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2011.12.16

266 漂流から苦境に陥った日本の2011年

2011年が終わろうとしているが,今年はとんでもない年になった.500キロに渡る東日本沿岸部に,巨大な地震,津波,放射能汚染,が発生したのである.ほとんどの平野が沿岸部にある日本の地形ならではの大惨事が起こったのである.

『ここまでやるのか』と容赦の無い『自然の猛威』に,思わず『人間の都合も考えろ』と叫んだものの,東日本の沿岸部を襲ったM9の巨大地震と,町を飲み込む大津波の映像に,ただただ絶句し,唖然とするしかなかったのである.

ところで,『津波』という言葉から緊迫感が伝わってこない.『津波警報』が出ても,ほとんどが普段と変わりのない程度で終わっているからである.昔の大津波の話しも,山のようにせり上がった海面を連想しても,大濁流となって町を破壊し,人やガレキを海に引きずり込む事までは想像しない.

今回の大災害は多くの映像を後世に残した.白い波頭がひたひたと海岸に迫ってくる.陸地に押し上げられた海水は真っ黒な汚泥水となって町を駆け上がって来る.逃げ場のなくなった濁流は激流となって深さ増しながら,破壊力をむき出しに,町を破壊して行く.

この町を飲み込む濁流の映像を初めて見て,津波のイメージが一変した.津波とは大波の事ではなく,大海に押し上げられた濁流が大洪水となって町を破壊す事である.その逆流する様は,まるで,森林をなぎ倒して進む『アマゾンのポロロッカ』そのものである.

町中に反乱した船,車,建物,そして多くの人々が今度は引潮によって,海に引きずり込まれ,太平洋を漂流する事になる.

さて,引潮が去った後の町には,建物の残骸,ガレキ,船,車,が散乱し,一瞬にして荒廃したの町になった.ビルは鉄骨だけになり,住宅は土台しか残っていない凄まじさである.のどかな田園地帯も,並木はなぎ倒され,田畑は海水や汚泥水をかぶり,ガレキが散乱した荒地になった.

多くの被災者は,かけがえのない家族を,生活の記録を,家を,財産を,あらゆるものを失ったのである

つくづく思う事は,海岸の海面の高さを予報する『津波予報』ではなく,各地域の地形に応じた『津波洪水予報』を出し,それにもとづいて,避難行動をとるべきであったと思う.避難する時間が十分あるだけに,極めて残念であった.

今後,防災設備も必要だが,これには限界がある.先ず,この避難の仕組みを徹底する事を最優先に取り組むべきだと思うのである.

又,各地域毎に,今回の貴重な映像を出来るだけ多く収集・整理し,今後の地震,津波への教育や災害対策に活用すべきである.数百年後の人達にも残す覚悟で,このアーカイブ映像を整備すべきだと思った..

さらに,福島第一原発も破壊された.三回の水素爆発で,高濃度の放射能が風に乗って広域に飛散した.日本中が,世界中が,凍りついた.誰しもがチェルノブイリを連想した.日本脱出の噂が外国人に蔓延した.

風向きによる放射能汚染予報システムを使う事もなく,単に原発からの距離で避難指示をした為に,遠方の放射能高濃度地域へ避難してしまった住民も発生したのである.

放射能に汚染された地域の,町や村はゴーストタウンになった.家畜は餓死し,ペットは放浪した.大切な農地は何十年先もダメになった.街並みも,山林も,田畑も,植物も,動物も,近海の魚場も,『不気味な静けさ』に覆われたのである.

何とか,命拾いをした多くの被災者は,朝,目がさめると,『いつもの朝』だと思うのだと言う.『いつもの家族』がいると思うそうである.それほど災害が信じられないのである.現実には,悲惨な光景が目の前に横たわり,昨日までの『いつもの朝』はもう来ないのだが,現実を受け入れられず,ただ呆然とするのだと言う.

なんと悲惨で不憫な事だろうか,胸が痛む.そんな気持ちで,もどかしさ,いらだち,対応の問題,対策提案,等を当ブログで発信して来た.少しでも,役に立ちたい気持ちでいっぱいであった.

被災者,被災地域は,これからどうやって,時間との闘いの中で,生活や,家や,仕事や,町や,産業を,医療・介護を復旧・復興していくのだろうか.現実の問題は生易しい話ではないと,想像するのである.

9ヶ月がたった今,被災地域の町や村は復旧の槌音がしているのだろうか.被災者の不安は少しでも軽くなっているのだろうか.

まだまだ,ガレキ処理,街づくり計画,放射能除染,などの難問や,仮設生活や今後の不安の問題に,光は見えていない,と言うのが実態ではないかと思う.

危機に直面しても,秩序を守る日本人が世界的に評価されているが,日本人の真価は復興にある.戦後の復興がフロックでなかった事を示したいものである.

そこで,来年は『辰』『龍』『竜』の年である.これにあやかって,少しでも,『折り合いが付いて』,『先が見える年』になれば,と祈念するのである.

そんなわけで,今年は,政治,経済,財政の『人間のなせる国難』に加えて,地震,津波,と言う『自然がなせる国難』,原発破壊による原発廃炉対策,放射能汚染対策,次世代エネルギー対策,等の『原子力のなせる国難』を抱え込む事になったのである.

どの国難も『天罰』がくだった,『バチ』があたった,『反省』を促している,『教訓』を示唆している,と言う人もいるが,余りにも,被害も問題も大きすぎて.軽々に,こんな風に,言えないのである.

こんな事態に,残念ながら解決の兆しが,ほとんどなかった今年であるが,年末と言う事で,今年の政治を振り返っておきたい.

2009年8月に誕生した民主党政権では根拠の薄いマニフェストや政権運営の未熟さが露呈し,加えて,鳩山総理は相続税問題,普天間基地移設問題で,早くも失脚した.小沢幹事長も政治資金問題で退任に追いやられ,一年もしないうちに,2010年6月,脱鳩山,脱小沢の菅政権が誕生した.

ところが,菅政権でも,民主の内部抗争,マニフェスト問題,財政問題,政権運営,など悪戦苦闘が続き,2010年7月の参院戦で大敗.国会は再びネジレ状態に陥った.菅政権の支持率は大きく落ち込み,政権は危険水域に至ったのである.

そんな状態で2011年を迎えたが,悪い事は重なるもので,3月11日,M9の巨大地震,巨大津波洪水が東日本を襲い,東電福島第一原発も破壊された.

岩手,宮城,福島,茨城,千葉の沿岸地域の住宅,農地,漁港,インフラ,などが壊滅し,死者・行方不明者2万人,避難者40万人,建物消失35万戸,加えて,福島原発の数十キロ圏の放射能汚染,と,未曽有の大惨事が起ったのである.

この事態に,危険水域にあった菅政権は延命した.しかし,有事の備えの弱さ,未熟な経験,震災対応の遅さ,民主党内部からの不信任事件もあって,政権は限界を迎えた.そして,9月,早くも,3人目の野田内閣が復旧・復興を最大のテーマとして誕生したのである

しかし,依然,経験も見識もない寄せ集め内閣の弱点をさらし続ける事になる.なんとか,復旧復興関連予算を成立させたが,今度は,TPP問題,増税問題を政治課題に上げ,又,民主党内の対立を呼ぶ事になったのである.

民主党政権になって2年半,鳩山,菅,野田,各政権は未熟さの上に,マニフェストの問題,民主党内部対立の問題を繰り返えし,率直に反省も,お詫びも,責任も取らない,男らしくないリベラル集団の特徴をさらし続けているのである.

その間に,日本は,デフレ・円高・不景気・失業の経済問題,グローバル化対応問題,逼迫した財政問題,社会保障財源問題,東日本復興問題,原発・放射能問題,増税問題,安全保障問題,行政改革問題,等,重い課題の深刻さが,刻々と深まっているのである.

先行きの光が見えない中で,増税問題による与党分裂や早々の総選挙の声も聞こえ始めている.国民に信を得た政権でなければ,とても,国の難題と対峙出来ない事を思えば,出来るだけ早く,新しい政治体制を作るべきだと思うのである.

『苦境におけるヒーロー待望論』ではないが,来年は,一日でも早く『日本の難題に取り組める政治体制の確立』を期待したいものである.

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