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2010.06.12

215 民主党支持率回復の怪

民主党の内部抗争,首相・幹事長退陣,社民党連立離脱,新首相の誕生,政府・党の新体制で,20%程度の支持率が一気に60%に跳ね上がった.

所信表明や国会論議の前の数字だから支持率と言うより'前人気'ととらえた方がよいと思う.首相や幹事長が退陣しただけで,前人気が上がるなら,亀井大臣も解任すれば,もっと数字は上がったかもしれない.

一般的に,前人気は前任者,前政権への失望感,反感の度合いで決まる事が多い.まさに今回の前人気も,首相への反感の表れと.阿倍,福田,麻生,鳩山と続いた世襲首相への失望感が前人気を高めた理由だと思う.これに小沢色への反感が重なって一気に前人気を押し上げたのである.同じ党内での体制変更とは思えない,奇妙な現象である.

この奇妙さは,もともと,ごった煮の政党,2重構造の政党であった事を証明したとも言える.民主党ネイテブの人からすれば,封印が解かれて,真の政権交代が出来たと大喜びしているに違いない.だとしたら国民は偽りの民主党に政権をゆだねた事になる.喜んでいる民主党議員に,その自覚があるのだろうか.

前人気が反感度合いに比例する現象は過去にも見受けられる.最近で言えば,小泉政権の前人気は守旧派への反感,その後,守旧派を復活させた自民党への反間が前人気を高めた.

どうも国民は古くから,政治に係わらず,権力者に対し,これを叩く,勧善懲悪,判官贔屓,仇討,が好きである.しかし,これで前人気を得ても,小泉政権を除けば,'山高ければ谷深し'の支持率になったのである.政治においては,前任の反動ではなく,人物,所信で前人気を,政策,実績で支持率を判断したいものである.

真剣に政治を心配している者からすると,前任者への反感で,前人気や期待感は持たない.あくまでも,日本の危機回避を,この政権,この人,にゆだねても良いのか,と言う目で見る.必ずしも一般のアンケートとは一致していない事が多い.

昨日の所信表明も高い前人気とは一致しなかった.所信で言っていたのは,'信頼の回復’'行政の大掃除’第三の道と称して’強い経済,強い財政,強い社会保障の一体的立直し’を行い,増税と成長を両立させたいと述べた.

しかし,具体的にどうするのか,全く中身は述べていない.思いだけなのか,裏づけがある事なのか不明である.どうも'第三の道'発言は’最低でも県外'と見栄を切った発想に似ている.

ところで,第一の道は公共事業による経済成長,第二の道は小さな政府,自由主義経済・市場原理による経済成長,そして第三の道は環境・社会保障への財政出動による経済成長,と言われている.

この第三の道への懸念・反論はすでに,当ブログでも発信しているが,思わず飛びつきそうな言い方だが,私見では理論的にも,現実的にも,マユツバに思うのである.公共事業経済を拡大させ,増税と大きな政府の道を歩み,結局,経済も疲弊し,貧しい社会主義経済国家,低福祉国家,活力の無い極東の島国への道になると思うからである.

この第三の道の考えで介護・医療等へ財政出動し,雇用や需要を拡大するとの主張は第一の道の公共事業と同じ考えだが,違うところは,常に財政出動が増え続け,かつ,その経済波及効果は期待出来ない事である.財政出動が投資ではなく社会的経費の部分が多く含まれるからである.介護・医療への財政出動を経済成長政策と言うのは間違いだと思う.

本来,経済,財政,社会保障の強化は民のパイの拡大でしか実現できない.これを支援する戦略的分野への財政出動,制度改革,金融政策,グローバル戦略を考えるのが政治の経済成長政策である.公共事業経済を拡大するような第三の道は成長戦略とは思えないのである.

この様に,第三の道は,まさに何も出来なくなる'合成の誤謬'の典型的論理だと思う.度々,当ブログで,民主党政権は'合成の誤謬政権'だと発信して来たが,もし,この様な第三の道を主張しているのなら,又か,と言う感じである.

内容を聞かないと分からないが,単に増税への政策転換の理屈付け,キャッチコピーだけかも知れない.あるいは,実際の予算編成を後付で正当化する言葉かも知れない.さらに,過去にあったような無駄な公共事業を撲滅するだけの意味かもしれない.それなら別に第三の道などと言う必要はない.いづれにせよ,掴みどころのない第三の道の話しである.

今回の所信表明は,この曖昧な第三の道の話に加え,首相退陣の国民への説明もなく,民主党の目玉政策の総括もせず,手のひらを返したような総括的な所信表明だったと思う.

特に政権交代を後押ししたマニフェストが裏づけのない選挙用の政策であった事が明らかであり,前政権がこの為に挫折したと思うが,それだけに,このマニフェストの総括や前政権の非に触れずに,参院選マニフェストで民主党政策をリセットする戦法は許せないのである.

このままだと,昨年の総選挙は何だったのか,8ヶ月の政治や主張は何だったのか,と民主党に問いたくなる.まったく国民に対し無責任だと思う.それとも,民主党の目玉政策は問題はないと言い続けるのだろうか.

このように非を非と認めない幼児性,論理のすげ替えで逃げようとする無責任性,会期延長なしで説明責任を避け参院選に突入する国民不在の組織論理,第三の道等と相変わらず'合成の誤謬'政策を振り回す単純な思考回路,等々,民主党の責任感と信頼感に疑問符が付くのである.

まず,民主党は正々堂々と脱小沢色を言うなら,人事だけではなく,選挙目当ての裏付けのないバラマキ政策にも言及して総括すべきである.せめて参院選のマニフェスト発表では,この総括をした上で,次の政策を述べるべきだと思う.責任と信頼は,非を非と認める勇気と正直さが必要なのである.

この姿勢を取らなければ,民主党の政策変更は中途半端になり,無理な屁理屈が災いして,政策がどんどんおかしくなるのである.成長戦略,財政問題,増税問題など,入り口で挫折するはずである.目玉政策や第三の道などの合成の誤謬政策をやめない限り,難問に明かりは指さないのである.それほど日本の道は狭いのである.

以上,所信表明を終わった段階であるが,世間の前人気とは違った感想である.こんな民主党の姿勢を野党は厳しく追求し,国民の前に選択の材料を引き出して欲しいと思う.

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