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2011.05.26

244 『合成の誤謬政権』が『メルトダウン政権』に変質

政府は通常国会を延長しない意向の様である.表向き,復旧・復興計画が出来ていないから2次補正の議論は早すぎるとの事の様だが,このムリ筋の裏には,野党の追及や不信任案提出などの機会を奪い,政権の延命を図りたい,との狙いが透けて見える.

被災者の事や国家の事など眼中になく,ただ延命を図る姿勢は,もはや日本の舵を握る気迫も消え失せ,既に政権担当能力の限界を超えていると思うのである.

実は今国会の当初から会期延長はしない予定であった.つまり,予算だけ通して,マニフェストの見直し問題,財源赤字問題,社会保障と税の一体改革,民主党の内部抗争などを国会終了後に先送りしようとしたのである.これでは予算が通るはずもなく,当ブログでも,政権与党の体をなしていないと問題視していたのである.

そして内閣支持率が大きく凋落して行った中で,今回の大震災に遭遇したのである.ところが,この国難にもかかわらず,依然として,国会を早く閉会したいとする意向は,国民から見れば,震災前の『逃げ』どころか『ギブアップ』に見える.

総理は原発事故発生当初,東電に『逃げるな』と言ったようだが,逃げているのは総理ではないのか,国難に際し,逃げてはならないのは,政府なのである.

しかし,もはや政権担当能力の限界を超えている政府に対しては,政権の座から『早く逃げろ』と言った方が国の為になるのかもしれない.

又,国難に必要なのは政治家であって,弁護士ではないと,つくづく思う.弁護士はいるが政治家がいない現政権では,所詮,国難対策は無理だと実感する.

2ケ月間の地震・津波・原発事故への対応を見るに付け,『自己を弁護し,責任を回避する,弁護士独特の思考回路』が働くような政府は,もうたくさんである.

たとえて言えば,尖閣列島漁船衝突事件で『那覇地検が処分保留で釈放した』が有名な言動だが,今回の巨大災害にも,この思考回路は活発に働いた.

まず,今回の大災害に対し,対策本部をやたら乱立させ責任・指示系統を曖昧にした事,原発事故関連で言えば,食品の放射能汚染に対し,『直ちに害はない』『自粛をお願いする』,避難に対し『自主的避難,屋内退避,計画的避難』,原発事故収束について『東電にロードマップの作成を指示した』,全停電回避に対し『計画停電を許可した』『節電のお願いをした』,浜岡原発に対し『東海地震の可能性が高いから中止をお願いした』,賠償問題に対し『東電に無限責任がある』,金融機関に対し『金融機関が債権放棄をしなければ国民の理解を得られない』等々,全て弁護士独特の思考回路による言動そのものに見えるのである.

特に,政府は放射能被害を避ける為に,同心円で危険区域を決め,避難指示をする事が仕事だと思っている節がある.避難先を探したり,生活,仕事,家,畑,家畜などを失う事,汚染された土壌などを除染する事,帰る時期がいつになるのか,など想像していない感じがする.そのせいか避難する事への配慮や支援が欠落しているのである.これでは被災者の信頼を失うのは当然である.

その思考回路には,自分の立場があっても,窮地に立つ国民の立場がないのである.政治がない,リーダーシップが無いと言われる由縁である.

安全対策を優先して,放射能汚染の上限を低く設定し,避難地域を拡大するか,経済的にも,物理的にも,高い安全性は追求できず,ぎりぎり高い上限を設定して,避難地域に絞るか,極めて苦しい政治判断が伴う.だから,政治家と住民の信頼関係が絶対必要なのである.だから,自己保身,責任回避の思考回路は必要がないのである.

民主党政権誕生時から感じていた資質や政策の懸念が,次々と現実になってくると,もはやメルトダウンしたのは原発だけではなく,政権もだ,と思わざるを得ないのである.

政権発足当時,『合成の誤謬政権』(あれもこれも言い過ぎて何も出来なくなる政権)と揶揄したが,今や『メルトダウン政権』(軸が解けて,何がなんだか分からなくなった政権)になった感じである.

組織がメルトダウンして軸の無い状態になると,政権運営が可笑しいどころの話ではなくなる.威圧的な,あるいは,唐突な言動が出てくるものである.しかも,哲学や論理を超えた幼児性が表れてくる.これから,随所にメルトダウン症状が出そうである.

今や原子炉も政権もメルトダウン症状が併走している状態になった.循環冷却状態に持ち込む為には両方とも,体制刷新が必要だと思うのだが.

そんな現政権が国会から逃げて,会期延長しないなら,通常国会終了で,解散・,総選挙を行うべきである.総理が'衆議院を解散する'と宣言すれば,憲政の歴史に残る偉大な総理になれる.国民は一気に明るくなる.

国民の信を得て国難に対峙する政権を作る事が民主主義の基本であり,難問を解決する最大の方法だと思うのである.政権のメルトダウンには,これが最も確実な対処法なのである.その意味で総理の決断は大いなる意味があると思うのである.

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