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2010.02.14

200 首相の政治資金問題

繰り返し報道され,国会でも野党の攻撃が激しくなっている政治と金の問題について,鳩山首相のケース(政治資金収支報告書偽装問題,贈与税未納問題に首相は全く知らなかったとしている問題)を自分なりに整理してみた.

大金持ちである鳩山ファミリー内の金の動きには昔から無頓着で,親の金は自分の金として,貸し借りも贈与も首相の頭にはないのかもしれない.知らなかったは意識もなかった,と言う事かも知れない.秘書がやった収支報告書偽装も,同じく,知らなかったとして,責任を取っていない.

勿論,無頓着であっても法が適用される.親子の関係を裂くような議論は避けるべきだとの論調もあるが,生前贈与税,相続税がある以上,曖昧には出来ないのである.

当然の如く,世間からは,知らなかったはずはない,知らなくても脱税だ,知らなかったと言えば罪にならないのか等,非難轟々である.

そこで,次の四つの切り口で私見を述べてみたい.

①母親から秘書に渡った金の取り扱い問題(首相の贈与税脱税問題)
②首相の政治資金収支報告書偽装への関与問題
③六幸商会の偽装加担と首相の責任問題
④推測される全体の姿

①母親から秘書に渡った金の取り扱い問題(贈与税脱税問題)

まず,税法で言う贈与とは双方合意の上で,無償で財産を渡すことである.個人から個人の場合は贈与税,企業から個人へは所得税,個人から企業へは法人税,企業・団体・個人から政治資金団体へは献金,の扱いになる.

そこで,まず,この金の流れを正確にしておかねばならない.

(A) 母親ー首相ー資金管理団体へと金が渡った(贈与税発生,首相の献金)
(B) 母親ー資金管理団体へと金が渡った(母親の献金)


首相は7年間,遡って贈与と認めたのだから(A)と言う事になる.しかし,7年間,母親が金を出している事を知らなかったと言う.それが事実なら,合意がなかった事になり,7年間,贈与が成立していない事になる.

だとしたら,首相に渡った金は母親の所有のままの金,あるいは金額に上限がなく税もかからない生活費扱いの金,となる.従って,そのまま政治資金団体に渡った金は母親からの献金となる.だとすると,金の流れは(B)になる.

そこで,7年間の金の取り扱いについて整理すると次の3つのケースになる.

A 首相の生活費(無税扱い)として渡した(使った金や個人献金は首相の金)

B 母親の所有の金として渡した(使った金や個人献金は母親の金)
C 遡って贈与と認めた(遡って使った金や個人献金は首相の金と認識)

のいづれかである.尚,ゴットマザーが,どのような認識で金を渡し続けたのか確認が必要であるが,首相の認識としてC の処置をとり,贈与税を納付したのである.(国税の判断は未決着)

税に関して言えば,国税庁の解釈は積極的に言っているわけではないが,申告税である以上,知らなかった事を知ったから納税した,で通る様である.故意に隠していなければ罰しようがないとの事らしい.

この解釈によって,'知らなかった’事を理由に脱税罪を回避できるとして,もっとも現実に近いCを選んだのかも知れない.

しかし,最大の問題は弟も知らなかったとして遡って贈与税を申告したようだが,本当に兄弟とも知らなかったのか,どうかである.知っていた事になれば,明らかに脱税容疑がかかる.この一点が政治生命をかけた重大なポイントとなる.

知らなかった事を証明する事は不可能だが,知っていた事を証明するには,たった一つの事実で済む.首相は今後,針のむしろに座り続ける事になる.

そんな状態で首相が務まるのだろうか.知っていたとする事実を政治駆け引きや脅迫に使われたら大変な事になる.そんなリスクを排除する事が政治の責務だと思うのだが.本人の意に反していても,身づから辞職する意味はここにある.

②首相の政治資金収支報告書偽装への関与問題

次に,政治資金収支報告書偽装問題であるが.首相の弁によれば,母親の金の存在も,収支報告書の内容も,秘書任せで,偽装など知らないとの事である.母親の金の事も知らなかったのだから,偽装など思いもつかない事だとも言う.

しかし,遡って贈与と認めたのだから,理屈で言えば,自分の金が偽装されたとなる.だとすると,贈与税納税と同時に,収支報告書に自分の金を拠出した事と修正し,個人献金の上限オーバー分を国庫に納付する必要がある.

一方,政治資金規正法では秘書の違法行為に対し,連座制はなく,会計責任者に責任を負わせている.知らなかったとなれば,政治家の法的責任は回避される.そのせいか,ほとんどの政治家は収支報告者を見ないと言う.政治家の作る法律にありがちな法制度であるが,違法行為の政治的責任は回避できないと思うのだが.

今の所,首相は野党時代の主張とは裏腹に政治的責任を取る意識はないようである.偽装の原資が自分の金だったから,との理由を上げているが,理解不能である.

そこで,首相の弁明の信憑性を検証してみたい.

秘書は個人献金者を多く見せたかった事を理由に母親からの金を架空の個人献金にした.との事だが,そんな事で長い期間,危ない橋を渡るだろうか.極めて疑問である.

秘書は,母親から受け取った金が首相への贈与金であるか,あるいは,母親の個人献金であるかは当然認識していたと思う.

その認識の上で,秘書は母親の金が流れている事を隠す為に,母親の金を他の献金に見せかけたのではないかと思う.裏金に慣れている人からすれば,法を犯す抵抗感があまりなく出来そうである.

又,当然,母親からの金を偽装などせず,裏金のままにする事も考えたと思うが,余り巨額な金の為,発覚を恐れたのではないかと思われる.ごく自然な推察である.

一方,首相は鳩山家の金が裏金になる事も含めて,色々な形で使われる事は暗黙的知っていたはずである.少なくとも,母親から金が出ている事や収支報告書に鳩山家の名前が出ていない事は知っていた筈である.

だとすると,企業が絡む話ではないだけに,首相の知らなかったとの弁明に説得力がない.偽装の内容は知らなかったとしても,偽装の責任が首相にもある事は自明である.

又,収支報告書偽装の修正申告によって,個人献金限度額オーバー分の国庫納付の問題が発生するが.どのような修正をするのか,オーバー分の納付はどうするのか,話題に上がっていないが,注目したい.

③六幸商会の偽装加担と首相の責任問題

六幸商会は鳩山ファミリーの個人毎の資金管理をやっている会社である.各人の依頼にもとづき,個人の財産,収入,支出,税金などの処理を代行していると言う.

六幸商会は母親の了解で,毎月,六幸商会は首相秘書に金を渡していたと言う.六幸商会も秘書と同様,常識的に,これは母親からの贈与に当たると認識するはずである.

だとすれば,六幸商会は首相の税務処理の一環で,なぜ贈与税申告をしなかったのだろうか.

収支報告書の偽装と整合させる為,母親からの金は裏金にせざるを得なかったのではないか,当然,贈与税申告もできない事になる.これは明らかに贈与の隠ぺいである.

これも鳩山家の資金を表に出さずに使う慣習を首相は知っていたから,あえて首相の了解を得なくても良いと判断したのか,報告しても,聞き流す程度で終わっていたのではないか,と思われる.

だとすれば,首相の知らなかったとの弁明が苦しくなり,脱税の責任が及ぶ事になる.

さらに言えば,たとえ,知らなかったとしても,事務方の意図的な不正を知らなかった首相の責任はあるのではないか.この実務者を法的に罰する事はできないが,首相が責任を問われるのではないか.

知らなかったは政治資金規正法は許されても,税法では実務者が違法をしていた場合,管理責任が問われると思うのである.

ところで,発覚後,首相は六幸商会を厳しく叱責したのだろうか.していないなら,知っていたからと思われてもしようがない.

④推測される全体の姿

以上,自然な理解を繋ぎ合わせると,次のような全貌が見えてくる.

1.鳩山家の金は表に出ない形で政治に使われてきた(鳩山家の慣習)
2.母親からの金も表向き存在しない金(裏金)として処理されてきた(脱税)
3.母親からの金を他人からの献金だと偽装した(規正法違反,限度オーバー)
.首相は裏金の存在を知らなかったと言わざるを得なくなった(虚偽)

こうなると,国税への言い方の『知らなかったから納税しなかった』ではなく,『裏金だから納税しなかった』のであり,この事を首相は,『鳩山家の慣習』として知っていた,と見るのが自然である.

鳩山家の慣習とは,鳩山家の金を勝ってに使って,何が悪い,との感覚のもと,相続税の意識はあっても,貸し借りや生前贈与の意識が無いままに,生活費やポケットマネーの感覚で政治に金を使って来たのではないか,結果的に,表に出ない金として扱われて来たのではないかと,言う事である.

果たして過去に首相や親族は生前贈与税を収めた事があるのだろうか,意識を知る上で,大変興味がある所である.

極めて単純なシナリオであるが,もしこの慣習が事実であれば,首相に税法違反,延滞遅延金・重加算税追徴,政治資金規正法違反,個人献金限度額オーバー分の国庫納付,が問われるのである.

以上,勝手な推理の域を出ないが,誰もが思う一つのシナリオである.これを覆す首相の釈明はまだ聞こえてこない.説明責任を果たしていないと言われる由縁である.

どう見ても,『遡って納税したから終わりだ』,とはならない気がする.このシナリオを覆さない限り,首相には一生,脱税の疑いの目が付きまとう事になる.本人もつらいと思うし,確実に行動力や政治力は落ちると思う.疑惑を無視するほどの図太い神経の持ち主だとは思えないからである.

疑いの目を持たれたままの政治家が重責を担う事は,本人のみならず,国民にとって,極めて不幸な,危険な事である.なによりも,脅迫や政治圧力のネタになりかねない.当然,国家は政治リスクを抱える事になる.

さて,友愛の心,命を守る,コンクリートから人へ,と言葉に酔うが,リアリティに乏しい首相は,どうこの事態に政治的決着をつけるのだろうか.自分へのリーダーシップ,自分への決断をどう下すのだろうか.

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コメント

鳩山由紀夫は「平成の脱税王」とは、いみじくも言ったものである。
鳩山由紀夫は平成の嘘つき王でもある。
鳩山由紀夫は、野党時代に与党の議員を追及して勇ましくこう言った
「金庫番として働いた元秘書が罪を問われるなら共同正犯だ。議員を即刻辞めるのが筋だ」。
この原則を自分自身に適用すれば、鳩山由紀夫は即刻に辞めなければならない。
言行不一致というもの。

投稿: 腐敗していた民主党 | 2010.02.14 09:05

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