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2011.04.14

239 欠落している有事の備えと有事の政権担当能力

欠落している『有事の備え』と今後の対応(4月10日日曜日)

有事とは,なにも軍事衝突だけを言うわけではない.今回の地震・津波・原発事故はまさに有事である.勿論,テロや化学兵器の使用も有事である.つくづく日本は『有事の備えが出来ていない』と思うのである.

備えとは想定される問題に,あらかじめ対策を用意する事である.しかし,現政権を見ていると,被難所生活に始まって,色々な問題が次々に起こる事に対し,先手先手で対策が打たれているように見えない.予想できる問題にも,ゼロベースで走り回っている感じである.まさに『有事の備え』が出来ていない,無防備国家,泥縄国家の様相を呈しているのである.

そもそも日本は大地震でも新幹線事故を起こさない技術やレスキュー隊や自衛隊の救難能力が高い反面,災害対策の全体の仕組みやマネージメントが弱いと言う側面がある.

テクノロジーはあっても,アーキテクチャーに弱いと言う日本の欠点が有事にも表れていると思う.まさに『有事の備え』とは,このアーキテクチャー(処理方式)であって,コンピューターで言えば,OS(オペレーテングシステム)に当たる.これなくして有事対応全体が動かないのである.

不幸な事に,これに輪をかけて民主党政権の問題がある.『政治主導』『国家戦略室の設置』『コンクリートから人へ』『事業仕訳』『第3の道』『控除から給付へ』『子供手当て』『農家の所得補償』『高速道路無償化』『高校無償化』等を言う民主党現政権の思考に,国防とか有事対応の思考はない.火事場を仕切るようなタイプもいない.まさにフォークを合唱して酔いしれるタイプばかりである.その上に,国家の運営や政権与党として未熟である.こんな政治のリスクを回避するためにも『有事の備え』を早急に作る必要がある.

一方,日本にはこの『有事の備え』に根本的な問題がある.憲法に有事の対応が規定されていない為,有事に憲法が足かせになる事が多く発生するのである.個々の法律も,同じ問題を抱えている.この事が『有事の備え』に思考停止させられているのである.

この根本的問題はあるが,思考停止する事なく,『有事の備え』について総点検し,憲法と整合する形で徹底的に制度化すべきだと思う.特に,今回の地震,津波,原発事故は多くの問題を網羅していると思う.全て『有事の備え』に反映すべきである.過去の経験談をその都度持ち出すような口頭文化は卒業すべきである.

韓国では有事の時,高速道路は飛行機の発着場になると言う,幹線道路や橋は戦車が通れる仕様だと言う.わが国では道路も道路交通法も重量制限も有事の事など考えられていないのである.

米国では大災害対応や原子力事故対応は国防の一貫として,軍のオペレーションになっているようである.体制も装備も手順も訓練も事前に出来ている感じである.日本とは大違いである.

例えば,ロジステックの確保は軍事行動の基本であるが,災害時のロジステックの確保にもそれが適用される.被災地の道路,港,飛行場の修復の為にヘリコプター部隊が人と重機を運び゙ルートの確保を行う.同時に大量の物資を積んだトラック,輸送船,輸送機が被災地に出発する.ルートの確保と同時に,大量の物資が運び込まれる.かくしてロジステックが素早く実現するのである.

津波に飲み込まれた仙台空港は米軍のこのロジステック作戦で短時間で復旧し,被災地の輸送基地になったと言う.何と言っても,発着用の滑走路を作っている最中に,既にアラスカから物資満載の大型輸送機が仙台に向けて飛び立っていたと言う.大した機動力である.

日本では多分,こんな事をやれとは誰も発想しないし,関連する部署が多すぎたり,法律や制度が引っかかって,やる気が出る前にギブアップしそうである.

『激甚災害対応マニュアル』の策定(有事の備え)(4月4日月曜日)

前項で『有事の備え』の欠落と,今後の必要性について述べたが,その具体的備えの一つとして,激甚災害対応マニュアル(仮称)の作成を提案したい.自然災害が多い我が国であればこそ,このマニュアルに災害対応のすべてを蓄積すべきである.

激甚災害対応マニュアルは災害の激甚指定によって行われる政府,自治体の行動マニュアルである.このマニュアルには,対応組織体制,役割,各フェーズ毎で発生する問題とやるべき事,手順,担当する部門,適用する有事の法制度,予算措置などが,記載され,災害発生と同時に行動出来るようにしたものである.

フェーズの設定は次の通りであるが,言葉の統一,実行内容の共有化,対応漏れの防止,等も,これで図れると思う.

①救難フェーズ・・・不明者捜索,避難(1次,2次),生活・介護・医療支援,等
②救済フェーズ・・・仮設住宅,ガレキ撤去,ライフライン確保,生活・雇用・事業支援,等
③復旧フェーズ・・・復興計画策定,社会インフラ建設,住宅
建設,会社・工場建設,等
④復興フェーズ・・・産業振興,都市機能増強,等

現実には膨大な激甚災害マニュアルになると思うが,必要に応じて,メンテナンスされ,オーソライズされる.このマニュアルに従って,被災地の自治体では状況に応じて,災害発生後の救難,救済,復旧,復興のロードマップが作成される事になる.

例えば,こんなマニュアルが整備されていればと思うのである.

『避難生活支援マニュアル』『仮設住宅提供マニュアル』『陸・海のガレキ撤去マニュアル』『一次生活支援マニュアル』『仕事・再操業支援マニュアル』『復興計画策定マニュアル』,等

これらによって,中央官庁,県,市町村,がいっせいに動けるのである.現政権のような,対策本部が乱立して機動力の足を引っ張たり,責任者不在になったり,泥縄の検討が無くなる.

救済や復興には難問が多く含まれるだけに,あらかじめ,いくつかの方法や法律を決めておく必要がある.マニアル化はそれを促すのである.災害が起こってから泥縄で議論する事は極力避けなければならないのである.いくつかの難問を挙げておきたい.

①②の救難,救済フェーズにおいては,災害の大きさによって長期間になる事が想定され,住む場所の確保と仕事の問題など極めて難しい問題が発生する.勿論,長期間,体育館で過ごす事など避けなければならない.仮生活の介護,医療の問題もある.それだけに,いろいろなケースについて,法制度も含めて,あらかじめ考えておく必要がある.

次に,③④の復旧・復興フェーズであるが,その下敷きになるのが復興計画である.学校,病院,介護,公共施設,或いは港,道路,などの社会資本の復旧,住宅,事業,農地などの復旧,が策定される事になる.

この中で大議論になるのが『従来の土地の扱い』である.そこには次の難問が立ちはだかる.

・安全策を講じて従来の土地に原状回復をする(原状回復型)
・安全な代替地に移動し,従来の土地は別の利用をする(新転地開発型)


今回,被災地が広域な為,また,地盤沈下もあり,現実には,両方あると思うが,この問題は土地の所有権,ローン残高,資産価値,土地への愛着,仕事,事業,などが絡まって,調整は極めて難しく,時間も掛かると思われる.
しかし,生活や仕事,事業が切迫しているだけに計画づくりに余り時間はかけられないのである.

学者や評論家が言う構想は被災地から見ると『更地で物を考えている』,『構想実現までの生活を無視している』,『金の裏付けがない』 と見えるはずである.被災地に千載一隅の理想やそもそもの日本の問題を持ち込むべきではないと思う.

これらの問題は,住民分裂を招いたり,被災者に過酷な判断を迫る事になる.復興計画では,このコンセンサスつくりが最も大きなテーマになる.被災地の組長は大変な立場に立たされる事になる.

この復興計画の策定は主体は地方自治体,各省庁はそれへの支援と国家事業の計画立案となる.又,国会は計画のチェックと予算化,法令の整備を行う事となる.大事な事は,このような復興計画策定の役割・手順をハッキリさせる事である.

れによって復興計画の策定と執行を早くする必要がある.又,復旧は間違いなく日本を戦後復興のような土建国家に舞い戻らせる.政治家の魑魅魍魎や無用の箱物が出来ないよう国民は監視する必要がある.

さて,今回,復興計画でもう一つ重大なテーマがある.放射能被災地の問題である.福島原発問題は,まだ①救難フェーズである.②の救済フェーズでは代替地に本格的に移住する話が出てきそうである.

放射能汚染による移転と言う問題は,災害による地域ごとの移転と同じ様に,仕事を捨てる話になったり,帰る当てのない話になりかねない問題である.難問だけに,方法論をいくつか議論しておく必要がある.

又政府や自治体としても何をもって移転すべしとするのか,何をもって復帰出来るとするのかも議論しておく必要がある.

以上激甚災害が発生した時の激甚災害対応マニュアルの策定を述べたが,既にあるのかもしれないが,今回の政府の動きを見ると,そんな下敷があるとは思えないのである.是非,今回の対応を含めて,いまからでもマニュアルを作るべきだと思う.

何をするのか復興構想会議4月15日金曜日)

政府は東日本大震災の被災地復興に向けた指針作りの為に,有識者,被災地県知事による復興構想会議を編成した.6月,この会議の答申を出して,政府の基本方針に反映すると言う.昨日初会合があったとの事だが,次の方針で答申をまとめると言う.

①超党派の国と国民の為の復興会議とする
②被災地主体の復興を基本としつつ,国としての全体計画をつくる
③単なる復興ではなく創造的復興を期す
④国民的な支援,負担(復興税等)が不可欠とする
⑤クリーンエネルギー社会など明日の日本への希望となる青写真を描く

現実は未だ救難,救済フェーズで苦労しているわけだが,その対応と並行して,復興計画を検討しようと言う事か.

はっきり言って,中身が無いのに,又,会議かと,民主党政権独特の幼児性を感じる.まず必要な事は復興に向けて全体の手順を定める事である.それなくして,全体が同時並行に動かないのである.

例えて言えば,現地からすれば,港,漁港,道路,農地,牧畜,学校,病院,介護,宅地,等,の場所や予算を決め,早く着工する必要があるが,実は,それを決めるだけでも,大変である.調整も極めて難しいと思われる.従って,これらをどう進めるのか,早く,各省庁,自治体の手順を決める必要がある.この事と,復興構想会議がどういう関係になるかも極めて曖昧である.

問題意識の無いまま,この復興構想会議を続けると,何を議論するのか分からなくなると思う.会議や本部を乱立している事と同じ事になる.大問題は,この会議がある為に全体の組織が思考停止になり,復興計画作りが止まる事である.だから,全体の組織を動かす為に,進め方を先に決める必要がある.

これらの問題を防ぐため,復興に向けての全体の手順は次の様にすべきだと思う.はっきり言って復興構想会議は不要である.もし未来志向があるなら,それぞれの復興計画の中でアイデアを出せばよいと思うのである.

①復興計画は各自治体で住民とのコンセンサスを得て作る
②各省庁は自治体の計画づくりを支援する.必要な法制度も検討する
③放射能被災地は国,自治体,諸団体で検討機関を作り対応策を策定する
④政府は自治体が作る復興計画のチェック,調整,予算化,法制度化を行う
⑤国が行う事業は各省で策定する

実は行政内部では,進め方など決まっていて,復興構想会議などは,政治家のポーズ,パフォーマンス,あるいは,増税ムード作り,の為に作った会議なのだろうか.

国難への対応は現政権で本当に良いのか(4月15日金曜日)

『有事の備え』に弱点があるわが国ではあるが,これに輪をかけて民主党政権の問題が震災対応に影を落としている.日増しに現政権の続投でよいのか,懸念が深まる.

民主党は元来,『政治主導』『国家戦略室の設置』『コンクリートから人へ』『事業仕訳』『控除から給付へ』『子供手当て』『農家の所得補償』『高速道路無償化』『高校無償化』等の選挙公約に固執し,国防とか有事対応への思考がほとんど無い政党である.

はっきり言って,火事場を仕切るようなタイプもいなければ,防災服を着てもよそ行きの感じである.そんなリベラル政党の弱点をあざ笑うような今回の大震災である.

阪神淡路の時もそうだが,政権が弱い時に限って,大災害が起こる,と思わず感情的になってしまう.本当に世の中はままならないのである.

結果,不安から不信,さらには政権交代を望む人が増えていると思う.当ブログの中でも,次のような事を指摘をして来た.

想定出来る問題に手が打てているのか』,
『原発事故の対応組織を一本化すべきだ』,
『国難対策の第一歩はそれにふさわしい政権の樹立だ』,
『本部を乱立するような現政権で国難に対峙できるのか』,
『欠落している有事の備えと今後の対応』,
『今からでも,国,自治体の激甚災害対応マニュアルの策定を
』,
『復興計画の策定手順,役割分担
を明らかにせよ』.
『復興構想会議は何をするのか,もう一度吟味せよ』,

気づいた事を早め早めに発信して来たわけだが,心配した通りの事態に陥る事ばかりで,つくづく,政府の対応力の弱さを感じるのである.政府への信頼が落ちる事は国難対応の足を自ら引っ張っている事になる.

こう言う難局で求められる事は言うまでもなく 『リーダーシップとマネージメント』である.その為に『人心を得た政治家のリーダ-シップと行政組織力の発揮』が不可欠のはずである.その意味で現政権に限界を感じるのである.

民主党は自民党の自滅で政権を得た.その後の政権運営で国民の支持が最悪の状態になった.その矢先,巨大災害に遭遇し,引き続き国難を担当しているのである.

国民から見れば,支持していない政権が最も重要な国難を担当している事になる.本当にこれで良いのだろうか.又民主党政権自身も国難を担当する事の可否を国民に問うと言う民主主義の理念や謙虚さがないのだろうか.

元来,国難と言う事態が起これば,いかなる政権も,国民に信を問う必要がある.信を得た政権こそが,国難と対峙できるからである.任期は期間の上限を定めたものであって,任期いっぱい担当する事が民主主義ではない.重要な事について,国民に信を問う事は民主主義の根本的な理念である.この理念は国民に覚悟を求める意味でも大事なのである.

こんな時期に選挙や政権交代をしている場合ではない,政治家は一致団結して国難に当たるべきだ,ネジレ解消の連立政権を作るべきだ,と言う声をよく聞く.大間違いである.

これは,国の一大事に民主主義の理念を放棄せよと言っているような物である.これでは震災が政権選択の権利までも奪った事になる.又,総理の解散権を封印する事は国民と遊離した議院内閣制を認める事になる.そもそも議員内閣制は国民の意思が伝わりにくい制度であるが,それを補うのが,総理の解散権である.その解散権を封印したのでは,民主主義の理念が4年に一回しか働かなくなるのである.

繰り返すが,現政権はどうして国民に国難対策をやるに当たって信を問わないのだろうか.国民に了解を得ずに,国難対策をやる理由が分からない.任期があるから一大事に対応するのは政権の責任だと総理は言っているが,信を問う事より,任期が大事だとでも言うのだろうか.国民から見れば権力にしがみついているだけにしか見えないのである.

民主主義とは国民に責任を取らせる方法でもある.信を問わないと言う事は国難対策で国民に負担をかけないとでも言うのだろうか.是非国会で議論願いたいのである.

国難に匹敵する有事の発生は,公約や政策も,優先順位も,政治家の資質も,がらりと変わる.国民も有事の対応までも現政権に負託したつもりもない.さて,有事における民主主義のあり方について,マスコミや有識者はどのような所見を持っていのだろうか,是非聞いて見たい.

危機的状態になった時,民主主義などと言っている場合ではないとでも言うのだろうか.日頃,民主主義にうるさい御仁は,そんな事を言うとは思わないが.

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コメント

アルジェリア人質事件をみれば、政権交代しようと現政府に危機管理能力がないのは明らか。

投稿: 高橋 | 2013.01.22 14:42

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