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2010.06.18

217 増税論議の本質

民主党政権の選挙目当ての裏付けのない目玉政策によって,いよいよ借金が限界に来たと,当ブログNO197 『危険水域の国の借金』を発信した.その懸念の中で,にわかに消費税増税論が参院戦を前にして活発になってきた.バラマキ政策の限界を知った民主党も,これに飛びついているのである.

公然と増税論が飛び交う様になったのは,国民の中で,900兆,GDPの180%に及ぶ異常な借金残高に加え,少子高齢化による社会保障費の逼迫で増税やむなしとの機運が高まったからである.増税が選挙にマイナスになるトラウマがなくなり,遅まきながら政治の中心的テーマである財政問題がクローズアップされる時代になったのである.

当ブログでも度々NO193財政法と予算編成、NO173国家財政と民主主義、NO162財政出動への懸念,等,財政の深刻な問題点や対策を発信してきた.その事からすれば,現在の消費税増税論は実に軽薄である.

増税論の枕に欧州諸国の消費税率との単純比較が出てくるからである.日本は率が低いから上げてもおかしくないと言わんばかりである.確かに一律5%の日本に対し,欧州諸国は20数%であるが,実際は食料品や住宅に低減税率が設定されていたり,税率0もある.結果,税収に占める消費税の割合は日本と欧州では率ほど差は無いのである.単純に率を比較して増税を煽るやり方は,いかにも軽薄と言わざるを得ない.

ところで,現在の借金の大半は,バブル崩壊後の90年代に積み上がった(約600兆).資産バブル崩壊で資産価値が暴落し,債権も不良化し,経済が急速に縮小した時代である.この対策の為,積極的な財政出動を繰り返したのである.

当時の考えとして『財政出動なくして景気回復なし』『景気回復なくして改革なし』が態勢を占めていた.同時に’背に腹変えられず’’増税より借金に寛容な国民性’がこれを後押しした.

その後10年間,金融ビッグバンや政治の混迷もあって,不良債権を抱えたまま,景気は回復せず,高度成長を支えた日本の縦構造も改革される事はなかったのである.

00年代に入って小泉政権が誕生し,『改革なくして成長なし』の考えで,不良債権処理,低金利による金融救済,規制緩和,官から民,等矢継ぎ早の政策が実行された.国債の発行もプライマリ-バランスの確保を目指して,約30兆に抑制された.株価も上昇し,日本沈没を救ったのである.その後,改革路線の停滞,BRICSの台頭,世界的金融危機,円高株安で国内景気は永いデフレスパイラルに陥って行った.

そして現在,冒頭の『借金に頼る時代』から,さすがに,もう借金は増やせないの『歳出削減と増税に頼る時代』に議論が移ってきたのである.

しかしながら,昨今の増税論議は基本的なテーマに触れていない.将来の歳出計画,歳入計画,財政健全化計画を示した上で増税の目的と内容を示すべきなのである.もちろん借金する場合も,この事を示すべきなのである.

当然,この全体計画がないと,増税の必要性,目的が分からない.増税が借金抑制や借金残高減になるのか,歳出増の財源になるだけで,借金抑制にはならないのか,不明なのである.たとえ消費税の社会保障目的税化と言っても,どちらになるのか依然不明なのである.そこで,増税賛否に関わらず各政党が次の2点をどのように考えているのか,改めて聞いてみたい.

①債務残高に対する認識

債務残高の評価について,政治家,学者,有識者などの評価はまちまちである.
例えば,
国の債権と相殺すれば純債務は小さいとか,国の資産の売却で借金軽減が出来るとか,経済成長に伴うインフレで軽減できるとか,国民の金融資産が大きい(1500兆)
あるから,国債発行の引き受け能力はまだあるとか,残高は増やさず,減らさずで良いとか,楽観論がある.

一方,国債償還の為の国債発行はまさに借金地獄の道だとか,金利が上がれば一気に破綻するとか,国民の金融資産は国債残高900兆が転嫁しただけで国債の引き受け能力は限界だとか,借金は未来への負担を強い,未来の主権在民権を奪うから借金を減らすべきだとか,悲観論もある.

諸説がある中で,政党としての所見を聞きたい.これが,議論の出発点である.今まで論評がないのは,株価,金利,為替レート等に大きな影響を与えるからだろうか.

②今後の歳出・歳入計画

上記債務残高の認識に基づいて,今後の経済成長をどう見るか,年金,介護,医療,等を含めて全体の歳出をどう考えるか,行政改革,地方分権等による歳出削減をどう考えるか,税,税外収入などの国民負担をどう考えるか,を聞きたい.

以上の2点であるが,国家の財政運営には,これくらいの銭勘定が必要である.見通しの修正を繰り返したとしても,この所見なしで政策など作れない筈である.

このように考えると,消費税率がどうの,時期はどうの,と言ったたぐいの論議は軽薄に映るし,将来の見通しも見えないのである.

ましてや,民主党政権は財源を無視したバラマキ政策をとったり,否定していた消費税増税に傾斜したり,第三の道が経済成長につながると言ったり,中期財政政策も曖昧である.経済や銭計算の当事者能力が欠落した民主党の姿が不安なのである.

私見によれば,上記①②の見解にも依るが,多分,いくら増税しても,おのずと限界があり,日本の財政の健全化は出来ないと思う.歴史が示す通りである.残るは,『劇的な歳出削減と経済成長』と言う極めて細い,厳しい道しかないと思う.もちろん物理的に社会保障の給付逓減(物価に比例させない事も含めて)もあり得るのである.

この細い,厳しい道は小さな政府,官から民,規制緩和,自立,自己責任社会,と言う小泉政権が挑戦した政治路線に舵を切る道である.是非,この様な政策理念も念頭に議論して欲しいものである.

一方,日本が借金問題に寛容だった理由は長期的な物価,賃金の上昇である.事実日本は40年間で7~8倍に賃金やGDPが上がっているのである.今後も,これに期待するのであれば,財政破綻を回避し続ける政策(金融政策等)が極めて大事になる.

ところで,頭をかすめる事がある.消えた年金記録やギリシャの様に突然,とんでもない実態が明らかになる事やその実態を隠して大本営発表をし続ける事である.そんな心配から上記①②の前に,まず,政治家は実態を正確につかんでいるか,官僚が隠していないか,念の為,ここから始める必要があるかもしれない.

以上,増税論議に対する所見を述べたが,無理な注文だろうか.問題の難易度が上がる程,政治家,官僚の能力,信頼が相対的に低下して行く感じがして極めて心配である.今回の参院立候補者は,この財政問題にどんな所見を持っているのだろうか.

これからの国会議員の役割は,国民の声を吸い上げて政策につなぐと言った人畜無害の受け身の姿勢ではなく,既に山積された日本の難問(憲法問題,安全保障問題,経済問題,教育問題,社会保障問題,財政問題など)に,どう立ち向かである.政党の党利党略以前に,議員一人一人が主張を持ち,国民に選択肢を示せる政治家であって欲しいのである.

追伸

ギリシャの財政破綻を契機に,日本をのぞいて,世界的に財政赤字対策が発表された.例えば,英国キャメロン新政権は6月22日強烈な政策を発表した.引き継いだ予算案の全面見直し,付加価値税17.5%から20%に増税,福祉給付5年間で16兆削減,法人税減税などである.ドイツは4年間で9兆円削減を宣言した.

いづれも強烈な歳出削減である.日本はまだ上述のごとく,日本の実情を踏まえた全体の財政計画や歳入歳出計画が描かれていない.それどころか来年度の予算が組めるのかどうかも不明である.この事が参院選の争点にすらなっていない.ちまちました事業仕訳は各省庁に任せ,政治家は根本的な問題に取り組むべきである.

特に民主党はウソつきと言われたくない組織論理が優先して,政権交代選挙で掲げた増税なしで直接給付や無料化が可能との旗をおろしていない.その為に財源がない事が分かっていても,思い切った政策転換(バラマキ中止などの歳出削減策や増税案)も出せず,来期の予算見通しもついていないのである.

自民党は民主党の給付政策,無料化政策による歳出を削減し,かつ消費税10%を主張している.消費税増税論は早期に民主党を総選挙に引きづり出す戦略かもしれないが,行政改革等さらなる劇的な歳出削減策と経済成長策に知恵を出して欲しい感じがする.

みんなの党は小さな政府,大きなサービスを合言葉に,劇的な公務員改革の断行,増税は地方財源へ,介護,子育て支援は地方主体で,経済成長は金融政策が重要,と新党らしく,ポイントを突いた歯切れのよい主張をしている.同時に国会でのキャッシングボードを握って,民主,自民を巻き込んだ政界再編を主張している.

参院選が間近であるが,言うまでもなく選挙の最大の役割は政権を継続するか,しないかの意思表示である.従って,日本の為の良い政治を行う為には国民の政治意識もあるが,政党,政治家が示す選択肢が極めて重要である.国民は選択肢に対し該当なしと言えないからである.

この増税問題のみならず,政党,政治家は高品質な選択肢(実現性,効果性,将来性を考えた政策)を示して欲しいものである.これがあって,国民の選択が意味を持つのである.これが民主主義の大前提だと思う.

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2010.06.17

216 参院戦のキャッチコピー考

会期中に内閣が総辞職したにもかかわらず,会期延長もせず,新内閣と野党との論争なしで国会は6月16日閉幕した.総辞職のロスタイムもとらず,党利党略優先で国民不在の国会にした民主党の暴挙は憲政の歴史に大きな汚点を残した.

さて,本日から,いよいよ7月11日の参院選挙に向け激戦モードに突入する.安定政権を作りたい民主党,そうはさせない野党,が激しくぶつかり合う.民主党連立政権が絶対安定政権になるには衆院で3分の2が取れていないので,参院で過半数が必要となる.

過半数確保出来ない時,民主党が新たな連立を作って過半数を確保する事になるか,自民党もしくは自民党連合が過半数を取る事になるかであるが,後者の場合,完全に民主党連立政権は立ち往生する事になる.この時,一気に与野党含めた政界再編に火が付く.

私見で言えば,いづれ,保守,新保守,リベラルの政党に再編すべきだとの考えから,後者に期待したい.日本の置かれた状況に応じて,的確な政権選択を可能にしたいからである.ちなみに現在の日本の状況は小さな政府思考の新保守が出番だと思っている.保守,リベラルの大きな政府思考では日本の難問を解決できないと思うからである.

そんな重大な意味を持った参院戦であるが,大いに政策論争を期待したいところだが,どんなパンチの効いたキャッチコピーが飛び交うのだろうか.

このキャッチコピーで強烈だったのは小泉政権である.今でもその真理は生きていると思うが,バブル崩壊で露呈した日本の脆弱性,失われた10年を背景に,'聖域なき構造改革’,’官から民’,’郵政・道路の民営化’,’改革なくして成長なし’,’規制緩和’,’米百俵の精神’,'不良債権処理''自民党をぶっ壊す','守旧派は敵だ’など小さな政府を目指した改革の強い意志を的確に表現していた.

さて,今回はどうだろうか.全く余計な事だが,私だったら,どう言うか,考えてみた.

民主党の立場で言うなら.

所信表明や参院選マニフェストで昨年の総選挙マニフェストを変更しているだけに,言いづらいところがある.国民が期待している事業仕訳にポイントを置いて'国家運営の大掃'位しか浮かばない.'第三の道で強い国づくり'と言っても漠然としている.相変わらず’生活第一’と言っても新鮮味がなく,バラマキと社会主義を連想するし,財政再建も成長戦略も連想出来ない.

自民党への攻撃は'静かにして戴ききたい''謹慎して戴きたい'だろうか.これは結構きつい一発だと思う.自民党からは’党内の事を俺に言うな’とヤジが飛んできそうだが.

自民党の立場で言うなら.

昨年の下野から依然と立ち上がっていない.長期政権の総括をした上で,日本の課題と対策を論じる,と言う当たり前の行動から逃げているからである.日本政治の教訓としても残す必要があると思う.

そのケジメなくして,自民党は天に唾する宿命から脱しられず,信頼感も支持も得られないと思うが,依然として,路線もはっきりせず,敵失を待つしかない状態が続いている.

又,保守政党を改めて表明しても,それで敗退しているだけにパンチがない.中堅・若手に世代交代も進んでいない.3年後の総選挙に向けた人材発掘,登用も見えない,新保守主義,小泉イズムの勢力も埋もれたままである.

そんな自民党であるが,キャッチコピーを考えてみた.まず,総辞職に追い込まれた民主党への攻撃は,'今さら何だ,無責任だ',’左派路線・大きな政府は国を滅ぼす'あるいは'労働組合政党は国の経営は無理だ',’公務員改革は民主党では出来ない’,’強い国づくりは最低でも県外と同じだ’,だろうか.

自民党の主張としては,上記状況だけに,適当なコピーが浮かばない.小泉政権の様な強烈なコピーは今の自民党には似合わない.あえて言えば’環境・長寿立国’,'国際立国',と前向きなコピーが良いと思う.もちろん,自民党にその気がなければ意味がないが.

他の野党の立場で言うなら

保守,新保守,リベラル,左派等の政治姿勢を明らかにして,民主党では出来ない政治課題を絞って,憲法改正,安全保障,行政改革,地方主権,社会保障,あるい政界再編,等の主張になると思う.不協和音は願い下げだが,'小さな大政党’を目指して欲しいと思う.

このように各政党のコピーを考えてみると,結構苦労するのである.日本の難問に対し,どの政党も明確な羅針盤を持っていない証拠かもしれない.

そんな中で,国民はまずいメニューと思っても,政治家や政党,政策を選択しなければならない.従って,国民の選択の前に,政治家は全力で,うまいメニューを準備する必要がある.これがなければ,選挙は,まずいメニューにお済付きを与える事になる.日本の将来は各政党のメニューの出来栄えで決まる事を政治家は自覚しているだろうか.

今回,各政党の公約,キャッチコピーの品格,品質に注目したい.

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2010.06.12

215 民主党支持率回復の怪

民主党の内部抗争,首相・幹事長退陣,社民党連立離脱,新首相の誕生,政府・党の新体制で,20%程度の支持率が一気に60%に跳ね上がった.

所信表明や国会論議の前の数字だから支持率と言うより'前人気'ととらえた方がよいと思う.首相や幹事長が退陣しただけで,前人気が上がるなら,亀井大臣も解任すれば,もっと数字は上がったかもしれない.

一般的に,前人気は前任者,前政権への失望感,反感の度合いで決まる事が多い.まさに今回の前人気も,首相への反感の表れと.阿倍,福田,麻生,鳩山と続いた世襲首相への失望感が前人気を高めた理由だと思う.これに小沢色への反感が重なって一気に前人気を押し上げたのである.同じ党内での体制変更とは思えない,奇妙な現象である.

この奇妙さは,もともと,ごった煮の政党,2重構造の政党であった事を証明したとも言える.民主党ネイテブの人からすれば,封印が解かれて,真の政権交代が出来たと大喜びしているに違いない.だとしたら国民は偽りの民主党に政権をゆだねた事になる.喜んでいる民主党議員に,その自覚があるのだろうか.

前人気が反感度合いに比例する現象は過去にも見受けられる.最近で言えば,小泉政権の前人気は守旧派への反感,その後,守旧派を復活させた自民党への反間が前人気を高めた.

どうも国民は古くから,政治に係わらず,権力者に対し,これを叩く,勧善懲悪,判官贔屓,仇討,が好きである.しかし,これで前人気を得ても,小泉政権を除けば,'山高ければ谷深し'の支持率になったのである.政治においては,前任の反動ではなく,人物,所信で前人気を,政策,実績で支持率を判断したいものである.

真剣に政治を心配している者からすると,前任者への反感で,前人気や期待感は持たない.あくまでも,日本の危機回避を,この政権,この人,にゆだねても良いのか,と言う目で見る.必ずしも一般のアンケートとは一致していない事が多い.

昨日の所信表明も高い前人気とは一致しなかった.所信で言っていたのは,'信頼の回復’'行政の大掃除’第三の道と称して’強い経済,強い財政,強い社会保障の一体的立直し’を行い,増税と成長を両立させたいと述べた.

しかし,具体的にどうするのか,全く中身は述べていない.思いだけなのか,裏づけがある事なのか不明である.どうも'第三の道'発言は’最低でも県外'と見栄を切った発想に似ている.

ところで,第一の道は公共事業による経済成長,第二の道は小さな政府,自由主義経済・市場原理による経済成長,そして第三の道は環境・社会保障への財政出動による経済成長,と言われている.

この第三の道への懸念・反論はすでに,当ブログでも発信しているが,思わず飛びつきそうな言い方だが,私見では理論的にも,現実的にも,マユツバに思うのである.公共事業経済を拡大させ,増税と大きな政府の道を歩み,結局,経済も疲弊し,貧しい社会主義経済国家,低福祉国家,活力の無い極東の島国への道になると思うからである.

この第三の道の考えで介護・医療等へ財政出動し,雇用や需要を拡大するとの主張は第一の道の公共事業と同じ考えだが,違うところは,常に財政出動が増え続け,かつ,その経済波及効果は期待出来ない事である.財政出動が投資ではなく社会的経費の部分が多く含まれるからである.介護・医療への財政出動を経済成長政策と言うのは間違いだと思う.

本来,経済,財政,社会保障の強化は民のパイの拡大でしか実現できない.これを支援する戦略的分野への財政出動,制度改革,金融政策,グローバル戦略を考えるのが政治の経済成長政策である.公共事業経済を拡大するような第三の道は成長戦略とは思えないのである.

この様に,第三の道は,まさに何も出来なくなる'合成の誤謬'の典型的論理だと思う.度々,当ブログで,民主党政権は'合成の誤謬政権'だと発信して来たが,もし,この様な第三の道を主張しているのなら,又か,と言う感じである.

内容を聞かないと分からないが,単に増税への政策転換の理屈付け,キャッチコピーだけかも知れない.あるいは,実際の予算編成を後付で正当化する言葉かも知れない.さらに,過去にあったような無駄な公共事業を撲滅するだけの意味かもしれない.それなら別に第三の道などと言う必要はない.いづれにせよ,掴みどころのない第三の道の話しである.

今回の所信表明は,この曖昧な第三の道の話に加え,首相退陣の国民への説明もなく,民主党の目玉政策の総括もせず,手のひらを返したような総括的な所信表明だったと思う.

特に政権交代を後押ししたマニフェストが裏づけのない選挙用の政策であった事が明らかであり,前政権がこの為に挫折したと思うが,それだけに,このマニフェストの総括や前政権の非に触れずに,参院選マニフェストで民主党政策をリセットする戦法は許せないのである.

このままだと,昨年の総選挙は何だったのか,8ヶ月の政治や主張は何だったのか,と民主党に問いたくなる.まったく国民に対し無責任だと思う.それとも,民主党の目玉政策は問題はないと言い続けるのだろうか.

このように非を非と認めない幼児性,論理のすげ替えで逃げようとする無責任性,会期延長なしで説明責任を避け参院選に突入する国民不在の組織論理,第三の道等と相変わらず'合成の誤謬'政策を振り回す単純な思考回路,等々,民主党の責任感と信頼感に疑問符が付くのである.

まず,民主党は正々堂々と脱小沢色を言うなら,人事だけではなく,選挙目当ての裏付けのないバラマキ政策にも言及して総括すべきである.せめて参院選のマニフェスト発表では,この総括をした上で,次の政策を述べるべきだと思う.責任と信頼は,非を非と認める勇気と正直さが必要なのである.

この姿勢を取らなければ,民主党の政策変更は中途半端になり,無理な屁理屈が災いして,政策がどんどんおかしくなるのである.成長戦略,財政問題,増税問題など,入り口で挫折するはずである.目玉政策や第三の道などの合成の誤謬政策をやめない限り,難問に明かりは指さないのである.それほど日本の道は狭いのである.

以上,所信表明を終わった段階であるが,世間の前人気とは違った感想である.こんな民主党の姿勢を野党は厳しく追求し,国民の前に選択の材料を引き出して欲しいと思う.

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2010.06.02

214 民主党の内部抗争勃発

右から左を含めて,反自民で野合し,政治理念を封印して来た民主党が,ここにきて,いよいよ内部抗争を起こしそうである.この火種になる勢力図は次の三つに分類されると思う.

①政治理念より,まず選挙向け政策を優先したい勢力(数至上主義の勢力)
②労働組合を票田にしている勢力(旧社会党系,社民党系出身勢力)
③選挙対策より中道左派的政策論を優先したい勢力(理論派を自任する勢力)

この三つの勢力に日本新党,社民党が連立し,ますます,ごった煮の度合いを高めている連立政権なのである.

こんな火種を持ちながら,実力者小沢幹事長が強権を持って,ごった煮の連立・党を束ねているのである.そして政権奪取後8カ月,参院選挙を前に,大きく支持率を落としている.その原因は枚挙にいとまはないが,おおよそ次の通りである.

①首相,幹事長の政治資金問題
②マニフェストの嘘が露呈(ほぼ選挙対策優先で裏づけなし)
③幹事長の強権と封印された党内論争
政権・党運営における意思決定の混乱
⑤首相の信頼失墜(政治資金・基地移設問題への言動)

こんな中で,5月30日,民主党政権が普天間基地の移転先を『最低でも県外』から『抑止力を考えれば辺野古』に翻意した事で,社民党が連立を離脱した.

民主党と社民党の連立は,参院の過半数確保の為であるが,根本は社会党・社民党出身の議員が多く在籍している民主党は社民党との選挙協力で社民党支持層の票を確保する狙いがあった.政治理念を封印し,打算で成り立っていた連立のもろさが現れたのである.

一方,火種を抱えたままの民主党も,この連立離脱劇と支持率低下で,参院選を目前に,首相,幹事長への批判が沸騰し,一気に内部抗争が勃発するのではないかと予感するのである.当ブログでも度々,民主党の危うさを指摘し,この政権の続投を批判してきたが,もう限界に来たと確信したからである.

実は,この記事を書き終わった直後に,突如,鳩山首相が辞意を表明した.こんなに早く予感通りになるとは思わなかったが,急遽,直感的に連想した事を追記する事にした.

まず首相の辞意表明だが,政権交代の志(自民党的政治の転換)が間違っていないと述べた後,政治と金の問題,普天間基地移設問題の責任を取って,幹事長ともども退陣する,との内容であった.根底にあるマニフェストの問題を上記二つの退陣理由で覆い隠した感じがした.

又,米軍基地問題は自主自衛,憲法改正をしなければ根本的解決は出来ないと言った.辞任するとは言え,現職の民主党首相が日米安保を堅持する立場と矛盾した事を世界に発信した事になる.今さら何だ,と言いたくなった.どうやら頭の中が整理できていない首相であったと,自ら認めたようである.

まさに,民主党目玉政策は財源がなければ何も出来ないと開き直る姿勢と同じ発想である.これも又,'今さら何だ’になる.

退陣の理由に事欠かない首相,幹事長だけに,ダブル退陣は当然の決断だと思う.そのいきさつは不明だが,党内から批判の多い実力幹事長を道ずれに辞任し,民主党らしさへの回帰を切望して,ダブル辞任を決断したようである.

今回の退陣劇は自民党の自滅で政権を奪取したとは言え,明らかに,実力者小沢主道の選挙用の目玉政策,総選挙対策,政権運営,が間違っていた事を認めた事に等しいと思う.従って,昨年の総選挙のやり直しに値する辞任宣言であったと思う.

一方,辞任表明が今日になったのは自民党からの不信任案が出て,これを否決すれば,辞任出来なくなる事から,その前に辞任を表明する必要があったのだと思う.首相としては最初で最後のリーダーシップを発揮した感じである.

この突然の退陣声明の直後ではあるが,今後の事で連想した事を述べたい.

①退陣劇の説明責任問題

退陣表明は民主党員への表明である.総理として国民に同じ説明をするのだろうか.だとしたら,政治と金の問題を否定してきた事が何だったのか,基地問題も今までの説明が何だったのか,選挙公約は何だったのか,を説明する義務がある.

もし,国民への説明がないままに,新政権に移れば,民主党としての説明が求められる.当然,民主党の責任が追及される.総辞職するのだから,責任ある政権与党として,国民に対し,謝罪,反省を踏まえた説明責任がある.

②政策や政権運営の見直し問題

退陣の根底に選挙対策優先で,裏付けの乏しい民主党政策の行き詰まりがあったと思う.その事は民主党内部でも認識しているはずである.又,政府と党の政権運営の混乱も原因だと思う.

その意味で,単に表紙の掛けけ替えではなく,政策や政権運営を変えなければ何も解決しない事になる.はたして,最高権力者の幹事長主導で作られた選挙優先の目玉政策,政権運営を,どのように変えるのか民主党が問われる事になる.

民主党は①の退陣劇と同様に,政策の見直し,変更を行うのであれば,再開国会で説明する責任がある.参院選での判断材料になるだけに,うやむやに出来ない.

③通常国会の会期問題

通常国会の会期末(6月16日)が近づいているが,延長するのか,しないのか,も重要な判断となる.明らかに郵政見直し法案など問題の多い重要法案は,たとえ会期を延長しても,強行採決すれば別だが,常識的には通過は不可能だと思う.その上で,会期問題を考えると,

・延長しない(与党)・・・・・新政権のボロが出ない内に参院選に突入したい
・延長したい(日本新党)・強行採決をしても郵政法案を通したい(連立の条件)
・延長したい(野党)・・・・・新政権に上記①②や所信表明の問題を追及したい
・延長すべきだ(国民)・・・新政権の中身を知って,参院選の判断材料にしたい

となると思う.新政権の初仕事として,激しい攻防に直面すると思う.しかし,常識的には国民の視点で言えば,延長すべきだと思う.延長回避は与党の逃げと取られる.

民主党内部抗争の勃発と政界への影響

露骨に手のひらを返したような党員の首相,幹事長への批判,首相の辞任表明,首相の幹事長辞任要求と民主党の内部抗争が勃発したわけだが,これを序幕とすると,内部抗争の第一弾は,党代表の選出,新総理の誕生,政府・党の新布陣作りである.これで,内部抗争の一つの結果が出る事になる.

新政権では,多分,鳩山首相の遺言を盾に,民主党原点への回帰,小沢路線からの脱却,を表明し,参院選に向けた支持率回復を図る事になると思う.

しかし,これは第一弾であって,具体的な政策見直し論議や参院戦の結果で,9月の民主党党首選挙が大きな山場(第二弾)になると思う.脱小沢の機運と言っても,最大勢力の小沢グ゙ループを抱えたままだからである.

一寸先は闇の政界だけに,民主党小沢グループの民主党離脱と新たな連立政権の誕生や党派を超えた新保守勢力と保守勢力の統廃合など,大きな変化があるかもしれないのである.

直感的に連想した事は以上である.今週,総裁,閣僚人事,民主党人事が決まると思う.どんな布陣になるのか,政策がどう変わるのか,野党の新政権への攻勢をどうするのか,まず参院選までの動きを注目して行きたい.

ところで,日本の政治が不安定になるのは,憲法問題,安全保障問題,社会保障問題,財政問題など,難問に手がつけられず,いつも先送りし,政治の歴史的負の遺産を拡大して来たからだと思う.

難題や危機を前にすると人事が頻繁に変わる事は歴史が証明している.だとすると,問題の深刻さが増幅し続ければ,解決の選択肢がどんどん減って行き,ますます難題や危機が大きくなり,政情不安も大きくなる.歴史の証明に従えば,今後も短命政権が出没しても不思議ではない事になる.

時々,テレビで政治家の主張を聴いていると,そんな認識,主張では,日本が正念場,土壇場,修羅場,墓場と凋落のシナリオを歩む事を止められないどころか,加速してしまうのではないかと,感じる時ある.

組合闘争の様な生活第一とバラマキをする思考レベルではなく,国力の衰退をどう止めるか,グローバル社会にどう対峙していくか,その為の施策をどうするか,と生きるか死ぬかの逼迫感があるからである.

その意味で,今回の民主党の自作自演劇や参院選挙,その後の政局,が我が国の深刻な問題の解決の為であって欲しいと思う.党利党略,保身,選挙対策ではなく,日本の危機に真剣に取り組む政治家,政策の出現を切望したい.

特に,3年後の総選挙には,年齢的に,現在の政党幹部は確実にいなくなる.現在40代,50代の政治家が今から準備しなければならない.全政党にその準備ができているのだろうか.民間人の若手論客の政治参加も期待したい.

国民は,未熟なメニュー(立候補者,政策)であっても,その中から選ばなくてはならない.メニューのレベルを上げなければ,政治の未熟さ,国の凋落は解消されないのである.政治家にその自覚があるのだろうか.それとも,当選するなら何でもあり,に走るのだろうか.

今年の夏も,昨年の真夏の総選挙に引き続き,暑い夏になりそうである.

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