« 267 今も続く白州次郎の『プリンシプルのない日本』 | トップページ | 269 どこに『社会保障・税一体改革』があるのか »

2012.01.14

268 『やらせ,さくら』の『ステルスマーケテング』を考える

景気低迷や競争激化で,モラルは勿論,法的にも問題がありそうな宣伝が氾濫していると感じる.宣伝には,元来,宣伝の明示と,その表現の仕方にモラルや規制があるのだが多くの宣伝は野放し状態であるばかりでなく,少しずつきわどい方向に変化しているとさえ思うのである.

特に,最近,小さな字で,個人の感想とか,PR記事だ,と断りを入れて,『個人の感想』,『消費者の声』,『人気ランキング』,『ドラマや座談会』,あるいは『有名人の健康の秘話』などで,商品の宣伝をしている事が多い.中には,内容も危ういものもある.これは,今話題の客観性を装った『ステルスマーケテング』に限りなく近い宣伝手法である.

又,口コミやブログで感想を言ったり,テレビのキャスターが番組に中で,商品をそれとなく紹介したり,テレビやラジオで,企業紹介,温泉・観光紹介,グルメ紹介,等もある.いづれも,宣伝料を貰って,宣伝目的の番組を作り,それを宣伝とは言わずに,あるいは,あくまでも個人の発言だとして,発信したり,放送していれば,完全に『ステルスマーケテング』である.

もっとひどいのは,ラジオのバライティ番組である.司会者が企業と一緒になって,商品の紹介をしたり,通販をするケースである.あたかも,テレビショッピングと同じである.それならそうと宣言すればよいのだが,情報,話題提供と同じ感覚で放送しているのである.

全く番組と宣伝の区別をする意識がないのである.販売・宣伝の為に,意図的にやっているなら『,ステルスマーケテング』といわれても,言い逃れ出来ないのである.白州次郎風に言えばプリンシプルがない,と言う事になる.

このステルスマーケテング(ステマ)とは,消費者に宣伝と気づかれないように,宣伝をする手法を言うのだが,宣伝内容を,客観的な意見のように装って,消費者や有識者に言わせるのである.

これは伝統的なヤラセやサクラと同じ手法であるが,露天商がやる程度の規模ではないところが大きく異なるのである.

米国ではヤラセやサクラの口コミや宣伝があまりに多いことから,このステルスマーケテングを防止する為に,『宣伝である事の明示』のみならず,『宣伝の依頼や報酬の有無』も明示する事になっていると言う.

テレビで『個人の感想』を宣伝で使う場合でも,個人のブログでレストランや商品の感想を言う場合でも,人気ランキングで人気をあおる場合でも,このルールが適用される.

依頼に応じて,ギャラを貰って,この明示をせずに感想を言えば,ステマとして罰せられる事になる.従って,日本のステマの宣伝が世界に流れると,国によっては,裁判沙汰になる可能性もある.

そこで,日本でも,この米国のルールが,いずれ,導入されると思うが,少なくても,宣伝業界は自主規制で,自浄作用を発揮すべきだと思う.同時に,大衆ネット時代を考えれば,宣伝に関する国民に対する啓発も必要になると思う.いづれにせよ,情報伝達の高速化・広域化,宣伝競争の激化が,モラルの低下に繋がるとしたら,消費者に被害が出ないように,マーケッターの信用が失墜しないように,信頼性のある宣伝が増えるように,今,宣伝を見直す必要があると思うのである.

さらに,ネットの自浄作用として,ステマが早く発見され,信用失墜のリスクが露呈しやすくなれば,もっと,リスクを冒すマーケッターは減少するはずである.このように,ネット上の大衆の目が抑止力として大事になる.ステマの口コミを広げるのも,ネットであるが,ステマを阻止するのも,ネットなのである.

この『ステルス』はステルス戦闘機がある様に,宣伝にかかわらず,情報社会の大きな脅威である.ネット社会,情報社会が,『透明性の高い社会』,『嘘が通用しない社会』に向かう為にも,このステルスを抑止しなければならないのである.その為に,規制,法律,制裁,も必要だが,何よりも,『良識ある大衆の目』が大事になるのである.

従って,『宣伝のモラル程度』も『情報社会の健全性の程度』も,『民主主義の程度』と同じように,『国民の意識レベル』をあらわす事になるのである.

つくづく思う事だが,情報システムに限らず,『文明の利器』は影の部分を必ず持っている.しかし,人間の役に立つ手段にして行く事は人間の責務である.決して姑息な手段や人間社会を混乱させる手段に使われてはならないのである.

言い換えると,文明の影を必要悪として,その存在を認めてしまったら,悪貨が良貨を駆逐する事になる.又,効用の大きさに目がくらみ,悪貨の駆逐を怠っていたら,これも悪化が良貨を駆逐することになるのである.IT,医療,原子力,など全てに言えるのである.

.

|

« 267 今も続く白州次郎の『プリンシプルのない日本』 | トップページ | 269 どこに『社会保障・税一体改革』があるのか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134518/53732806

この記事へのトラックバック一覧です: 268 『やらせ,さくら』の『ステルスマーケテング』を考える:

« 267 今も続く白州次郎の『プリンシプルのない日本』 | トップページ | 269 どこに『社会保障・税一体改革』があるのか »