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2012.06.09

282 問われる日本の『立論力,決断力,実行力』

『裏付けや実現性がはっきりしない主張』は民主党のマニフェストに限った事ではない.難問が多い昨今,よく言えば『理想』,『思い』,悪く言えば『空論』の主張が多くなって来たと感じる.どちらも,次の一歩に繋がらない,言うだけの話になる.たとえ,それに気付かず賛成しても,次の段階で挫折するのである.

当然,裏付けや実現性がない主張や政策は,無責任になったり,実現不可能に気づいたり,大きな問題を起こしたり,悪手になりやすいのである.

かつて田中角栄総理は『財源のない政策は政策にあらず』と,政策を仕切った.その考えが『財源確保の天才』,『税と公団の神様』,『コンピュータ付きブルドーザー』を生んだのである.

財源のはハッキリしない政策(裏付けのない政策)は責任が曖昧になり,食べた後は残飯と借金の山になる事を,金にうるさい田中角栄はよく知っていたのである.

昨今の様子を見ると,原発の中長期政策においても,短期の再稼働問題においても,あるいは電力会社の地域独占問題においても,再生可能エネルギーの拡大問題においても,未だ裏付けや実現性の説明がない状態が続いている.これではどの案も選択肢と言えず,単なる『理想』,『思い』,『空論』なのである.

原発反対論で言えば,原爆反対,軍備反対,戦争反対,基地反対等と同じ思考レベルにとどまっている感じがする.減原発論も代替エネルギー,節電,料金,を踏まえた先行きの計画を示しているわけではない.原発推進論も使用積み核燃料の処分方法など未解決な問題を抱えている.

再稼働問題も再稼働しなければ安全だとする認識が前提だが,本当は稼働しなくても原発リスクがあるとなれば,選択肢は再稼働に賛成・反対ではなく,廃炉に賛成か反対かになるはずである.勿論,廃炉の方法,費用,期間,廃炉までのリスク等の裏付けが必要になる.

そんな心配からNO278 科学性・実現性ある選択肢で原発議論を(4月27日),を発信したが,依然として選択肢の品質・精度は向上していない,禅問答状態である.

又,『電力会社の地域独占はけしからん』との風潮が強まっているが,『じゃどうするのか』の見通しが見えているわけではない.競争原理の導入を理念として言っているのなら,ガス,水道,道路などの独占体制,公共料金制度への所見も合わせて論じる必要がある.

昨今のマスコミも感情的,表面的な報道ばかりが目に付く,視聴率優先なのか,付和雷同なのか,空気に流されているのか,実力がないのか,本質を突いた話は少ない.

ところで,難問に対す解決の選択肢を示すのは世の専門家,政治家の仕事である.その為に存在していると言ってもよい.国民がその選択肢の中から選ぶのだから,選択肢の品質,精度が極めて重要になるのである.

その割に,不遜ながら,専門家,政治家の立論力が弱い感じがするのである.『しがらみ』や『日本的文化』が立論力を阻害しているのだろうか.

どうやら国民性の中に,

・付和雷同しがちである,

・理屈を『屁理屈』,『理屈っぽい』と言って嫌う,
・『理屈』より『空気』を大事にする,
・『理』(論理)より『気』(感情)をまず意識する,
・農耕民族の村社会文化の方が楽だと思っている,
・裏付け,実現性は,後の話だと思っている,
・知識があっても主張に繋げる切り口が分からない
・本当は未知の事が多すぎて,主張までほど遠い,


等があるのかもしれない.もしそうなら,難問解決の選択肢も出せなければ,大きな政策の決定も出来ない事になる.

当然であるが,民主主義のもとで難問に向かっていく為には,国の存亡をかけて,しっかりした立論,それによる選択肢の作成,覚悟を決めた究極の決断,が求められる.これをリードする専門家,政治家,マスコミ,の責任は重大だと思う.

従って,直面する具体的な問題から,これを実践して行く事が,まず必要だと思うのである.残念ながら,現状では,政治の混迷で,立論力も選択肢も弱い感じがしているのである.ささやかながら,当ブログでの『論戯』も,立論力の一助になればと,『屁理屈』を言っているのである.

追記(6月9日)

本日夕方,大飯原発を再稼働したい,と総理が国民に発表した.理由は

・原発はエネルギー源として,エネルギー安全保障として,不可欠である事,
・福島の地震・津波程度の災害には安全は確保出来ていると判断した事,
・夏季限定稼働では生活を守れないと判断した事,

だと言う.

総理が原発推進論者の様な事を言ったのは初めてであるが,大飯原発再開の話しなのか,日本全体の話しなのか不明である.発言の裏づけになる日本全体の今後の原発政策や福島原発事故を踏まえた安全対策,有事対策,50基の原発の扱い等の考えや計画が明らかにされていないからである.その意味で立論としては欠陥だらけである.

又,政権与党の民主党や前総理の脱原発論との整合性や,現閣僚との整合性も,福島の原発被害者への説得も,気になるのである.

この発言が現実的な案だとしても,もし,裏付けのない話なら,今の段階では『思い』の『独り言』になる.『独り言』を言う事がリーダーシップでもなければ,決断でもないのである.立論力で言えば『民主党政策は増税なしで実現できる』,『最低でも県外』などと同じレベルなのである.総理には,早急に,今後の我が国の原発政策を説明する責任がある.

この発表で,又,大もめになりそうである.この発表も含めて,現政府の立論力は極めて弱いと思う.いつも土壇場で苦渋の選択ばかりで,前後左右がバラバラになる.マニフェスト問題でも,震災復興問題でも,原発事故対策問題でも,社会保障と税の一体改革の問題でも,共通している事は,立論に前後左右の整合性や政策の実現性が検証されていないのである.まだ発表していない原子力政策でも同じ事が起こりかねないのである.

かねてから民主党を『合成の誤謬政党』,『ごった煮政党』と言って来たが,これが現実の問題になって,今日の政治の混迷を引起しているのである.国会は解散に向けて一気に動きそうである.

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