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2010.03.10

204 住民税納付方法の疑問

年金と給与所得のある人(確定申告者)の住民税の納付方法について,疑問を呈したい.

まず所得税と住民税の源泉徴収の意味の違いであるが
所得税は取得した所得にかかる税であり,所得額に応じて,その都度,源泉徴収される.年末に控除等を加味した確定申告によって税が確定し,還付・追徴される事になる
.

一方,住民税は前年の所得に対する税であり,その徴収は給与天引き,年金天引きを基本とし,それ以外は直接納税で行われる.従って,徴収義務者が会社の場合,給与支給額とは無関係に毎月住民税の徴収を代行する事になる.

このように所得税と住民税とでは源泉徴収の意味が違うのである.

この理解のうえで住民税の基礎知識をまとめると
①住民税は前年の収入に対して課税される(後払い)
②住民税額は所得税確定のデータから役所が決めている
③納付は普通徴収(直接納付)と特別徴収(年金・給与からの天引き)がある

④特別徴収事業者は役所から指定され,徴収の義務を負う(特別徴収義務者)
⑤年金・給与は特別徴収を原則にしている(所得税の源泉徴収と同じ考え方)
⑥給与からの天引きを普通徴収にする場合は企業から役所への申請になる
⑦年金・給与以外の収入に対する住民税は確定申告時,普通徴収に指定できる

・給与天引きに至る流れは

①企業から役所へ給与支払い実績を通知,
②本人の所得確定申告,
③企業への住民税確定通知,
④給与からの天引き開始,

となる.住所変更は変更通知提出,退職は普通徴収になるか,次の就職先で天引きになる(要申請).

・年金と給与の源泉徴収額の決定方法は

特別徴収は住民税総額,給与天引き額を役所で算定し,総額から給与天引き額を引いた残りを年金から天引きする方法を取っている.この給与天引き額,年金天引き額を特別徴収義務者に連絡し,徴収依頼している.

・複数個所からの給与所得がある場合は

代表1社から天引きするか,按分して天引きするかは役所で決定する(特別徴収義務者の選定は役所)

浅学であるが,理解度は以上である.この理解の上でいくつかの疑問を呈したい.

①住民税の納付方法を主権者である納税者が選択できない.

現行は給与所得支払者が一社の場合はその企業の状況如何に関わらず無条件に特別徴収義務者になる.(地方税法321条)

又,複数から給与所得を得ている場合,特別徴収義務者を一社にするか2社にするか役所が決める.2社の場合,徴収すべき住民税を按分する事になる.(法的根拠不明)

この様に特別徴収義務者は役所が決め,その企業は支払い給与額とは関係なく,単に住民税の徴収代行を行う事になる.

いづれの場合も普通徴収(本人払い)に変更する場合は特別徴収義務者からの特別な理由で申請する必要がある.

又,年金,給与所得以外の収入がある場合,確定申告時に普通納税を指定しない限り,特別徴収になる.これも原則は特別徴収なのである.

一貫してあるのは住民税を年金と給与から天引きする事(特別徴収)を大原則にしている事である.公的年金基金,企業は住民税の徴収代行を行う事になる.本人が直接住民税を納付する事(普通徴収)は例外なのである.言葉と制度が逆なのである.

一方,所得税の確定申告者は直接納税する事(普通徴収)が原則であり,住民税も同じように普通納税(分割納税)を基本にすべきである.住民税を勤務先経由で徴収する事の違和感もあるし,税の理念に違う感じがする.

2社以上からの給与所得がある場合は無条件に普通徴収に,一社の場合は納税者の意思で普通納税か特別徴収かの選択にすべきである.又,特別徴収義務者を一方的に役所が決めるのも問題である.

どうやら,国民の納税意識を当てにしない,役所の徴税意識が先行した制度なのである.この精神を直さなければ民主主義や税の意識が向上しないと思う.

②企業(特別徴収義務者)へ個人の税情報が流れる

給与所得を得ている場合は確定申告をやる為,給与所得の年末調整はしない.従って配偶者とか扶養家族とか総収入とかの所得税計算に関するデーターは会社に申請していないのである.

しかし,特別徴収を前提にした現制度では企業(特別徴収義務者)へ住民税確定通知が行われるが,本人の了解なしに,個人税情報(総収入,給与外収入,収入種類,等)も流れる事になる.

現役が副業していた場合,確定申告をするが,住民税の普通徴収を選択しておかないと,特別徴収となり,税情報が勤務先に流れる事になる.

税情報は役所同士,役所内であっても,極めて厳重に保護されている個人情報である.ましてやその情報が企業に流れる事はあってはならないのである.特別徴収するにしても住民税確定通知には徴収する住民税のみにすべきである.

③税の原点とも言われる住民税の認知度が上がらない

所得税データから住民税を決め,源泉徴収するものだから,国民は盲目的に住民税を払っている感じになる.税の理念にもっとも遠い税の感じがする.何か所得税と言う国税の傘の下で,波風立てづに徴収している感じがする.

住民税こそが税の原点であるべきだと思うし,直接納税する事が税の理念の基本だと思う.住民税の認知度を高めるためにも,勤務先に徴税を依頼する事はやめるべきである.

④源泉徴収制度の基本的問題

『NO135天引き文化を考える』(08・04・12)で天引き文化の問題を指摘しているが,源泉徴収制度は世界に極めてまれな制度である.所得税や住民税の源泉徴収を法律で定めているが,天引き強制文化は『納税意識より徴税意識『,『税の理念より利便性』が先行した,『お上意識』の代表的な例である.

源泉徴収制度は国民が信用できない,国民の税意識が低い,納税者の負担を軽くしたい,税意識を低くしておきたい,徴税率を上げたい,徴税コストを下げたい,徴税コストを企業に負担させたい,等の理由で1940年ナチスドイツの例(戦費の徴収方法)にならって導入された.

源泉徴収制度は戦後,最高裁で合憲との判決があったが,国民の自立,税意識の向上,情報システムの発展,からすれば,税の理念に立ち返って,サラリ-マンも含めて,本人の申告・納税を基本にすべきだと思う.

その為の税制度の簡素化,効率化を進めるべきである.少なくとも所得税の確定申告者の住民税は所得税と同じように普通納税を基本にすべきなのである.

さらに言えば,納税のみならず社会保険納付も含めて,納付義務は民主主義政治の基本である.天引き文化で国民の意識を弱める事は民主主義を弱まる事につながる.

国民の直接納付を前提としたシンプルな制度設計,運用設計が必要だと思う.又,国民背番号制を適切に運用する為にも,天引き前提の制度は見直すべきだと思う.

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