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2012.01.20

269 どこに『社会保障・税一体改革』があるのか

今年の通常国会は国難級の難問が山積みの中で開催される.総理はその中で,『社会保障・税一体改革』を実施したい,との不退転の意気込みを見せているのである.

その割りに,当面の話しにしても,新制度に移行する抜本改革の話しにしても,その中身が曖昧で一体改革とは,何を指しているのか分からないのである.ただし,マニフェストで否定していた増税の話しだけは,はっきりしているのである.

相変わらず立論に欠落が起こる民主党であるが,不退転とは『曖昧な社会保障のまま,増税を実現する』と言う事のようである.言い換えると,マニフェスト違反と言われないように,『社会保障を見せ金にして,増税をする』と言った方が本心に近いかも知れない.

そんなわけで,今国会は,この問題一つとってみても,内閣の存亡がかかる国会になりそうである.そこで,この問題を中心に,懸念される問題を整理し,提案してみたいと思う.

①『社会保障・税一体改革』の『素案』概要

政府・与党は6日,「社会保障改革本部」の会合を開き,社会保障・税一体改革の大綱素案を決定した.(素案としたのは野党との法案提出前の野党との事前協議を意識したからか)

素案では,「消費税収に比べ高齢者3経費(基礎年金,老人医療,介護)が急速に増加し,さらなる高齢化の進展による社会保障費の増加に対応できない状況」と消費増税の必要性を強調した.

政府の説明は,高齢者3経費(年金,介護,医療)の不足額が2011年度で10兆円であり,2015年度に13.4兆円に達することから,その穴埋めのためには消費税の5%増税(1%当たり2.7兆円×5)が必要と主張.

そして,消費税率を2014年4月に8%,15年10月に10%へ2段階で引き上げることが税制改革の柱.国の消費税収を「法律上は全額,社会保障4経費(年金,医療・介護,少子化対策)に充てることを明確にし,社会保障目的税化する」と明記した.

(但し,消費税の約半分が地方税収や交付金に回る制度は不明,逆進性対策も未定,これとは別に,マニフェストにある年金抜本改革案は平成25年度作成

このように『社会保障・税一体改革』の中身は,懸念通り,『増税案』である.言い変えると,これは厚労省ではなく,財務省の話しなのである.これは下記の通り,昨年の経緯で既にはっきりしていた事なのである.

②『素案』に関する昨年からの経緯

民主党マニフェストでは『増税なし』としていたが,財政の逼迫から,菅総理は一転『増税論者』に転じた.そこで,菅政権は自民党で永年,財政再建論者として増税を主張していた与謝野氏を昨年1月登用し,増税案作成に着手した.

そして,同6月,『社会保障・税一体改革』と銘打った増税案を作成した.ただし,民主党の言う,最低年金7万円支給とか,年金一元化とか,後期高齢者医療廃止とか,の実現性が危ぶまれる改革案を切り離し,国民賛同を得やい,『社会保障費用増大による増税案』に焦点を絞ったのである.与謝野氏としては,国債暴落を回避する為に一刻も早い増税が必要だと考えたのである.

これによって,民主党の言う『社会保障・税一体改革』と言う,奇妙なタイトルが,更に,宙に浮く形になったのである.しかし,『マニフェストを撤回する事なく』,『タイトルを変える事なく』,与謝野増税案を民主党内で了解し,今回の素案になったのである.

そんな経緯から,社会保障改革色はないし,今後の社会保障財源の見通しの話しも無いし,マニフェストで掲げた年金等の抜本改革との関係もないし,全体の歳出削減とも連動していない,のは当然なのである.

そして,管総理に引き続いて増税論者に転じた野田総理が不退転で,この増税案を今国会で通すと宣言したのである.同時に,マニフェスト違反と責められないように,国会のネジレを取り除く為に,法案の閣議決定前に与野党で協議したい,としたのである.自公が5%増税を先に主張している事に乗じた作戦である.

一方,財務省は,民主党政権のばらまきで,一般会計予算が十数兆円増大し,税収を超える国債発行をしている事に焦りがあって,その危機感から財務省主導と言われるくらい増税に執着しているのである.

しかし,財務省を脱藩した有識者や経済専門家の多くが,金融緩和,円安誘導,名目経済成長,デフレ脱却,が先だと主張しているのである.与野党の中にも,この論者はいる.又,厚生年金未加入問題,過剰医療問題など,増税前に歳入歳出改善をやるべきだとの主張も多い.

③『社会保障問題』,『財政再建問題』の整理

まず,日本の難題となっている社会保障問題,財政再建問題について,以前から議論が錯綜している感じがする.そこで政策とそれぞれの問題点を整理すると次の3つに集約されると思う.

考え方1:現行社会保障制度の改善と増税を考える

若干の制度の変更があったとしても,『社会保障費用の増大を理由にした増税案』である.明らかに『社会保障制度の改革による増税案』ではないとした政策である.

この政策は,社会保障費はいつまで持つのか,プライマリーバランスや国債残高と,どういう関係になるのか,等の見通しは不明である.今後の財政事情に応じて,増税を繰り返す事もあり得るのである.

一方,デフレ下の増税に異論も多い.デフレ下で増税を行うと,経済が縮小し,税収が落ち,財政が悪化するとの主張である.むしろ増税ではなく,名目成長政策(金融緩和策,インフレ目標策)を取るべきだ,との主張である.拝聴に値する考えだと思う.

又,消費税増税による中小企業へのしわ寄せ問題,逆進性問題,非課税品目設問題,等,の検討が必要になる.

考え方2:社会保障制度改革(年金制度)と増税を考える

医療,介護の現制度の変更や新制度への移行は,一斉に切り替える事は可能だが,年金の場合,単純ではない.例えば,新年金制度への移行は,継続性の観点から,新規加入者から新制度の適用となれば,新規加入者が年金を手にする時まで,旧制度と新制度が並行して運用される事になる.

又,新制度に一斉に切り替える場合があるとすれば,多分,荒療法(不公平)が伴う事になる.いずれにせよ,現年金制度から新年金制度に行く改革をレベル2とした.不完全だが民主党マニフェストの年金抜本改革(年金統合,税投入による最低保障年金,等)がこれにあたる.

この年金制度の抜本的改革はそのメリットや制度設計が出来たとしても,新旧が並行している間,何十年間もの間,旧制度の改善が凍結できるかと言う大問題がある.又,何十年間も旧制度が生きられるのであれば,新制度は不要だとも言えるのである.

そんな事を考えると,自民党案のように,現年金制度で給付と負担を調整して行く事がもっとも現実的だ,とも言えるのである.

素案では,この年金抜本改革を来年,検討するとしているが,40年先の,この新制度の実現性を信じている人は余りいない.マニフェストで最低保障年金7万円がすぐ支給されるような表現になっている事や負担が重くなりそうな事で既に信用がないのである.若い人の将来不安をなくす事が目的のはずが,逆に不安を増している事になっているのである.

考え方3;国家財政の再建(経済・財政一体改革)を考える

『国家財政の再建策』とは,毎年の新規借金を減らして行く,借金残高をこれ以上増やさない,借金残高を減らして行く,事である.とすると,勿論,『増税』だけでは実現不可能である.従って,財政再建には,円安政策,名目成長,デフレ脱却,規制緩和,経済成長,資産売却,債権売却,大幅な歳出カット,緩やかなインフレ,など,あらゆる政策の総動員が必要になる.勿論,財政状況に応じた社会保障制度が検討される事になる.

④素案(増税案)に対する民主党政権の問題

a.増税不要としたマニフェストとのケジメが付いていない問題.

菅・野田の御両人とも,財務大臣を経験して,一転,財政再建論者,増税論者になったのだが,今まで政治家として,何をしていたのだろうか.市民運動や街頭演説からは財政政策は出て来ない事は確かである.

二人の総理が増税論者に転じた事は,マニフェストの財源など何も考えていなかった事を白状したようなものである.マニフェスト実現の財源が無いなら白紙撤回か責任をとって退陣である.社会保障費の財源も無いなら,増税不要と言った事を撤回して,これもまた責任を取って退陣である.これが筋である.

なによりも,このケジメなしで,選挙で言った事を変えるなら,民主主義が根底から崩れる事になる.選挙での言論は極めて重いのである.この重大性の認識が欠落している.

一方,任期中は増税しないのだから嘘にならないと民主党の人達は言うが,恥ずかしくないのだろうか.選挙の時に,言っていればまだしも,全くの子供のような後付の屁理屈である.別の言い方をすれば,核兵器を任期中は保有しないと言っておきながら,任期中に開発に着手したら,やっぱり騙した事になるのではないだろうか.

この屁理屈を言って,だから嘘を言っていないと胸を張る茶坊主のような政治家をテレビで見たが,即刻,首だと思った.ましてや日本の総理大臣が言う理屈ではない.退陣も覚悟して,『考えが変わった』と率直に言うべきなのである.これが政治家の正道であり,これなくして大きな政策を論じてはならないのである.

b.民主党のマニフェスト,素案にある年金抜本改革の問題

マニフェストの年金の抜本改革(年金統合,最低保障年金,等)は来年検討すると素案に書いているが,既に上記で述べた通り,論理,財源,移行,時期などでほぼ実現性はなく,これもマニフェストの大きな嘘になりそうである.

実現性以前の大問題は,子供手当てのように,『最低保証年金7万円』がすぐ支給されると思わせた事,しかも政権をとってから,40年後の話しだといい始めた事,その時,保険料も税も上がって,給付は減る可能性がある事,等で,国民は騙されたと言う以上にバカにされたのである.金融商品の詐欺事件と比べ物にならないほどの大事件なのである.選挙公約に詐欺罪を設けないと,民主主義がデタラメになりそうである.

ひょっとすると,民主党議員は子供手当と同じように,『最低保障年金7万円』支給を国民に説明していたのではないか,との疑念もある.マニフェストの書き方を見れば充分有り得るのである.昨年,国会でも大問題になったのである.

2011年8/10 衆議院決算行政監視委員会質疑

以上,この民主党の年金抜本改革について,はっきりと,国民に釈明すべきである.選挙に勝ってしまえば,40年後の話はどうでもよい,では済まないのである.ところで,何十年もかかる民主党の抜本改革の問題より,現行システムの改善をどうするかが重要だと思う.

c.野党との事前協議を望む下心の問題

総理は超党派の問題だから野党と事前協議をしたいと言うが,国会審議は全て超党派の問題のはずである.なぜ,この問題だけ,国会でのバトルを避けたいのだろうか.

どう見ても,増税不要と言っていたマニフェストの嘘を追及されたくない,更に,国会のネジレからも逃げたい,からだと思う.昨年,与謝野氏や柳沢氏を巻き込んだり,与野党連合の動きから,事前協議が実現可能と思ったかもしれないが,そんな偽装に野党は乗る分けが無いのである.

事前協議と言う発想はマニフェスト症候群からくる姑息な手段に見えるのである.そんな事より,政府として,しっかり理論武装をして増税,社会保障制度改善の法案を作り,国会審議に臨む事が基本なのである.

d.素案に対する,言い方を偽装している問題

さて,今回の素案であるが,昨年の与謝野案であり,『現状の社会保障費増大を理由にした増税案』である,若干の制度変更はあっても,『社会保障・税一体改革』と言うタイトルは奇妙であり,さらに宙に浮いている感じがするのである.現に増税分の7~8割は現制度の支出に当てられるのである.

民主党が繰り返して言う『社会保障・税一体改革』の社会保障とは何十年先の年金抜本改革も含んでいるのだろうか,現行制度の変更だけなのだろうか,何を言っているのかさっぱり見えないのである.

しかも消費税増税と言っても,逆進性対策,軽減税率対策などの制度設計は未着手である.これを言うと増税案がつぶれるので,与野党協議で決めるとしたのかもしれない.

それなのに何故,野田総理は今回の素案に『社会保障・税一体改革』『財政再建』であるかのような言い方をするのだろうか.何故,真面目な顔ををして,『不退転』とも言うのだろうか.何故,『社会保障費増大を理由にした増税』と素直に言わないのだろうか.

理由は,はっきりしている.下記のように,将来の為の増税に見せたいからである.そう言わないと,増税不要のマニフェストが嘘になるからである.

・『社会保障・税一体改革』と言って,安心・安全に向けた
増税に見せたいから.
・『
財政再建』と言って,財政再建に向けた増税に見せたいから.

5%の増税案を述べても,現制度の改善も,レベル2の年金抜本改革も,レベル3の経済と財政の一体改革も,はっきりしていないのに,こんな見せ方は『嘘を隠すための嘘』であって『偽装が偽装を生む』事になるのである.

昨年,与謝野氏の『社会保障費増大の為の増税』で国民.自公の了解を得る,とした考えの方がずっと素直である.

しかし,依然として『社会保障・税一体改革』と言う態度は,民主党得意の『思い』,『中身のない最低でも県外』と同じである.総理が今回の増税案を『一体改革』『不退転』と繰り返し言うと,

『どこに一体改革があるのか』,『何に不退転と言うのか』と思わず叫びたくなる.今国会でも,『全貌を示していないのに,いい加減な事を言うな』となると思う.

常識的には『一体改革』も『不退転』も,中身があって言う話だと思うが,とにかく,カモフラージュしてでも,『マニフェストの非を認めない形』で『増税を押し切りたい』ようである.これでは,国民,野党,そして与党,に協力を呼びかけても,そんな『偽装』に誰も加担しないのである.

e.現実味が出て来た民主党にとっての最悪のシナリオ

上記a,b,c,dで民主党にとって下記の最悪のシナリオが現実味を帯びて来る.

・マニフェストの年金抜本改革案が大嘘になり,
・『一体改革』と言う『偽装』が不信を買い,
・現社会保障制度の変更案がまとまらず,
・増税,社会保障制度変更の法立化が出来ず,


与謝野氏が最も回避したかったシナリオである.特に,消費税増税の逆進性問題,軽減税率問題,社会保障制度の変更内容,などの大きな議論が残っている.勿論,その前に平成24年度予算問題もある.

自公が5%増税を先に公言しているからと言って,民主党に賛同すれば,民主党の嘘に加担する事になる.無条件に賛成とは絶対ならないはずである.

⑤増税問題に政府・与党の取るべき道

総理が日本の為に増税を不退転と言うなら,退陣を覚悟して,この様に言うべきである.

・マニフェストで約束した財源は捻出できなかった.毎年40兆程の借金をさらに増やすわけにはいかない,マニフェストを白紙にし,更なる歳出カットをするから,なんとか増加一方の社会保障費用を確保する為に,増税をさせていただきたい.持続可能な社会保障制度への改善策,国家財政の再建策は,総選挙の争点にしたい,と言うべきである.

・消費税増税に伴う逆進性問題,軽減税率問題,未納問題,などの制度設計を急ぐべきである.これ如何で賛否が分かれるからである.

・さらに,社会保障目的税化を明記しているが,増税分が国債発行減に繋がるのか不明である.増税で浮いた借金枠が他の事業に使われる可能性もある.従って,今後の赤字国債発行の見通しを述べ,国債発行の上限を設定すべきだと思う.

・増税の前に円高,デフレ脱却に努め,景気を見ながら実施のタイミングを取りたいとすべきである

この真摯な態度で,一気に政治が動く.これを言えないなら,国を預かる資格は無い.民主党のメンツで日本を潰してはならないのである

⑥もはや民主党マニフェストの破棄なくして,国難対策なし

『嘘つきと言われたくない』一心で,崩壊している民主党マニフェストを意固地になって抱えつづける事が,,あらゆる政策の足を引っ張っていると思う.これでは政治が出来るわけがないのである.政権発足以来,党内抗争,党内人事,組閣人事,年度予算編成,補正予算編成,社会保障,国家財政,そして今回の増税問題,など全てに,混乱を起こしているのである.

マニフェストがいつも政治の足を引っ張っている事を民主党及び民主党政権は,どう考えているのだろうか.国民は民主党のメンツより国のことが心配なのである.備忘録として,そのマニフェストの要約を記録ておきたい.

永久保存版:民主党の政権政策 (2009年総選挙での公約)

『脱官僚,政治主導,コンクリートから人へ,無駄削減・組み換えによるマニフェスト財源の確保,歳入庁,抜本的年金改革,年金記録回復,年金通帳導入,後期高齢者医療制度廃止,天下り廃止,天下り機関廃止,八ツ場ダム建設中止,国家公務員給与削減,子供手当て26000円,農家への所得保障,ガソリン暫定税率課税廃止,高速無料化,格差是正,等.民主党はギブアップ状態である.』

どうも民主党政権は,『コンクリートから人へ』,『政治主導』,『最低でも県外』,等,『思いを枕詞にする悪癖』がある.『ばらまきで票を買う』選挙屋の狙いも感じられる.その結果,『思いだけで中身がない』事になる.中身がない,裏付けのない,実現性のない,政策は『誤り』であって,ミスではないのである.それが選挙目当てであれば『詐欺』である.

民主党政権発足当初から,当ブログで指摘した事だが,こうなるのは『,コンセプト偏重』,『頭でっかち』の『リベラリストの特性』から来ていると思う.これに,身に付いた野党精神が加わるのだから,ますます,裏付けとか,具体性が欠落するのである.そして,アジテートの感覚でオーバーコミットをしてしまうのである.これでは,日本の舵取りは出来るはずもない.ましてや,国難と対峙することなどもってのほかである.

現在の政治から脱却するには,退陣しかないと思う.日本の政治からマニフェストの亡霊を消去できたら,どれほどすっきりする事か.国難対策の第一歩がマニフェストの撤回だと思う.

つくづく,政治はリスクマネージメントだと思う.その都度,間違いを正し,軌道修正をして行かないと,問題が次から次に襲ってくる.あげくに抜き差しならなくなるのである.

その意味で,当ブログでも発信していたが,鳩山総理の失政やマニフェストの問題で,すぐ総選挙をすべきであったと思う.これをしなかった為に,最悪の政府の状態と,最悪の東日本大震災,福島原発事故が重なったり,日本の難問解決にマニフェスト問題が足を引っ張り続けているのである.

こんな『マニフェスト症候群』が日本の政治におかしくしているわけだが,その表れである国会運営について次に触れておきたい.

⑦昨年の国会と今年の国会

・昨年の国会(備忘録)

一年前の通常国会開始に際し,当ブログNO235始まった『自爆国会』,『政局の国会』で,『民主党マニフェストの財源問題』と『社会保障と税の一体改革』と『平成23年度予算編成』の未整合の問題を指摘した.

確か民主党はマニフェストを一部後退させて平成23年度予算を編成し,6月目標に『一体改革案』を作成し,それに従って,『マニフェストを見直す』,としたのである.従って中途半端な平成23年度予算になったのである.

それ以後,大震災・大津波・原発事故発生と対応,民主党内部抗争,マニフェストの見直しと菅総理退陣を前提にした補正予算の編成,があった.その後,『増税を不退転と言う野田政権』に移ったものの,『マニフェスト見直し』,『社会保障・税一体改革』,『年金の抜本改革』は依然,内容がはっきりしていないまま,現在を迎えているのである.

・今年の国会(1月24日から開催)

民主党政権発足当初から,民主党マニフェストに日本の政治がかき乱されて来たが,その間に国難といわれる難問が山積みされ,今国会に迫ってきたのである.もうこれは,間違いなく『政治危機』である.

『マニフェスト見直し問題』,『平成24年度予算問題』,『増税問題』,『社会保障改革問題』,『国家財政問題』,に問題が拡大し,加えて,

『一票の格差問題』,『原発・エネルギー問題』,『復旧・復興問題』,『福島原発事故問題』,『放射能被害対策問題』,『TPP問題』,『デフレ脱却問題』『沖縄基地問題』など,

率直に言って,問題あるマニフェストを抱えたままの民主党政権では,とっくに限界を超えている.民主党政権発足当初から懸念した通りだが,鳩山政権退場で総選挙をすべきだっとと思う.民主党の問題を指摘しても,もはや問題は解決しない感じがするのである.

そこで,今国会は,国難の対策を各党が発表し,遅ればせながら,総選挙をしたらどうだろうか.国民の信を得た政権しか,国難と対峙出来ないからである.これしか『政治危機』を脱する方法はないと思うのである.

以上,新年早々,悪い話ばかりだが,今,日本国民は,

『経済・財政による国難』,『自然災害による国難』,『原発事故による国難』

の三重苦を背負っている.安閑としては,いられないのである.

追申:1月24日野田首相の施政方針演説への所見

(時事ドットコムより抜粋)

野田首相は24日午後の衆院本会議で、就任後初の施政方針演説を行った.消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革に関し,首相は「『決められない政治』から脱却することを目指す」と述べ,今国会で結論を出す決意を表明.
・・・
首相は「社会全体の希望を取り戻す第一歩を踏み出せるかどうかは,一体改革の成否に懸かっている」と言明.引き上げ後の消費税収については「全額を社会保障の費用に充て,官の肥大化には決して使わない」とし,理解を求めた.

首相は,消費税率を「2014年4月に8%,15年10月に10%」とする政府・与党の一体改革素案を基に,与野党協議を経て大綱を策定し,3月に消費増税関連法案を提出する方針

どうだろうか,やっぱり,『社会保障費増大を理由にした消費税増税』である.にも係わらず,繰り返し,枕詞のように『一体改革』と繰り返されると,やっぱり,『どこに一体改革があるのか』とヤジリたくなる衝動を覚えた.いやテレビの前で叫んだ.

常識的には,考え方2の社会保障改革,考え方3の国家財政再建を一体改革と言うのだと思うが,今のところ,その中身がないのだから,やっぱり『一体改革』という言葉は使えないと思う.

そんなわけで,施政方針演説に対する私の感想を言えば,『弁舌踊るが中身なし』である.また,『誰がやっても重大な問題だから,みんなでやりましょう』との野党への呼びかけも,民主党へのお願いのようにも聞こえたが,いくらなんでも責任放棄である.ましてや『不退転』も意味不明である.

施政方針演説で大事な事は,『国難対処の展望と政策』を述べる事である.マニフェストからして,この視点が無いのだから,望むべきも無い事かもしれないが,マニフェストを白紙にしてでも,天下国家の大事に取り組む事は総理としての責務だと思う.

『無策』なら即退陣である.『みんなで考えましょう』も落第.いづれも,総理がそこにいる理由がないからである.

せめて,国会の質疑では,野田総理の『国難に対する展望と政策』を糺して欲しいと思う.特に言葉の意味を確認しながら,噛み合った議論を期待したい.もし無策,落第なら即不信任である.国の存亡が掛かっているのだから.

それとも⑧で指摘したように,いっその事,民主党政権や政策の問題指摘と言う無駄を省いて,今国会を各党の国難対策の発表の場として使い,総選挙に突入する方が有益かもしれない.

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