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2012.03.17

273 情報ネット社会が招く『サイレント・ソサエティ』

有線,無線の通信の技術革新によって,とりわけ無線網や携帯端末の進歩によって,『いつでも,どこでも,だれでも』の情報ネット社会(ユビキタス社会)が到来しているのである.

この情報ネットワークの利便性や影響の大きさを良く理解しているつもりだが,あえて,その懸念される影響について考えてみたい.『.サイレント・スプリング』になぞらえた『サイレント・ソサイティ』への警告である

『サイレント・スプリング』は1962年,レイチェル・カールソンが自然破壊への警告を,この言葉で表した.自分の家の周りの田んぼでもそれを実感できる.40年ほど前は40,50羽の鷺が生息していたが,今は,たまに,ひとつがいの鷺を見かける程度である.

田畑には農薬が撒かれ,用水路はコンクリートになり,春になっても,虫も,雑草も,花も,めだかも,鮒も,鳥も,いないのである.勿論,白鷺などいるわけが無い.こんな『サイレント・スプリング』現象が身近にあるだけに,地球のどこでもありえる現象だと簡単に想像できるのである.

さて『サイレント・ソサエティ』だが,女の子たちの集団でも,電車の中でも,みんな黙って携帯とにらめっこをし,街ち行く人々は,イヤホーンを耳にしている.まさに『サイレント・タウン』である.会社では,パソコンのキーボードを打つ音だけがオフィスに流れ,電話のベルの音や話し声も,社員の話し合う声も,めったに聞こえてこない,『サイレント・オフイス』である.

家に帰えれば,自分の部屋で,パソコンや携帯端末を使ってバーチャル社会をサーフインし,欲しい物を手配したり,ブログやツイッターで,自分の事を発信したり,見知らぬ人とメールの交流をしたり,音楽やテレビを見たり,とにかく,個人ごとに好き勝手な時間を過ごしているのである.家族の会話もなく,これも,『サイレント・ファミリー』である.

ネットワークの中では膨大な情報が飛びかい,その洪水の中で多くの人が過ごしているが,その分,リアルの世界は静寂さに包まれているのである.自然界は『サイレント・スプリング』の被害に覆われているが,人間界も『サイレント・ソサエティ』の被害に覆われるのだろうか.

この情報ネット社会は,ビジネスの世界では,その利便性から,積極的に活用されて行くと思うが,私生活において,不必要な,過度な利用が,『情報ネット依存症』,『サイレント・ソサエティ依存症』を招かないだろうか,心配である.いくつか気になる現象を上げてみた.

①情報ネットにつながっていないと不安感,が強くなる(情報ネット不安症候群)
②不明な事があると,焦燥感を抱く(情報不足症候群)
③知識はあるが,深い知識はない(国語辞典症候群)
④話し合う機会も,話しが盛り上がる事もない(情報周知症候群)
⑤手書き文字・漢字を書く能力が衰退して行く(手書き不能症候群)
⑥言ってる事とやってる事が乖離して行く(言行不一致症候群)
⑦声を出す機会が激減する(細首・小声症候群)
⑧疑似体験ばかりで,五感能力が衰退して行く(五感衰退症候群)
⑨テレビを見ていて無意識にマウス操作が出る(クリック症候群)

体験から想像する症候群である.ネット利用時間の長さが『サイレント・ソサエティ』を醸し出し,その結果,リアルの社会が無味乾燥になり,人間の能力(思考力,想像力,筆記能力,行動力,五感能力,等)も減衰していく感じがするのである.

『古代は哲学・宗教を生み,中世は芸術を生み,現代は科学を生んだ』,と言う事だが,その次は,何を生むのだろうか.『人間の自然回帰』であれば良いのだが.

とりあえず,私生活においては,極力,情報ネット依存社会から離れ,アーティフィッシャルな時間を多く持つ事に努めたいと思うのである.

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