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2010.06.02

214 民主党の内部抗争勃発

右から左を含めて,反自民で野合し,政治理念を封印して来た民主党が,ここにきて,いよいよ内部抗争を起こしそうである.この火種になる勢力図は次の三つに分類されると思う.

①政治理念より,まず選挙向け政策を優先したい勢力(数至上主義の勢力)
②労働組合を票田にしている勢力(旧社会党系,社民党系出身勢力)
③選挙対策より中道左派的政策論を優先したい勢力(理論派を自任する勢力)

この三つの勢力に日本新党,社民党が連立し,ますます,ごった煮の度合いを高めている連立政権なのである.

こんな火種を持ちながら,実力者小沢幹事長が強権を持って,ごった煮の連立・党を束ねているのである.そして政権奪取後8カ月,参院選挙を前に,大きく支持率を落としている.その原因は枚挙にいとまはないが,おおよそ次の通りである.

①首相,幹事長の政治資金問題
②マニフェストの嘘が露呈(ほぼ選挙対策優先で裏づけなし)
③幹事長の強権と封印された党内論争
政権・党運営における意思決定の混乱
⑤首相の信頼失墜(政治資金・基地移設問題への言動)

こんな中で,5月30日,民主党政権が普天間基地の移転先を『最低でも県外』から『抑止力を考えれば辺野古』に翻意した事で,社民党が連立を離脱した.

民主党と社民党の連立は,参院の過半数確保の為であるが,根本は社会党・社民党出身の議員が多く在籍している民主党は社民党との選挙協力で社民党支持層の票を確保する狙いがあった.政治理念を封印し,打算で成り立っていた連立のもろさが現れたのである.

一方,火種を抱えたままの民主党も,この連立離脱劇と支持率低下で,参院選を目前に,首相,幹事長への批判が沸騰し,一気に内部抗争が勃発するのではないかと予感するのである.当ブログでも度々,民主党の危うさを指摘し,この政権の続投を批判してきたが,もう限界に来たと確信したからである.

実は,この記事を書き終わった直後に,突如,鳩山首相が辞意を表明した.こんなに早く予感通りになるとは思わなかったが,急遽,直感的に連想した事を追記する事にした.

まず首相の辞意表明だが,政権交代の志(自民党的政治の転換)が間違っていないと述べた後,政治と金の問題,普天間基地移設問題の責任を取って,幹事長ともども退陣する,との内容であった.根底にあるマニフェストの問題を上記二つの退陣理由で覆い隠した感じがした.

又,米軍基地問題は自主自衛,憲法改正をしなければ根本的解決は出来ないと言った.辞任するとは言え,現職の民主党首相が日米安保を堅持する立場と矛盾した事を世界に発信した事になる.今さら何だ,と言いたくなった.どうやら頭の中が整理できていない首相であったと,自ら認めたようである.

まさに,民主党目玉政策は財源がなければ何も出来ないと開き直る姿勢と同じ発想である.これも又,'今さら何だ’になる.

退陣の理由に事欠かない首相,幹事長だけに,ダブル退陣は当然の決断だと思う.そのいきさつは不明だが,党内から批判の多い実力幹事長を道ずれに辞任し,民主党らしさへの回帰を切望して,ダブル辞任を決断したようである.

今回の退陣劇は自民党の自滅で政権を奪取したとは言え,明らかに,実力者小沢主道の選挙用の目玉政策,総選挙対策,政権運営,が間違っていた事を認めた事に等しいと思う.従って,昨年の総選挙のやり直しに値する辞任宣言であったと思う.

一方,辞任表明が今日になったのは自民党からの不信任案が出て,これを否決すれば,辞任出来なくなる事から,その前に辞任を表明する必要があったのだと思う.首相としては最初で最後のリーダーシップを発揮した感じである.

この突然の退陣声明の直後ではあるが,今後の事で連想した事を述べたい.

①退陣劇の説明責任問題

退陣表明は民主党員への表明である.総理として国民に同じ説明をするのだろうか.だとしたら,政治と金の問題を否定してきた事が何だったのか,基地問題も今までの説明が何だったのか,選挙公約は何だったのか,を説明する義務がある.

もし,国民への説明がないままに,新政権に移れば,民主党としての説明が求められる.当然,民主党の責任が追及される.総辞職するのだから,責任ある政権与党として,国民に対し,謝罪,反省を踏まえた説明責任がある.

②政策や政権運営の見直し問題

退陣の根底に選挙対策優先で,裏付けの乏しい民主党政策の行き詰まりがあったと思う.その事は民主党内部でも認識しているはずである.又,政府と党の政権運営の混乱も原因だと思う.

その意味で,単に表紙の掛けけ替えではなく,政策や政権運営を変えなければ何も解決しない事になる.はたして,最高権力者の幹事長主導で作られた選挙優先の目玉政策,政権運営を,どのように変えるのか民主党が問われる事になる.

民主党は①の退陣劇と同様に,政策の見直し,変更を行うのであれば,再開国会で説明する責任がある.参院選での判断材料になるだけに,うやむやに出来ない.

③通常国会の会期問題

通常国会の会期末(6月16日)が近づいているが,延長するのか,しないのか,も重要な判断となる.明らかに郵政見直し法案など問題の多い重要法案は,たとえ会期を延長しても,強行採決すれば別だが,常識的には通過は不可能だと思う.その上で,会期問題を考えると,

・延長しない(与党)・・・・・新政権のボロが出ない内に参院選に突入したい
・延長したい(日本新党)・強行採決をしても郵政法案を通したい(連立の条件)
・延長したい(野党)・・・・・新政権に上記①②や所信表明の問題を追及したい
・延長すべきだ(国民)・・・新政権の中身を知って,参院選の判断材料にしたい

となると思う.新政権の初仕事として,激しい攻防に直面すると思う.しかし,常識的には国民の視点で言えば,延長すべきだと思う.延長回避は与党の逃げと取られる.

民主党内部抗争の勃発と政界への影響

露骨に手のひらを返したような党員の首相,幹事長への批判,首相の辞任表明,首相の幹事長辞任要求と民主党の内部抗争が勃発したわけだが,これを序幕とすると,内部抗争の第一弾は,党代表の選出,新総理の誕生,政府・党の新布陣作りである.これで,内部抗争の一つの結果が出る事になる.

新政権では,多分,鳩山首相の遺言を盾に,民主党原点への回帰,小沢路線からの脱却,を表明し,参院選に向けた支持率回復を図る事になると思う.

しかし,これは第一弾であって,具体的な政策見直し論議や参院戦の結果で,9月の民主党党首選挙が大きな山場(第二弾)になると思う.脱小沢の機運と言っても,最大勢力の小沢グ゙ループを抱えたままだからである.

一寸先は闇の政界だけに,民主党小沢グループの民主党離脱と新たな連立政権の誕生や党派を超えた新保守勢力と保守勢力の統廃合など,大きな変化があるかもしれないのである.

直感的に連想した事は以上である.今週,総裁,閣僚人事,民主党人事が決まると思う.どんな布陣になるのか,政策がどう変わるのか,野党の新政権への攻勢をどうするのか,まず参院選までの動きを注目して行きたい.

ところで,日本の政治が不安定になるのは,憲法問題,安全保障問題,社会保障問題,財政問題など,難問に手がつけられず,いつも先送りし,政治の歴史的負の遺産を拡大して来たからだと思う.

難題や危機を前にすると人事が頻繁に変わる事は歴史が証明している.だとすると,問題の深刻さが増幅し続ければ,解決の選択肢がどんどん減って行き,ますます難題や危機が大きくなり,政情不安も大きくなる.歴史の証明に従えば,今後も短命政権が出没しても不思議ではない事になる.

時々,テレビで政治家の主張を聴いていると,そんな認識,主張では,日本が正念場,土壇場,修羅場,墓場と凋落のシナリオを歩む事を止められないどころか,加速してしまうのではないかと,感じる時ある.

組合闘争の様な生活第一とバラマキをする思考レベルではなく,国力の衰退をどう止めるか,グローバル社会にどう対峙していくか,その為の施策をどうするか,と生きるか死ぬかの逼迫感があるからである.

その意味で,今回の民主党の自作自演劇や参院選挙,その後の政局,が我が国の深刻な問題の解決の為であって欲しいと思う.党利党略,保身,選挙対策ではなく,日本の危機に真剣に取り組む政治家,政策の出現を切望したい.

特に,3年後の総選挙には,年齢的に,現在の政党幹部は確実にいなくなる.現在40代,50代の政治家が今から準備しなければならない.全政党にその準備ができているのだろうか.民間人の若手論客の政治参加も期待したい.

国民は,未熟なメニュー(立候補者,政策)であっても,その中から選ばなくてはならない.メニューのレベルを上げなければ,政治の未熟さ,国の凋落は解消されないのである.政治家にその自覚があるのだろうか.それとも,当選するなら何でもあり,に走るのだろうか.

今年の夏も,昨年の真夏の総選挙に引き続き,暑い夏になりそうである.

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