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2010.04.27

209 首相は不起訴相当か

鳩山首相の資金管理団体『友愛政経懇話会』の偽装献金事件(母親からの毎年1.8億,7年間で12億の金を架空の個人献金に偽装)で,会計責任者は有罪,首相は不起訴となった裁判に対し,検察審査会は首相の不起訴は相当との結論を出した.

資金管理団体の会計責任者の選任及び監督の両方の注意義務違反が立証されないと政治家の責任は問えないとする現制度の壁が不起訴相当にしたようである.管理監督責任だけでは刑事責任を問えないのである.要は政治家に責任が及ばないように作った制度が見事に政治家を救ったのである.

法律が『選任及び監督』(AND条件)ではなく『選任もしくは監督』(OR条件)にすれば,裁判でも明らかに起訴相当になったと思う.

世間の常識からかけ離れた,連座制のない現制度をこれからどうするのか,政治家の良識を見たいと思う.

ところで,上記部分は秘書の独断でやった違法行為に対し,政治家の法的責任をどうするかの議論である.

もう一つ,今回の重要な争点は収支報告書の偽装に関して,首相が秘書と共犯していなかったかの問題である.’指示していた’,’了解していた’,のではないか,との疑惑である.検察審議会で最も注目していた争点である.

裁判でも審査会でも,収支報告書の内容も,首相は'知らなかった'との上申書,及び会計責任者の独断でやったとの証言を採用し,たいした調査もせず,政治資金規正法の共犯疑惑は否定された.

結局,政治資金規正法における『監督責任』も『共犯』も7年間もの間無かったとする『不起訴相当』になったのである.

最後にもっと重大な嫌疑がある.『脱税問題』である.NO200のブログでも触れているが,献金された金が母親の金なのか,首相の金なのか,で様相が全く変わる.

もし母親の個人献金とするなら,贈与税は無関係になり,母親の個人献金上限オーバー問題になる.首相の贈与を受けた金とするなら,首相の脱税問題,収支報告書偽装共犯問題,個人献金上限オーバー問題が焦点になる.

マスコミ報道を見る限り,’母親からの資金提供’との記述が多いが,源泉はそうであっても,どちらの扱いかはっきりしない.首相は遡って贈与税を納付したのだから,母親も息子に上げた意識があるのかもしれない.そうであるならば,母親ー首相ー献金の扱いになる.果たして,どちらの扱いとするのだろうか.論理の出発点の問題である.

更に問題は偽装した理由である.母親の金,首相の金,どちらであっても,鳩山ファミリーの金を隠したわけだから,当然,次のような疑惑を抱く.

当ブログNO200首相の政治資金問題の推察でも述べているが,'政治金が必要な中で巨額な鳩山ファミリー資金を表に出したくなかった’あるいは,'慣習として鳩山ファミリーの金は常に裏金として使われていた'との疑惑である.そうであるならば,政治資金規正法違反も脱税も確信犯になる.

秘書は'多くの個人からの献金があると見せかけたかった’と偽装の理由を上げているが,7年間もそんな事で重罪を犯すだろうか.

7年間に渡って金の存在も偽装も知らなかったとする首相たるものの弁明も含めて,余りにも,むなしく,国民をバカにするのか,との怒りも感じる.

一般に,’知らなかった’証明は極めて難しく,’知っていた’証明は簡単なはずである.この証明が難しい’知らなかった’を上申書だけで認めて,脱税疑惑が否定される事になるのだろうか.

政治資金規正法はザル法だが税法は政治家も民間人も差別はない.民間並みに徹底して調べて欲しいものである.NO200のブログで問題提起した事は何も晴れていない.

現在,納付された贈与税に対して,脱税,遅滞金,加重課金などの国税の判断が出ていない.脱税の嫌疑は依然として残っている.同時に収支報告書偽装も共犯になる可能性もある.その意味で審査会としては政治資金規正法に対し『不起訴相当』ではなく『不起訴不当』(もっと調査をしろ)であるべきだと思う.

はたして首相の不逮捕特権から幕引きになるのだろうか.だとしたら,国民もすっきりしないまま,首相も針のムシロに座り続ける事になる.

今年の参院選で民主党が過半数割れを起こせば,国会での証人喚問が現実味を帯びてくる.

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2010.04.23

208 出口未定の事業仕訳

今日から独立行政法人対象に,第2段の事業仕訳が始まる.当ブログ№190順序が違う民主党政権,でも述べているが,今度は自分が作った本年度予算に対して行う点が前回と違うが,依然として大きく順番が違う事を繰り返す事になる.順番が違う点は後述する.

この事業仕分けは元来,所轄大臣が定常的に行うべきものであり,所轄大臣には常にその有効性,効率性を監督する義務がある.従って,今回の事業仕分も各省毎に大臣が座長でやれば良いと思う.大臣は信用出来ないのだろうか.

ところで,この独立行政法人制度は,2001年の行革の中で,行政の効率化・スリム化,公務員の削減,法人の自立化,透明化,
を目的に作られた.当時,公会計制度も議論された記憶がある.

一方,財政逼迫の中で,費用の無駄使い,官僚の受け皿化,高級官僚の渡り,独立法人配下のファミリー企業化,など設立趣旨に反する露骨な不具合,不効率が問題視されている.

そこで,今回の大体的な事業仕訳は,この独立行政法人に対し,改めてその必要性の有無,不効率・不具合の有無を精査しようとするものである.

民主党は,この精査によって,廃止,民間移管,役所引き取り,縮減,準備金の引き上げ,の方向性を示し,当年度予算執行,来年度の予算編成,将来の独立行政法人の制度改革,につなげたいとしている.

しかし,廃止だ,遺憾だ,縮減だと言っても,それを実現する方策(出口)が明らかでない為,細かな縮減はすると思うが,中途半端になる気もするその理由を.いくつか上げてみたい.

①廃止,民間移管とした時,法人職員の退職,転属をどうするのか
②役所引き取りとした時,公務員組織・人事が肥大化しないか
③縮減は何に対して言うのか(交付金,補助金,発注金額,仕事内容,職員数等)
④縮減が職員のリストラに及ぶ時,法人職員の退職,転属をどうするのか
⑤事業仕訳と所轄の大臣の見解の相違をどうするのか
⑥廃止・縮減は絶対評価によると思うが,優先度等の相対評価の物指しが不明
⑦何よりも整合性のある行政改革の姿が描かれていない

このような中での事業仕分けは当然限界がある.まずこれらの方針を決めてやらなければ効果は極めて小さなものになる.まさに順番が違うのである.

民主党のあらゆる政策に共通しているが,表面的に問題をとらえるだけで出口が見えない.本質的なところの考え方や政策,その実効性の裏付けが乏しいのである.まさに,'思い'を公約にしただけなのである.

この事業仕訳も同じ轍を踏んでいる感じがする.パンドラの箱を開けただけ,になりかねないのである.

特に⑦の行政改革の問題は,地方分権との関係,公務員人事制度の問題,政治家の人事権の問題,人事異動のはけ口としての外部組織の問題,外部組織の新設・統合・変更・廃止の問題,など行政全体の視点が必要なテーマなのである.単に無駄の温床だと言って独立行政法人を叩く事で解決しないのである.

もちろん国だけではなく地方の行政組織も同じテーマがある.だからこそ,行政改革は化け物を退治するほどに難しいのである.

事業仕訳を通じて,改革構想につなげると言うが,どこまであるべき姿を描けるのだろうか.

民主党マニフェストによれば,法人を抜本的に見直す,天下りをなくす,ピラミッド組織はやめる,定年まで役人を内部で抱える,と言うが,これで効率的な行政組織は作れるのだろうか.逆にさらに不効率になる可能性もある.

まず,この議論を先にすべきだと思う.これこそが行革相の仕事なのである.無駄削減等は所轄大臣に任せれば良いと思う.大きく順番が違う点である.

そこで,そもそも,行政法人に対し,次の二つの方向性のどちらを取るのだろうか.

1.独立行政法人のコンセプト(行政組織のスリム化,非公務員化,法人の自立化等)を継続し,問題点を是正していくと考えるのか.
2.独立行政法人制度を廃止し,全て役所の組織に組み込むと考えるのか

地方分権,行政のスリム化,効率化を目指す中で,はっきりすべきである.又1.の独立行政法人制度を継続するにしても,次の様な方針をはっきりすべきである.

①行政業務の官から民への移管を加速する
②業務特化の独立行政法人の監視体制を強化する
③独立行政法人は官からの発注(委任,請負)
で運営する
④独立行政法人の設立,変更,廃止に伴う職員の処置方法を決めておく
⑤官僚のピラミッド組織と,独立行政法人組織で行政全体のスリム化を進める
⑥ピラミッドから外れた役人等の法人への異動は出向とする

これを踏まえて,行政改革の概要作りに着手すべきである.今のままでは,事業仕訳に熱心だが,それでどうするの?と問いたくなる.いくら問うても,行政改革のグランドデザイン(出口)など描けないのかもしれない.

子供手当て,高速道路無料化,暫定税率廃止,天下り廃止問題,普天間基地移設問題,等々,それでどうするの?と国民から問われている様に,人気取りや思いに走るが身がない民主党の共通の問題が,この業務仕訳にも伺えるのである.

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2010.04.19

207 動き出した政界再編

民主党政権への危機感,自民党の政治路線の混迷,を受けて,2010年4月,たちあがれ日本,日本創新党が結成された.政治路線の抗争から2005年の国民新党,新党日本,2009年のみんなの党を加えれば,まさに新党ブームである.

いずれも,それぞれの政治信念にもとづいた結党だと思うし,民主党,自民党の中で,しがらみで動けない人達より純粋な人達かもしれない.もちろん政界の魑魅魍魎,自己保身で生まれる新党は論外であるが.

出来る事なら,新党ブームに終わらせないで,将来の政界再編に繋がって欲しいと思う.当ブログ『NO186自民党崩壊と今後の政治路線』で述べているように,『保守』,『新保守』,『リベラル』の政党にまず再編して欲しいと思う.究極は『新保守』対『リベラル』の2大政党になって欲しいのである.

米国の共和党,民主党,イギリスの保守党,労働党の構図である.国の情勢によって政党を選べる,或いは失政を直せる政治体制を期待するからである.

この物指しで新党を見ると『保守』は,たちあがれ日本,国民新党,『新保守』はみんなの党,日本創新党,『リベラル』は新党日本と映る.

既成政党で言えば,自民党は『保守+新保守』を抱えたまま漂流中.反自民で集まったままの民主党は『保守+新保守+リベラル』のごった煮状態のままである.公明党は『保守+リベラル』で理念が不明な分,どの政党とも引っ付きやすいホピュリズム政党に見える.共産党,社民党は断片的な発想で音を出すが,全体としては不協和音である.しかし,共・社自身は心地よい和音だと信じている政党に感じる.

願わくば,こんな既成政党の政治家も自分の政治信念にもとづいて純粋に行動して欲しいと思う.そうすれば,日本の政党再編は早く落ち着くと思う.90年代の失われた10年を繰り返してはならないし,自分や党の事より,日本の事で行動して欲しいと願いたい.

特に日本の財政,経済情勢からすれば,自民,民主を超えて『新保守』勢力の形成に期待したいところである.日本の難問に対し,保守,リベラルの大きな政府思考と新保守の小さな政府思考との政策論争を活発にし,国の情勢によって,政権交代を可能にしたいからである.

しかし,残念ながら今のところ民主党が分裂する気配が無い.願っても無い政権与党の立場を手放すはずも無いが,民主党政策は早くもおかしくなって来た.にもかかわらず,政府の苦闘をよそに,党活動は,ひたすらバラマキ政策と参院選に勝つ事しか興味がなく,日本の行く末,政治体制など眼中にない感じである.

その卑近な例が3人区への二人立候補である.一人は組織票候補,二人目は無党派取り込みを狙った有名人候補である.共倒れするとの批判が党内からあるようだが,多分,ターゲットの票田毎に選挙運動を展開し,総取りを考えている様である.

この戦略が成功するかどうかは国民によるが,少なくとも,全ての政党の役割は国民に政策と政治家の選択肢を出すことが義務であり,人気投票で権力を得ようとしてはならないのである.

一方,自民党もいまだ政治路線がはっきりしない.天に唾する事になりかねない分,コンセプトが出しづらいのかもしれない.ならば保守と新保守に分党し,新党を巻き込んだ野党再編をすべきだと思う.

これで保守,新保守と民主党の体制となり,次のステップで民主党がリベラル色を強めれば,保守,新保守,リベラルの政治体制が出来上がる.しかし自民党には,その動きが見えない.残念である.

もし民主党も自民党も,このままで,民主党が選挙に勝ったとすると,野党は野合で対抗する事となり,ごった煮の与野党政治が続く事になる.これでは日本の政党は不安定となり,理念,性格にもとづく政党再編は,何周も遅れる事になる.

そんなわけで,今年7月の参院選挙は,政党及び候補者の政治信念(保守,新保守,リベラル)を確認して投票する事が日本の政党の再編にとって大事だと思う.

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2010.04.14

206 黒船来襲・携帯革命

90年代後半,パソコン,インターネットの黒船が来襲して以来,世の中は情報化社会に移って行った.そして2010年,世界に普及し始めた携帯端末が日本に上陸し,新しい情報化社会を作り始めた.

この携帯端末はスマートフォーン系(アップルのiphone等,高機能携帯電話)とタブレットパソコン系(アップルのipad等,多機能端末)がある.

この2系統の携帯端末はブロードバンド無線網とつながり,電話,メール,インターネット,EC,メデアプレー,カメラ,ゲーム,テレビ,GPS,地図,
電子書籍等,あるいはクラウドコンピューテングの端末として使われる.従来のパソコンに取って代る勢いである.特にタッチスクリーンによるキーボードレス,マウスレスが端末の革命を起こしつつあるのである.

この携帯革命の裏で,次の様な激しい,つばぜり合いが展開されているのである.

①携帯端末のOS戦争

携帯端末アプリケーションソフトの巨大化と互換性,ハードの技術革新の加速で最も重要になるのはOS(基本ソフト)の選択である.パソコンの歴史と同じ様に,いづれ世界のデファクト(実質標準)OSにハード・ソフトが集約されて行く事となる.そのデファクト競争がいま展開されている.これがOS戦争である.

現在アップルのiOS4,グーグルのandroid,マイクロソフトのwindowsphone,ノキアのシンビアン,等が競い合っているのである.現在のところ,
アップルのipod(デジタルオーデオプレーヤー),iphone(ipod+電話機能),ipad(ipod+9.7インチ画面・B5サイズ,タブレットパソコン)のiOS4が先行している状況である.

日本におけスマートフォーンのOS対応は次の状況である.

・ドコモ(android)・・・ソニー・エクソン製造
・KDDIau(iSO1,2,android,MS,windowsphone)・・・シャープ,東芝製造
・ソフトバンク(iOS4,android)・・・アップル,HTC製造


このOS戦争はパソコンと同じようにアプリケーションソフトの豊富さ,人気ソフトの存在,アプリ開発スキル人口数などで,普及の勝敗が決まる事になる.又,垂直統合型のアップルiOSかオープン型のグーグルandroidかの競争も見ものである.

OS戦争に,もう一つ,ウイルスの発生と対策の問題がある.ウイルスに感染しやすく,ワクチンや予防法が弱ければ,たちどころに,そのOSの利用者は激減する.スマートフォーンやタブレットコンピューターの新たな大問題である.今のところ,その対策は聞こえていない.

②キャリアと端末の分離

日本ではキャリア(ドコモ,KDDIau,ソフトバンクの携帯電話網)と携帯電話は一対の縦構造である.世界的に例を見ない形態である.この事によって端末開発業者の投資を促し,携帯端末の購入価格をひき下げ,急速な普及を実現してきたのである.

一方,世界では端末とキャリアは分離された形で発展してきた.当然,端末ではソフトの互換を実現する為の上記OS戦争が起こり,キャリアでは端末接続競争が起こる.

結局,日本でも,キャリア側は各社のスマートフォン,タブレットコンピュータとの接続を競い,利用者側は任意の携帯端末,電話網をそれぞれ選ぶ事になる.

かくて携帯電話の為のキャリア別縦割り構造は崩れて行く.特に
タブレットコンピューターの急速な普及を考えれば,無線網と端末の分離は必然になるのである..

そうなると,従来のように,端末価格を通信費で賄う事が出来なくなる.その分,通信費は下がる.或いは,キャリアと長期契約すれば端末価格は安くなるなら,通信料は余り下らないかもしれない.又,現在の会社別の無線電話網の重複投資が回避されるもしれない.いづれにせよ,日本の携帯電話事情は一変する事になる.

まさにパソコンと同じように,世界規模で部品,端末,ソフト,ネット,プロバイダーが分離され,産業が横構造に急速に変化して行くのである.頭から先まで全て自前でやる日本的縦構造は崩れるのである.

この横構造は責任の所在が曖昧になる欠点があるが,だからと言って縦構造に固執していては生き残れないのである.これはIT業界だけではなく,多くの産業で有り得る変化である.

③携帯端末向けのアプリケーションソフト競走

OS覇権戦争の中で,端末向け人気アプリケーションソフトの品揃え,開発スキル人口の拡大の競走が激しくなっている.各OSメーカーはアプリ開発キットを提供しながら,これに取り組んでいるが,既にアップルが10数万本と断トツにリードしている様である.

又,アプリケーション開発者にとっては,世界規模でソフトを売るチャンスでもある.専門家だけではなく,一般人の参入も多くなる.アイデア勝負の世界が繰り広げられる.

④コンテンツ及びコンテンツ配信の競走

いつでも,どこでも,で操作性に優れた携帯端末(ipadに代表されるタブレットコンピュータ)の普及を想定して,新たなコンテンツの配信サービス競走が始まっている.音楽,映画,ゲーム,電子出版,学校教材,新聞,テレビ,カタログ,広告宣伝,などのネット配信が急速に拡大し,しかも,世界規模で行われる事になる.

特に電子出版は本では出来ない表現が可能になるし,価格は格段に安くなるし.著者の印税が高くなる.出版から販売に関わるプロセスが不要になるし,在庫も不要になる.出版物の廃棄コストも不要になるし,省エネ・省資源効果は極めて大きい.又,何よりも,ロングテール現象(従来,採算が取れなかったコンテンツも販売可能になる)が起こる.これはもはや出版革命と言えるかもしれない.

世界に漫画を売ったり,マニアックな電子本を売りだしたり,素人が電子出版したり,端末向けアプリケーションソフトと同様に,電子出版で億万長者が出る時代かもしれない.

一方,従来の出版物は所有の価値で存在するとは思うが,端末の普及とともに,ますます出版の採算が悪化し,出版物が激減する可能性がある.

⑤パソコンVS携帯端末の競争

ビジネスシーンにおいても,携帯端末が無線網の発達によって,プライベートクラウド(グループウエアー,業務用システムなど)に活用され,オフィスの中も外も,この携帯端末がビジネスの必須アイテムになるる可能性が高い.まさにモバイル時代の到来である.

キーボード,マウスがタッチスクリーンに抵抗なく変わる事が出来れば,従来のパソコンに取って代るかもしれない.ウインテルの終焉になるかもしれないのである.

以上,激しい競争を続けながら,次世代の情報化社会が形作られると思う.この様な携帯端末の旋風に対し,結局,箱庭的思考,縦文化・自前主義,から脱しられなかった日本はレガシーコンピュータ,パソコン,そして今度は携帯端末と同じ轍を踏む事になったのである.残念ながら,つくづく世界のデファクトを日本が取る事など所詮無理だと思わざるを得ないのである.

自動車,産業機器,ロボット,家電等の組み込みソフトも同じ轍を踏む事になるのだろうか.製品のソフト化への戦略は極めて重要なのである.

ところで,米国のファイトにはつくづく頭が下がる.永いIBMの世界制覇に対し,マイクロソフト,アップル,グーグル,アマゾン等,次から次と世界的挑戦者が出て来る.日本的発想の'そんな事は無理だ'と思う事を,いつも誰かが挑戦しているのである.

例えば,グーグルは’地図,書籍,映像,等,あらゆる情報を電子化し,ネット上の情報も含めて,いつでも、どこでも,利用出来るようにしよう’と,これに挑戦したのである.携帯端末もこの延長線にある.

この挑戦がクラウドコンピュータの概念を生み,マイクロソフトのビジネスモデルを揺るがすだけでなく,今度は携帯端末ソフトの世界制覇にまでが話しが広がるのである.

日本ではグーグルの様な発想は出来ても,徹底的に実行し続けた者はいない.地図情報にしろ書籍の電子化にしろ,途中で何回も挫折して来た.

標準化をどうする,世界標準にならないリスクもある,技術革新で陳腐化するリスクもある,誰が入力する,費用はどうする,著作権はどうする,採算はどうする,等々で挫折するのである.

アップル社の執念もすごい.マイクロソフト,インテルを向こうに回してマッキントッシュの独自性で頑張って来た.その文化・技術の延長線でipot,iphone,ipadなど携帯端末に挑戦して来た.勿論,無線網のブロードバント化,タッチスクリーン技術革新,が連動しているが,ユビキタスならモバイルが主流になるとの確信と打倒マイクロソフトの執念があったのだと思う.

ビルゲーツの出現以来,どうやら既存企業の挑戦ではなく,個人が挑戦する文化が,これからも世界を切り開いていく感じがする.

そんなわけで,残念ながら現状では,大きな戦略,オピニオンメーキング,ハード,ソフトのアークテクチヤーはアメリカ,日本はハードのテクノロジーと製造技術で生きて行く事になりそうである.幕末以来,攘夷を叫んでも戦いにならない歴史が続く.

追伸

当記事発信の後,国産携帯端末メーカーが共同でOSを開発するとの報道があった.余りにも遅い感じがする以上に,いつものドメステックな発想が気がかりである.過去に共同で成功したためしがない.

世界の既アプリケーションソフトとの互換性を取る事になると思うが,後追いの感が否めない.世界的視野で新しい発想を入れた戦略が描けないものだろうか.共同開発するにしても世界各国との連携が必要である.

一方,端末OS戦争以外にも,端末ハード開発,通信網技術,端末アプリケーション開発,コンテンツ配信サービス,コンテンツ開発,クラウドコンピューテング,などビジネス領域は一気に広がっている.世界規模でこれらのビジネスをどう展開するかも重要な視点だと思う.

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