングと言う形で徐々にサービス・プロバイダーに委託されて行く.自営サーバーでモバイル・コンピューテングの仕組みを作ることや,リソースの維持管理が難しいからである.もうひとつ,『セキュリティからの解放もある.これも,自営装備のセキュリティ対策が困難になっているからである.

この様に『インターネットとネットワークの発達』で,処理内容の飛躍的拡大や処理方式の革命が起こっているのである.極端な言い方をすれば,利用者はタブレットパソコンやスマートフォーンを持つだけで,ネットワークやサーバーは外部利用と言う事になる.従って,プログラムとデータは全て外部に置く事になる.

そして利用者は,その処理が,どのネットワークを通して,どこのサーバーで処理されているか気にする事はなくなるのである.ただ,蜘蛛の巣状(WEB)になったネットワーク群やサーバー群のどこかで処理されていると思うのである.あたかも雲(CLOUD)の中で処理されている感じになるのである.

別の言い方をすれば.利用者の要求に基づいて,雲の中で処理され,結果が返ってくると言う,『オンデマンド・コンピューテング』とも言えるのである.

この動きはコンピューター業界の従来の商売に大きなインパクトを与える.ハードやソフトが物販からサービスの提供に変わる.システム販売や個別システム開発の量が減少す.売った後のハード・ソフトのメンテナンスも減少する.その意味でコンピュータ業界はレガシー時代,オープン時代,を経て,今度はクラウド時代へと突き進む事になるのである.

この動きは,グループウエアー(文書管理,掲示板,等の情報共有)から普及し始め,次に,自治体,医療,大手企業,などの業務システムに展開されていくと思われる.又,中小零細企業に関しては,サービス提供側の模索がしばらく続くのではないかと思う.

このように,グーグルが唱えたクラウドコンピューテングは,次世代の情報処理の姿を示唆した事になったが,いくつか気になる課題を提起したい.

まず第一はクラウドコンピューテングサービスの持続性の問題である.例えば,グ-グルがサービスを停止したり,倒産したとすると,社会活動が停止したり,巨大な情報や利用者のブログ情報,サービスがどうなるかと言う問題である.

グーグルに限らず,多くのプロバイダーは広告の革新と広告収入で無償サービスを提供しているが,そのサービスは利用者にとって,なくてはならない機能・利便性を発揮し,世界的規模で社会のインフラになっている.それだけに,持続性の問題はきわめて深刻であり,社会の安全保障にも関わってくる.

また,無償・有償に関わらず,多くのサービス提供者の出現は,持続性リスクの確率を高める事になる.行政や法的な対応策が必要かもしれない.自己責任論だけでは済まないように感じる.

第2の課題はプライベートクラウドにおけるサービスレベルアグリーメント(サービスに関する契約書)の問題である.企業の命である情報や処理を担うことから,上記の持続性の問題も含めて,セキュリティや信頼性あるいは損害弁済の約束を,どこまでできるかの問題である.

アグリーメントの内容によっては両社が引き下がる可能性もある.従来のアウトソーシングでもこの問題があるが,これ以上に,インターネットは結構,荒っぽい性格を持っている.はたして,シビアなシステムに向くかという問題である.この問題は自営か委託かの別れ道になり,間違いなく,普及の鍵を握る.

第3の課題は,利用者の使い方の問題である.単一目的(グループウエアー,技術計算,手形管理等の部分業務)の使用か,業務システム(販売管理とか生産管理など)として利用するかの問題である.後者はシステムの内容にもよるが,そう簡単ではない.個別仕様の問題もある.現実的には,クラウドの良さと自営の処理を使い分けて,相互に連動するシステムが現実になると思うが.

最後の課題であるが,ボーダレスが当たり前のクラウドであるから,プログラムやデータはボーダーレスに存在する事になる.現にグーグルの検索用データベースは世界各地に分散されているし,他の多くのプロバイダーのサーバーはアメリカに存在している事が多い.

そうなると国家間の安全保障と関係してくる.武力や経済制裁だけでなく,自国に設置された相手国のサーバーが人質になる事は容易に想像出来るのである.

以上,クラウドコンピューテングのイメージと課題を述べた.昨今の風潮は我田引水的な良い事ばかりの話が蔓延し,結局,うまく行かず,夢をつぶしかねない感じもする.なんとかクラウドコンピューテングの良さ(ユビキタス志向)を活用して,アプリケーション・ブレークスルーを行い,便利な社会を実現したいものである.

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