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2010.11.07

229 世界の潮流(自由貿易圏・集団安全保障)と日本

東西冷戦時代,思想対立時代の終焉から20年,相次ぐアメリカの金融破綻をきっかけに,世界的な経済不況が続き,今や,躍進中のBRICSに世界経済が頼っている状態になった.

同時に,天然資源,地球温暖化,自由貿易協定,通貨安値競争,領土・領海,安全保障,等で国益をき出しにした駆け引きが顕在化して来た.特に経済の勢いと共に,中国・ロシアの野望が目立ち始めた.

この多極化,複雑化した世界情勢の中で,日本は,内向きな政局を繰り返し,円高・デフレ・失業・株安・不景気・社会保障不安,等に,打開策が見えないまま,閉塞感だけが蔓延しているのである.

合成の誤謬政党の民主党政権は,当初の懸念通り,打開どころか,海底から持ち上がる大きなうねりに激しく揺さぶられ,自らの軽さも加わって,難破船状態に陥っている感じである.

そんな中で,世界の動きと日本の方向について,いくつか考えを巡らせてみた.

1..アジアの集団安全保障体制の形成と日本

アジア地区の巨大な経済市場・埋蔵資源・食料資源が世界の注目を集めているが,このアジアでの覇権に中国,ロシアの動きが活発である.米・ソの対立であったヨーロッパの東西冷戦構造が,今度は,このアジアの地で展開され,NATOのような東南アジアの集団安全保障体制が出現するかもしれないのである.

残念ながら,現行憲法ではこの問題を主体的に論ずる事は出来ない.せいぜい,後方支援と金で勘弁してもらうしかない事になる.しかし,確実に,アジア地区での集団安全保障に関してはジャパンパッシングになる.果たして,このままで日本は,世界の枠組み(集団安全保障体制)の中で生きていけるのだろうか,大きな課題に直面しているのである.

それとも,アジアにおける集団安全保障体制に反対する事になるのだろうか.この問題を政治家,有識者はどう考えているのだろうか.日米安全保障条約では解決できない,日本自身の問題なのである.

.アジア・太平洋自由貿易圏の形成と日本

従来,自由貿易協定は2国間で行われてきたが,EUの様に,アジア,太平洋沿岸諸国間で,自由貿易圏の形成をめざす動きが急速に高まっている.

この構想(TPP)では加盟国同志で品目制限も関税も,非関税障壁も取り払い,ドメステックな企業も国際市場にさらされることになる.さらに,貿易手続も統一されたり,労働者の移動も自由にすると言う.又,これによって起こる,貿易不均衡や経済発展の格差も調整を行うと言う.各国にとって,かなりハードルの高い構想である.

しかし,国際的な経済競争時代からすれば,この自由貿易協定に加盟しない事は,不利な競争を強いられ,孤立する事になる.こうなると,国内問題があっても,雪崩を打つように自由貿易圏への加盟が広がる可能性がある.

只,自由貿易圏の国々が,集団安全保障体制も,政治理念も,知的財産権なども,同じ価値観でなければ,とても,自由貿易圏は形成できない.例えば,武力転用可能な物資の自由貿易は不用意に出来ないからである.中国と同じ自由貿易圏に入りながら,集団安全保障では中国と対峙する体制をとる,わけにはいかないからである.

そんなわけで,この自由貿易圏の形成は経済問題のように思われるが,実は,価値観,政治体制,集団安全保障体制と表裏一体の問題なのである.その意味で自由貿易圏作りは『新たな世界の勢力圏』作りであると同時に,激しい経済戦争への幕開きなのである.

一方,この自由貿易圏構想に留意すべき事がある.貿易の偏りを自動調整する形で為替レートが働くかと言う問題である.通貨安を人為的に操作できれば,経済の自由化は政治でゆがめられる事になる.円高ドル安でTPPに参加すれば,輸出で,相手の関税障壁はなくなるが円高障壁は残る.逆に輸入は関税なしに加えて円高で更に安く物が入る.結果,TPP参加はデフレ経済を進める事になる.

こう考えると,TPP推進はドル安の米国の輸出振興による景気回復,失業率対策になるが,日本にとっては円高のままでは輸出の障壁は残り,輸入の障壁だけが無くなる事になる.だとすると,各国は日本の参加を強く望むはずである.ちなみに,韓国は各国と関税撤廃で成果を上げているのではなく,ウオンが安い事が大きいのである.

いづれにせよ,今の国際情勢からすれば,このアジアの自由貿易圏は中国・ロシアと対峙する国々で形成されるはずである.その意味で,現在の政経分離で中国との関係を保つ事は,限界を迎える事になる.

ところで,日本が自由貿易圏に参加を表明したとしても,集団的安全保障に,ただ乗りだと言われ,拒否される事は無いのだろうか.TPPの用に,アメリカが加盟する自由貿易圏であれば問題はないのだろうか.

以上のように,自由貿易圏に入れるとしても,

円高の問題,集団的安全保障の問題,島国気質などの問題,等が立ちはだかり,単に農業問題だけではないのである.日本が世界の潮流に乗る事は簡単ではないし,また
また歯切れの悪い日本の姿が浮き彫りになりそうである.

3.国際国家へのシフトと日本

どの振興国も英語も学問も生きて行く上で必須であり,海外で稼ぐ事も当たり前である.従って,語学も勉強も生きる手段であり,それを身につける事は死活問題なのである.

1997年金融危機に陥って韓国は『通商国家(貿易立国,GDPの40%))』になる事を宣言し,国を上げてこれに取り組んできた.その為に,特化産業の振興,農業改革,エリート教育,海外留学,海外進出,自由貿易協定の促進,等を積極的に実施し,現在,目を見張る成果を上げている.

一方、日本は第5期グローバル時代(当ブログNO220)入っているにもかかわらず,いつも,発想が内向きである.日本は,未来に向けて鎖国の選択肢はないとすれば,日本の風土・文化・制度をブレークスルーして行く必要がある.,遅まきながらでも,国際国家に向けた改革を進めなければ,ガラバゴス国家になってしまうのである.ガラバゴス化も生き道だとの考え方もあるが,ここは100年の計の決断が必要だと思う.

4.日本の借金残高1000兆円問題

自由貿易や集団安全保障を支える力は国の財政力である.果たして1000兆にならんとする借金や社会保障費の拡大にあえぐ我が国に,その力が残っているのだろうか.パイの拡大が出来たとしても,これに消えてしまうのではないか.だとしたら,世界の潮流の中で,経済も安全保障も疲弊して行く可能性がある.

以上,集団安全保障問題,自由貿易問題,財政問題,国際国家問題,に対し,.行くも地獄,行かぬも地獄かもしれない.残念ながら,日本の政治が必死の覚悟で,この事を考えている様子が伺えない.

ところで,当ブログで,『NO152日本の3大閉塞感』(憲法問題,借金残高問題,日本文化)を発信したが.世界の潮流にも,しっかり,これが立ちふさがっているのである.悩みは深い.色々思いを巡らしてみたが,閉塞感が増すばかりである.

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