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2010.01.29

197 危険水域の国の借金

国,地方合わせた長期債務残高は900兆に近づいている..GDPが500兆を切る中で,財政破綻は起こらないのだろうか.当ブログで何度か,この財政問題を発信しているが,浅学ながら,素朴な視点で,この問題を自分なりに考えてみた.

そもそも,行政のお金は国債でも借金でも税金も同じだが,市中から金を集めて市中に流す事である.従って,これを何回繰り返しても,市中の資金量は一定であが,国債発行累計は増加して行く.この値が借金残高である.尚,返済については,借金(国債発行)で返している為,借金が減る事はない.金利分だけ増加して行く.

この調子で借金残高が増加し続けると次の大問題に突き当たるはずである.

まず,毎年の国債発行は日本の金融資産が預金・年金・保険等の資金,債権等)が毎年,低金利で行政に流れる事を意味し,資金の効率的運用や民間活力の向上に資金が流れなくなる.

この結果,経済成長が停滞し,税収減を招き,財政赤字,借金がさらに拡大する.これに増税が加われば,ますます民間に資金が流れなくなる.金の流れがどんどん社会主義の構造になって行くのである.日本の現状はこれに近いと思う.

この社会主義スパイラルを止める為に,財政出動の抑制,国の資産売却による資金捻出,行政コストの削減などで国債依存を抑制する必要がある.同時に民間による経済発展による歳入増も不可欠になる.まさに小泉政権の’構造改革なくして成長なし’が正論なのである.

もうひとつの大問題は,巨額の国債が毎年売れるかと言う問題である.引受資金枯渇すれば海外から調達する事になる.勿論,現在の金利(現在1.4%)は上昇する.当然,毎年の返済が膨れ上がる.その為の国債発行も膨れあがる.これが国家予算を圧迫し,行政サービスを低下させる事になる.

この為に,日銀は紙幣を印刷して国債を買い支える事になる.そして貨幣価値を落とし,物価は上昇し,円が暴落し,エネルギー・資源等の輸入価格が暴騰する.これがハイパーインフレである.

これを防ぐ為には,長期的に歳出削減,歳入増大(大幅な増税,経済の発展)と言うパズルを説いていかねばならないのである.国民には茨の道が待っているのである.

それでは,借金残高,毎年の国債発行額はどれくらいまでが可能なのだろうか.

理論的には,借金残高は日本の資産(金融資産,売却可能な不動産など)を超えない額(債務超過を起こさない額)までとなる.

又,今後の国債発行額は買ってもらえる額まで,言い換えると,国内だけで言えば,国の資産から国債購入累計額を引いた額が上限となる.企業で言えば,債務超過しない範囲で借金が出来れば,なんとか倒産はまぬがれる事と同じである.

しかし,これは机上の理屈である.日本の資産を全て国債の購入や借金の返済に回す事は出来ないし1400兆あると言われる金融資産も既に900兆が国への貸付に流れていると考えると,残りが全て国債購入に回るはずもないからである.

当然,今後は海外からの資金調達(国債販売)が必要になるが,はたして低金利で買ってもらえるかと言う問題にぶち当たる.

この問題について,専門家の所見が聞こえて来ないが,私見によれば,借金残高1000兆が危険水域だと思う.信用が揺らぎ,金利が上がり,紙幣を印刷しなければ国債発行が出来ない事態になると思う.だとすると,この危険水域は目前に迫っている事になる.

ちなみに今年度の民主党政権予算案は借金は162兆(赤字国債44兆,借款債102兆,財投債15兆),長期債務残高862兆(国・地方)である.

そんなわけで,毎年,赤字だから国債発行だ,ではなく,信用が落ちないか,引き受け手があるかが国債発行の最大の関心事になる.

何よりも,,巨額の借金は経済をむしばみ,国力を衰退させ,財政破綻を招く,そうならなくても,未来の負担を増やし,未来の主権在民権を狭める事を肝に銘じなければならないのである.

その上で,『いかに歳出を減らし,歳入を増やすか』をしっかり作り,信用を維持しなければならないのである.歳入増に対しては増税と経済成長と言う難しいかじ取りが要求されるのである.

そして,長期的には経済成長による物価上昇で財政問題を解決する道しかないと思うのである.

この基本方針なくして,国家予算は作れないと思う.それゆえに,来週から始まる2010年度の予算審議はまず財政問題,財政政策から議論して欲しいのである.

借金は自民党政権の遺産ではあるが,これを受けた民主党政権の所見を是非聞いてみたいのである.この所見なくして予算の妥当性は計れないのである.

当ブログで度々発信しているが,財政政策が見えない民主党の予算案は’借金が見えても,展望が見えないない’のである.これこそが不安の根源である.これを払しょくする事が責務であり,危機感を持った国会審議を期待したい.

国家の危機を前にして,選挙に勝つとか,大きな政府とか,権力闘争とか,を議論している場合ではないのである.

元来,民主主義は借金を増やしやすい制度である.日本が90年のバブル崩壊以来20年間で,世界一の借金を積み上げて来たのは,それまでの高度成長の残像,間違ったケインズ理論,無責任な政治家の政争,が,この民主主義の特性を拡大させてしまったと感じる.

現在でも,公共事業にしろ,家庭への給付にしろ,所詮,組み換え論議であり,分配合戦の域を出ていないと思う.まさに’合成の誤謬’に驀進している感じである.

これからの政治に求められるのは,あれもれもやる,これもやる,と金を使う事ばかりを考える事ではなく,金を使わない事を考える政治である.その中で,真に役立つ政策がにじみ出てくるし,合成の誤謬から脱出できると思うのである.

ヨ-ロッハでは憲法や法制度で国債発行の上限を決めようと言う動きがある.借金だけは民主主義に任せられないとの考えである.

日本は’やむを得ず’と言う事が多い感じがする.’やむを得ず’と戦争に突入した歴史もある.国の借金も財政法の精神を無視して’やむを得ず’と言いながら続けてきた結果である.このままだと,財政破綻もやむを得なかった事になってしまう.だから心配するのである.’やむを得ず’などと刹那的な言い訳を言わずに済む,先手の対策を求めたいのである.

追伸

2月5日,この記事の心配を証明するように,財務省から参考資料が国会に出された.詳細は省略するが,民主党の目玉政策の子供手当てを除外しても,2010年度の予算案(一般会計92兆)から類推すると,2013年度の予算は100兆が必要になると言う.

税収が37兆から40兆に回復しても,歳入不足(国債発行)は44兆から55兆に拡大すると言う.子供手当てなしでも,歳出削減,増税が不可欠な状況である.

この上に,毎年固定する子供手当て5兆の財源確保など,とんでもない話になる.さらなる組み換えや削減で捻出できるわけがない.それともこの為に大増税をやるのだろうか.

民主党は6月めどに財政問題の対策を発表すると言うが,現在審議している10年度の予算案は展望のない予算案だと認めたようなものである.

ついでに言えば,民主党のマニフェストは重要政策について,余りにも観念的で裏付けが無さ過ぎる.選挙の時も強く指摘されたが,自民党の自滅によって,この裏付けの乏しい政策が生き残ってしまったのである.

かと言って民主党は政策をおろすわけにもいかず,依然マニフェストに固執した姿勢であるが,既に後退も始まっている.この際,実際は違っていたと率直に認め,国家のリスクを回避する姿勢に切り替えるべきである.

社会福祉予算の増大が続く中で,子供当て,高校無償化,農家戸別補償,高速無料化,温暖化ガス25%削減,等,個々に国民の賛同を得られるかもしれないが,結果,財政が破綻したでは済まないのである.民主党は合成の誤謬をどう考えているのだろうか.そんな事より選挙が大事なのだろうか.

国民は民主党のマニフェストに固執していないと思う.民主党のマニフェストより国家財政の方が心配だからである.民主党の組織論理の為に国家財政を破綻させてはならないのである.

民主党の使命は,ほんわかした友愛精神ではなく,財政再建と言うリアリティに向き合って,厳しい構造改革,行財政改革を実行する事である.無駄とした事業,改革で浮いた財源,は新たな事業に使うのではなく,歳出削減に繋げるべきである.

それほど日本の財政は土壇場にあると思う.円安に向けた金融政策をとりながら,官・民上げての財政再建と経済成長が両立する道を歩むしかないのである.分配合戦をやっている場合ではないと思う.

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