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2010.02.09

198 政策に求められる戦略性と平等性

内需とは個人消費,設備・在庫投資等の民間需要と公共事業などの公的需要に大別される.この内需に外需(輸出入差額)を加えたものがGDPである.

さて,政府が行う経済対策とは,GDP(民需・外需)を伸ばす為に,金融政策,財政政策と並行して,経済の波及効果を出す為の財政支出(公的需要)や制度を実施する事である.

しかし,近年の経済対策の多くは,将来の先行投資や制度改革と言うより,直近の景気対策と称して,公共事業と言う仕事を作り,真水を流す事に終始して来た.まさに公金で経済を支える公共事業経済を拡大して来た.

明らかに,公共事業経済を拡大すれば,いつか財政が破綻する事は自明である.そこで,今後の経済対策について,思いをめぐらしてみた.

①戦略性が求められる経済政策

輸出だのみから国内消費拡大にシフトすべきだ,とよく言われるが,グローバル経済の中では,個人消費や設備投資が増えても,輸入が増え,国内に経済波及効果(民需拡大効果)が及ばない,弱い国内企業が駆逐される,という問題がある.

円高下では.この問題が加速するのである.だとすると,消費増大は国内産業を弱める要因になりかねないのである.当ブロクNO185内需拡大より外需拡大,NO191円高・株安・デフレ対策,でもこの問題を取り上げ,根本的には円安誘導が不可欠だと発信したのである.

又,円高でなくとも,常識的には限界効用逓減の法則,低価輸入品の増大,国際分業・調達の増大,生産の自動化,生産性の向上,などで,消費拡大による内需への波及効果が極めて低くなっている事もある.

液晶テレビやエコ製品が売れても,ほとんど国際調達であったり,巨大な設備投資があっても,設備は国際調達で,生産は自動化され雇用拡大にはつながらなかったり.

従って,グローバル経済においては,円高を抑制し,産業を強化しない限り,GDP(民需・外需)は伸長しないのである.GDPの伸長の為の経済政策は,つまるところ,民需も外需もなく,国内産業を強くし,国内外に売る事に繋がらなければならない.その意味でサプライサイド(産業)の強化・活力が絶対不可欠だと思うのである.

その意味で,民主党は給付で消費の拡大を図ると言うが,財政問題だけではなく,本当に消費増大になるのか,なったとしても,上記のように,輸入が増加して,国内企業を駆逐しないか,結果的にGDPの伸長に貢献するのか,等,極めて疑問点が多いのである.これが経済対策ではなく,救済対策,少子化対策,選挙対策なら別の議論が必要になるが.

繰り返すが,政府のやる経済対策とは金融政策,先行投資(戦略的財政出動),制度改革,によって,産業を強くし,GDP(民需・外需)を押し上げる事だと思う.あくまでも投資や事業運営の主体は産業なのである.

②平等性が求められる社会的費用

雇用・年金・医療・介護・教育あるいは災害対策,国防,等は社会的費用の支出と考えて,経済政策とは分離して議論すべきだと思う.

福祉経済は公的財源を投入し続けて,経済の波及効果を期待しようとするものであるが,若干のGDPの押し上げがあっても,恒久的財源が必要になる.まさに公共事業経済を福祉でも拡大する事になる.

福祉経済はその支出を超えて税収があるわけではないし,輸出も増えるわけではない.当然,福祉経済を拡大すれば,確実に財政破綻に向かう.その意味で経済対策とすべきではなく,あくまでも社会的費用として考えるべき政策である.

昔,田中角栄は新潟の豪雪地帯の道路・トンネル,土地改良を福祉事業だと言った.経済効果ではなく,命にかかわる事業だと主張したのである.議論を呼ぶ所ではあるが,少なくとも,経済効果がある等と嘘は言わなかったのである.一方,列島改造論では経済成長に向けた先行投資論を展開したのである.

社会的費用支出も経済対策の一つと,なんでも,まぜこぜに経済対策を議論すると,大義のでっち上げや,役立たない財政出動の温床になってしまう.過去に良く見られた事である.

又,現政権は'コンクリートから人へ’と言うが富を産む真の経済政策とは違うと思う.これを経済政策と位置付けている向きもあるが,この考えで支出を続けると,経済も財政も悪化のスパシラルに陥る可能性がある.成長戦略がないとの批判は当然である.

勿論,福祉分野で必要とされる真の経済対策はある.私見ではあるが,長寿先進国として長寿立国を宣言し,予防や治療の技術革新,設備革新,制度改革,長寿文化などへの投資である.勿論,福祉費用の低減や世界の長寿化への貢献も考えられる.

この様に,福祉への経費支出と福祉への投資支出(経済対策)を分離して考える必要があると思う.

以上,二つの視点を述べたが,要するに,

経済政策は戦略性,社会的経費は平等性が大事だと思う.まぜこぜの議論は効果を薄め,財政支出を拡大させるだけである.又,戦略性のない経済政策は無駄と機会ロスを産むだけである.従って,財政支出は,この二つの概念で考えるべきだと思うのである.

その意味で言えば,飛行場や港湾の建設は余りにも戦略性が欠如した意味のない経済政策だったと思う.国家としての戦略的な先行投資案件と平等性を重んじた社会的費用案件に分けて考えていれば,大分,様相が変わったと思う.

かつて小泉総理が所信表明で’米百俵の精神’を引用し,官から民,小さな政府,構造改革の必要性を訴えた.日本の’ゆで蛙状態’では財政問題の解決や,グローバル時代に生き残れないとの危機感があったのだと思う.国民からも多くの賛同を得た.

しかしその後,改革は停滞し,既に1000兆に近い借金と言う逃げられない高温に国民は浸っている.身体も思うように動かす事が出来なくなり,茹であがる寸前である.日本的公共事業経済,日本的社会主義経済の結果である.これから脱却する事が経済対策だと思う.

そんな中で,企業の大小を問わず,国際市場に通用する産業や製品を形成し,稼ぐ事に必死に取り組まねばならない.日夜の民間の努力に加え,国家としても,真の経済政策を実行する時である.ましてや産業の足を引っ張るような政策は排除すべきなのである.

不況から新しい産業が起った事は歴史が証明している.内向きなパイの分配論に終始している場合ではないと思う.公共事業経済から脱出し,稼ぐ(パイの拡大)為に何をするか,と言う真の経済政策が求められているのである.

民主党は行政の脆弱性を撲滅する改革をやりながら,その削減財源の使い道は社会主義的な大きな政府志向である.これでは財政問題も経済成長も展望が開けない.

真の経済対策とは借金900兆に代表される日本的公共事業経済,日本的社会主義経済,ゆでガエル経済,から脱却する事である.苦しい事ではあるが,これしか選択肢が残っていないのである.合成の誤謬になるような選挙公約は無責任であり,選択肢にないのである.

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