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2010.07.12

218 参院選後の政権・政局

7月11日の参院選の結果,民主党の大敗,自民党が改選第一党に躍進,みんなの党の大躍進,連立与党の過半数割れ,ねじれ国会,云々の活字が12日の新聞を飾った.

しかし,マスコミが言う程,大きな変化があったわけではない.3年前に当選した非改選議員(121人)が存在しているからである.元来,参院の制度は3年前の当選者が後3年議席を占め,急激な勢力の変化を抑制している制度なのである.

現に,単独過半数政党が出たわけでもなく,依然として連立を組まないと過半数を確保できない状況も同じである.ただ今回の選挙の結果,連立与党の議席減によって,過半数割れが起こり,新たな連立の枠組みが必要になっただけである.これとて,もともと無理な連立をしており,連立組み替え問題は選挙前と変っていないのである.

そこで,参院の政党別議席数の変化(カッコ内は非改選議員数)を見ながら,政権,政局がどうなるか考えてみた.

参院議席数242(過半数121)ただし議長・欠員数は総議席数減

民主党 1
16から106(62) 自民党 71から84(33) 公明党 21から19(10)
みんなの党 1から11(1)  共産
党 7から6(3)      社民党 5から4(2)
たちあがれ 3から3(2)    新党改革 6から2(1)   国民新党 6から3(3)
他 5から4(4)       

衆院議席数480(再議決可能議席320)ただし議長・欠員数は総議席減

民主党 306 自民党 116 公明党 21 みんなの党 5 共産党 9 社民党 7
たちあがれ 3 新党改革 0 国民新党 3 他 2 

上記の通り,民主党は参院の数あわせだけで言えば,公明党との連立で過半数を確保できる.一方,自民,公明,以外の党との連立は複数の会派が必要になり政策的に実現は難しい.

そんなわけで,公明党の出方が注目される所だが,各党とも次の総選挙が早まる可能性がある事,多くの難問に対する政策も政策課題の優先順位も多様な考え方がある事,打倒民主の立ち位置の方が戦いやすい事,等から連立に組みしないと思う.むしろ民主党を揺さぶりながら,是々非々の対応に回るのではないかと思う.

一方,自民党としては早期に総選挙に持ち込みたい為,野党連合を組んで,出来る事なら参院の過半数を取り,完全にねじれ状態にしたいところである.その為には,公明党,みんなの党,たちあがれ,新党改革,との野合が必要になる.ただし,過半数確保には数票の攻防が成非の別れ道になる.民主党からの引き抜きも必要になるくらい過半数確保は自民党にとって高いハードルなのである.

ただし3年後の参院選まで待てば,間違いなく民主党は議席がさらに落ち,ハードルは低くなる.なぜなら今回非改選の議員(3年前大勝した議員)が62人もいるからである.大幅に落とす事はあっても,これ以上増やす事は至難の業だからである.

逆に自民は33人であり,大幅に増やす可能性がある.今の政治体制のままで考えれば,衆院も含めて,3年後が一つの政局の山になるはずであり,各党はこれに照準を当てていると思う.

以上のことから,国会は,各委員長人事の戦いに始まって,多くの法案の激しい攻防,調整が始まる事になる.又,証人喚問や参考人招致,あるいは内閣不信任も参院で行われる可能性もある.

いづれにせよ,参院が政策論争の主戦場になる事は間違いない.それを見越した政策がどう調整されるのか大いに注目される.菅政権はいきなり難しい舵取りに見舞われるのである.

この戦場の中で,参院で僅差で否決されても衆院で再議決されるケースも出てくると思う.例えば国民新党や民社党が郵政法案や派遣法案を衆院の再議決で賛成すれば議長と欠員2があり,3分の2に達する可能性があるからである.

以上,民主党の政権運営方法をまとめると次の4つになる.

①参院の過半数確保の為に連立を組む
②連立を組まず法案毎に他党との協議を覚悟する(元来の二院制の姿)
③参院否決時,法案毎に衆院の3分の2を確保し,再議決に持ち込む
④衆院再議決を可能とする連立を組む

こう見ると,①は公明党次第,②は自民が反対のとき公明党次第,③は衆院の少数政党次第,④も衆院の少数政党次第,となる.現実的には②③になると思う.

そんなわけで,国会は政策バーター,根回し,法案修正,等が飛び交い,各議員は法案に対し,わけがわからなくなり,党の拘束に従って,ただロボットのように投票するだけになるかも知れない.(今までと同じかも知れないが)

もう一つの変化はみんなの党の動きである.みんなの党は今回初めて法案提出の権利を得る.新保守的改革派として独自法案を国会に提出し,民主党,自民党を揺さぶる事は当然想像される.出来るならば,次の総選挙,3年後の参院選を視野に,民主,自民を巻き込んだ第三極の勢力を拡大したい所である.その先に政界再編を目指すと思う.

このように魑魅魍魎の国会になると思うが,政界再編に発展する芽もある.任期の上では衆参とも3年後に大きな山が来ると思うが,その前に,参院がネックになって国会が機能不全(デッドロック)になれば,3年後を待てずに,参院の勢力図を変えるしか策がなくなるからである.

例えば民主党が旧民主党と旧自由党に分離,自民党も保守と新保守に分離,形としてはリベラルの民主党,自由党と保守が合体した保守党,改革を軸にした新保守党に政界全体が収束される,まさに真理は3つに集約される,との私の持論にも重なるが,3大政党の体制が出来上がる.

この3つの政党が中大選挙区制度によって,政権を担当するのも良いのではないかと思う.(当ブログで度々発信している持論であるが)

そんなわけで,ここ数年,難問を前に政界は不安定になり,一寸先は闇の時代が続きそうである.願わくば,難問解決,安定的な政治体制に向かった葛藤であって欲しいと思う.後戻りは難問が待ってくれないからである.

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