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2010.04.23

208 出口未定の事業仕訳

今日から独立行政法人対象に,第2段の事業仕訳が始まる.当ブログ№190順序が違う民主党政権,でも述べているが,今度は自分が作った本年度予算に対して行う点が前回と違うが,依然として大きく順番が違う事を繰り返す事になる.順番が違う点は後述する.

この事業仕分けは元来,所轄大臣が定常的に行うべきものであり,所轄大臣には常にその有効性,効率性を監督する義務がある.従って,今回の事業仕分も各省毎に大臣が座長でやれば良いと思う.大臣は信用出来ないのだろうか.

ところで,この独立行政法人制度は,2001年の行革の中で,行政の効率化・スリム化,公務員の削減,法人の自立化,透明化,
を目的に作られた.当時,公会計制度も議論された記憶がある.

一方,財政逼迫の中で,費用の無駄使い,官僚の受け皿化,高級官僚の渡り,独立法人配下のファミリー企業化,など設立趣旨に反する露骨な不具合,不効率が問題視されている.

そこで,今回の大体的な事業仕訳は,この独立行政法人に対し,改めてその必要性の有無,不効率・不具合の有無を精査しようとするものである.

民主党は,この精査によって,廃止,民間移管,役所引き取り,縮減,準備金の引き上げ,の方向性を示し,当年度予算執行,来年度の予算編成,将来の独立行政法人の制度改革,につなげたいとしている.

しかし,廃止だ,遺憾だ,縮減だと言っても,それを実現する方策(出口)が明らかでない為,細かな縮減はすると思うが,中途半端になる気もするその理由を.いくつか上げてみたい.

①廃止,民間移管とした時,法人職員の退職,転属をどうするのか
②役所引き取りとした時,公務員組織・人事が肥大化しないか
③縮減は何に対して言うのか(交付金,補助金,発注金額,仕事内容,職員数等)
④縮減が職員のリストラに及ぶ時,法人職員の退職,転属をどうするのか
⑤事業仕訳と所轄の大臣の見解の相違をどうするのか
⑥廃止・縮減は絶対評価によると思うが,優先度等の相対評価の物指しが不明
⑦何よりも整合性のある行政改革の姿が描かれていない

このような中での事業仕分けは当然限界がある.まずこれらの方針を決めてやらなければ効果は極めて小さなものになる.まさに順番が違うのである.

民主党のあらゆる政策に共通しているが,表面的に問題をとらえるだけで出口が見えない.本質的なところの考え方や政策,その実効性の裏付けが乏しいのである.まさに,'思い'を公約にしただけなのである.

この事業仕訳も同じ轍を踏んでいる感じがする.パンドラの箱を開けただけ,になりかねないのである.

特に⑦の行政改革の問題は,地方分権との関係,公務員人事制度の問題,政治家の人事権の問題,人事異動のはけ口としての外部組織の問題,外部組織の新設・統合・変更・廃止の問題,など行政全体の視点が必要なテーマなのである.単に無駄の温床だと言って独立行政法人を叩く事で解決しないのである.

もちろん国だけではなく地方の行政組織も同じテーマがある.だからこそ,行政改革は化け物を退治するほどに難しいのである.

事業仕訳を通じて,改革構想につなげると言うが,どこまであるべき姿を描けるのだろうか.

民主党マニフェストによれば,法人を抜本的に見直す,天下りをなくす,ピラミッド組織はやめる,定年まで役人を内部で抱える,と言うが,これで効率的な行政組織は作れるのだろうか.逆にさらに不効率になる可能性もある.

まず,この議論を先にすべきだと思う.これこそが行革相の仕事なのである.無駄削減等は所轄大臣に任せれば良いと思う.大きく順番が違う点である.

そこで,そもそも,行政法人に対し,次の二つの方向性のどちらを取るのだろうか.

1.独立行政法人のコンセプト(行政組織のスリム化,非公務員化,法人の自立化等)を継続し,問題点を是正していくと考えるのか.
2.独立行政法人制度を廃止し,全て役所の組織に組み込むと考えるのか

地方分権,行政のスリム化,効率化を目指す中で,はっきりすべきである.又1.の独立行政法人制度を継続するにしても,次の様な方針をはっきりすべきである.

①行政業務の官から民への移管を加速する
②業務特化の独立行政法人の監視体制を強化する
③独立行政法人は官からの発注(委任,請負)
で運営する
④独立行政法人の設立,変更,廃止に伴う職員の処置方法を決めておく
⑤官僚のピラミッド組織と,独立行政法人組織で行政全体のスリム化を進める
⑥ピラミッドから外れた役人等の法人への異動は出向とする

これを踏まえて,行政改革の概要作りに着手すべきである.今のままでは,事業仕訳に熱心だが,それでどうするの?と問いたくなる.いくら問うても,行政改革のグランドデザイン(出口)など描けないのかもしれない.

子供手当て,高速道路無料化,暫定税率廃止,天下り廃止問題,普天間基地移設問題,等々,それでどうするの?と国民から問われている様に,人気取りや思いに走るが身がない民主党の共通の問題が,この業務仕訳にも伺えるのである.

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